Mahler 交響曲第9番(ムント/京都市交響楽団)


ARTE NOVA 74321 89355 2 Mahler

交響曲第9番ニ長調

ウーヴェ・ムント/京都市交響楽団

ARTE NOVA 74321 89355 2  2001年録音  500円で購入

 ずっと再聴しようと思いつつ、放置してあったCDです。既にSibelius 作品集では、薄味の美学みたいなものが少々感じ取れるように・・・数年を経て、↓以下のクソミソ評価からどう変わるのか?いえいえ、変わらないのか、ちゃんと真面目に対峙いたしましょう。

 「異様な切迫感とか、狂気スレスレの毒」・・・当時のワタシはそんなものを期待していたんですね。第1楽章「美しく、仕上げがていねい」・・・なるほど。京都コンサート・ホールの問題か、響きは少々潤いに欠け(弦も金管もやや厚みに欠ける)、こぢんまりとした雰囲気はあるけれど、まずは力演でしょう。表情が穏和で柔らかいのはムントの個性だと思います。ティンパニの入りは壮絶に低音効いてます。”ユーモラスでゆったりとした重量感に溢れるべき”(だ、そうです)第2楽章「レントラー」だって、やや軽量だけど、優雅なリズム感ちゃんとありました。

 どこが問題ですか?ちょっと生真面目(色気が足りない)っぽいか。でも、優しく清涼に、さっぱり歌って薄味も悪くない「レントラー」。これはこれで味わいの個性と言うべきでしょう。”荒々しい爆発の第3楽章がまったくヘロヘロ”・・・との(かつての)評価だったが、さすがにここでは抑制が過ぎますか?ヘロヘロとは言い過ぎだけれど、たしかにもう少し、羽目を外してもエエんじゃないの?的感慨はあるかも知れない。やや腰がカルい。それでも、金管は精一杯の力演だと思います。ラストのアッチェランドも大奮闘!

 終楽章・・・弦の艶が足りないかなぁ。それでも誠実に、精一杯の演奏ぶりに敬意を表しましょう。やはり、終楽章は”薄味/繊細”では勝負できないか。やがて、生のテーマが力強く、オーケストラ全体を揺るがせて鳴り響くが、そこがクリアに、細部まで洗練されない・・・録音のせいでしょうか?「異様な切迫感とか、狂気云々」とはもう言わないが、「目眩く官能」は欲しいラストなんです。肉食じゃないと、体力続かないのか。終楽章のみ、ちょっと弱い、物足りない。

 でも、残りの「わが祖国」「管弦楽のための協奏曲」も聴きたくなりました。

(2006年7月13日)

 Mahler とBrucknerは一度に聴けません。ここ最近、久々Mahler モード。とくに歌付きの作品がよろしいが、いずれにせよ怪しくも、息の長い旋律の渦に身を任せる快感に浸る今日この頃。日本のオーケストラが、こうした大曲を録音してくれるようになったのも感慨深く、期待と不安に満ちて聴き始めたCDや如何に?

 「不安」というのは、さきのSibelius がまったく期待はずれだったからなんです。「やっぱりああいった音楽には特有の”響き”が必要なのか」と嘆息したばかり。これはオーケストラの責任なのか、ムントの問題なのか・・・って、立ち読みした「レコ芸」では「推薦」にした評論家もいたし(そんなん、まったくあてにしていないが)・・・。

 まずCD一枚に収録していただけたこと、価格が安いこと、オーケストラがメカニック的に問題がないこと、これはありがたい〜しかし、結論的には、こんなツマらない演奏は滅多にない。聴いていて、やはり嘆息してしてしまいました。ショルティのMahler にもついていけなかったが、あれはあれでアタマのなかを空にして、世界一と言っても良いオーケストラの馬力に惚れるのも悪くない、と思わないでもない。

 不安と安寧が入り交じった第1楽章。想像以上に美しく、仕上げがていねいでした。異様な切迫感とか、狂気スレスレの毒は存在しないが、まずは誠実で無難なスタートと思います。ところが、ユーモラスでゆったりとした重量感に溢れるべき第2楽章「レントラー」のコシが軽すぎて、リズムにアクもなにも存在しない。あの、荒々しい爆発の第3楽章がまったくヘロヘロで、おとなしい。味がない。

 オーケストラの個性かも知れないが、これはムントの解釈問題でしょうか。終楽章は誠実で、これはこれでまっすぐな表現に好感が持てます。美しいと評価してもよろしいでしょう。が、この作品には、もっと「毒」とか「懊悩」が感じられないと不満なんです。薄味過ぎて、かといってクリップスの一連の録音のように、薄味がひとつの個性・芸術となって昇華されているとも言えない。

 個性不足で、聴き流してしまうような演奏。少々、評価が厳しすぎますか?それとも、座右に置いて、いつも楽しむ演奏?それだったらクーベリック盤があるでしょ?


 図書館でこんなCDを借りてきました。

Mahler

交響曲第9番ニ長調

インバル/日本フィルハーモニー

1979年11月19日東京文化会館ライヴ

 2枚組だし、価格的にも安いと言えないから自主的に購入する機会はないと思います。京響と日本フィルの技量の差はいかがなもんなんでしょうか。両団体ともナマで聴いたことはないんです。でも、こちらの演奏にはなにやら、怪しげな入れ込みが(間違いなく)存在します。

 ライヴ録音とというハンディもあるせいか、細部のアンサンブルの乱れや、個々の奏者の音色に対する不満を指摘することはできるでしょう。でも、もう第1楽章からちゃんと「味」も、美しい「毒」もあって「!?」状態。これはインバルのMahler に対する「戦略目標」がハッキリしているから、でしょう。

 「ユーモラスでゆったりとした重量感」のレントラーも、いかにも期待通り。弦は低音の厚みに不足するし、管楽器の緻密さも足りないが、色気もあるし、旋律が良く歌われて気持ちが良い演奏なんです。そんなこんなでも「重量感」がまちがいなく出てくるから素晴らしい。

 「荒々しい爆発の第3楽章」は、ちゃんと爆発してまっせ。各パートに、かなりナマナマしい「ノリ」が加速していて、細部のメカニック問題もほとんど気にならない。終楽章。ホルンの音色などに不満がないではないが、弦の歌が入魂でズシリと胸にきます。音量の弱いところで、細部が明瞭に聴き取れないのはライヴ録音のせいかも知れません。

 「ホルンの音色などに不満がないではない」なんて、失礼なこと書いたけれど、トランペットも含めけっして器用とは言えないが、気持ちが入っているんです。結論的に、手応えのある、貴重な記録と言うことです。こんな音源をもっと激安で出してくれないかなぁ。京響も日本フィルも、もっとたくさんCDを出して下さい。(2002年7月17日)


【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi