Mahler 交響曲第9番ニ長調
(エリアフ・インバル/日本フィルハーモニー交響楽団第317回定期演奏会ライヴ1979年)


DENON COCO-80116 Mahler

交響曲第9番ニ長調

エリアフ・インバル/日本フィルハーモニー交響楽団

DENON COCO-80116  第317回定期演奏会ライヴ1979年11月19日(購入価格入手経過失念)

 未だフランクフルトとの全集録音以前、41歳の記録であります。(掲載された写真は頭髪方面の様子が違う)Mahler はもっとも聴く機会は多く、第9番はお気に入りの作品でもあります。立派なナマ演奏も経験いたしました。でもね、どーも演奏方向の嗜好というか基軸というか、これだ!という手応えがはっきりしない・・・唯一、クレンペラー(1967年)から文句ない感銘をいただいた印象鮮明です。LP時代は若く貧しかったので、この作品とはちゃんと出会えなかった(ワルター/コロムビア響のFMエア・チェックくらいか)し、CD時代を迎え、当初少々異形なる演奏で馴染んでしまったせいか、とも考えております。もっとお勉強しなくっちゃ。話題のバーンスタイン/ベルリン・フィル(同じ1979年だ!)も未聴。

 インバルのフランクフルト全集は数年前に処分済。ひととおり(数年間)聴いてからの結論だけれど、第9番(新録音)の様子に記憶はないんです。このCDは久々棚中より発掘したもので、記憶もおぼろげながら、たいへん立派な、緊張感の強い演奏だったはず。ネット上でのコメントでは「うーむ、しかしオケの精度がイマイチ」とのこと。ワタシの感触では、オケの技量は期待値よりずっと上、後半に向かって体力がやや尽きていく感じ、第3楽章「ロンド・ブルレスケ」では、荒れ狂うようなド迫力に少々不足するけれど、サウンドの洗練、アンサンブルのテンションに於いて(少なくとも当時日本の)最高峰と評したいと思います。30年前にこんな演奏が実現できたなんて!音質もよろしい。

 第1楽章「アンダンテ」〜テンポは中庸、急いた感じも、情念に身をよじるような表現でもなく、バランス良く歌った美しい演奏であります。「生の主題」一転「死の主題」の対比はやや控え目なものだけれど、迫力にも艶にもそう不足はない。ホルンの勇壮な叫びはお見事、トランペットの微細なミスなどライヴであれば当然の範疇でしょう。インバルの指示が細部迄行き届いた精緻なアンサンブルであり、人生の懊悩とか苦しみ、叫びは十全に表現されてアツくクライマックスを迎えました。ラスト方面の「生と死の対比」再現はいっそう強烈なもの。26:55が遅いのかどうか別にして、聴き手に緊張感を強いてかなり”長い”印象ありました。

 第2楽章「レントラー」。ここは粘着質に、重々しく表現していただきたい(それでこそ、ユーモラスな感じが強調される)楽章だけれど、日本フィルの響きは少々軽量であります。前楽章との緊張の対比(牧歌的な雰囲気だし)か、少々気乗りしない感じの出足〜は、やがて快活強烈なリズムに喝が入ったテンションへ。そこを経過して弱音部分には、少々”弱い”サウンドに薄さをちょっぴり感じました。16:30。これでCD一枚目終了。贅沢収録。でも、全曲80分で一枚に収まらないから仕方がない。

 第3楽章「ロンド・ブルレスケ」。冒頭に書いたように、”荒れ狂うようなド迫力に少々不足”〜そんな印象もあり、オケに疲れが徐々に出てきたような感じもある。なかなか難しいリズムですよね。それに乗り切れていないのか。各パートは努力賞ものの奮闘ぶりだけれど、アンサンブルにもたつきや乱れやや・・・でも、精一杯の力演であります。12:36。終楽章「アダージョ」は万感胸に迫る弦楽合奏を主体に展開していくが、我ら日本フィルの弦は少々薄味。表現は細部入念を極め、粘着質に至らないのは、オケの個性だと思います。艶やかではなく、あくまで清涼な響きを崩さない。相変わらずホルンの雄弁が印象的。やがて(14:23付近)「生のテーマ」が高らかに歌われて、クライマックスがやってまいりました。

 ラスト極弱音で消え入るように(ersterbend 「死に絶えるように」との指示)全曲を終えていくが、これはナマで味わうべき繊細サウンドなのでしょう。聴き手に極度の緊張感を強いる場面であります。24:30。やや間があってからの聴衆の拍手も感動的。

(2010年5月6日)


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written by wabisuke hayashi