Sibelius 管弦楽曲集 (ムント/京都市交響楽団)


Sibelius

交響詩 「フィンランディア」 作品26
レンミンケイネンの伝説(4つの伝説曲) 作品22-1〜4
悲しきワルツ 作品44
「カレリア」組曲 作品11

ムント/京都市交響楽団

ARTE NOVA 72120 2  1999年録音  中古 300円で購入

 ムントが京都市交響楽団と四枚分CDを録音して下さったのが1999年。これからも日本のオケはバリバリやって欲しいですね。ワタシはMahler 交響曲第9番をクソミソに書いた罰当たりですが、閑話休題。有名なる「フィンランディア」が始まったら「やっぱり・・・」と少々がっかり。圧倒的物量技量の迫力あるオケこそが!という作品でもないと思うので、マジック不足なのかな、なんて思いました。

 このCD盛り沢山でありがたい。「フィンランディア」「トゥオネラの白鳥」(「レンミンケイネンの伝説」第二曲)「悲しきワルツ」がSibelius 「三種の神器」だから、+「カレリア」組曲〜更に更に「レンミンケイネンの伝説」全4曲収録というのは超目玉お徳用CD。(オーマンディ盤なんて「レンミンケイネン」のみで一枚だった記憶有)

 Sibelius 演奏はまったく難物。起承転結のはっきりしない音楽だし、やたらとメリハリ付けて演奏しても乱暴に聞こえるかも知れない。細部にこだわりすぎて、全体構成を見失うと、もうとことん辛気くさい音楽になっちゃいます。特有の寂しげな響きは必須!って、日本じゃ意外と人気あります。ワタシも大好き。

 結論。ムント/京響は「いや、もう、この際、辛気くさくいきましょうや!」的演奏で、日本人特有のグズグズはっきりしない、ま、能面の角度で微細なる感情を表現したい、みたいな方向で、とても個性的だと思います。(ムントはオーストリア人だけど)パッとせえへん演奏やなぁ、なんてブツクサ言いつつ我慢して聴いていると、新たな地平も見えてくる・・・(かも)。

 「フィンランディア」って、古今東西名曲ランキング(んなものあるのかどうか別にして)上位を狙う実力者。カラヤン/ベルリン・フィル(1964年)は圧倒的(スピーカーから金管が風となって吹き出るような!)だったが、プヌーラ/トゥルク・フィル(NAXOS 1995年)みたいな、地元ローカル演奏でも存分にココロ打ちます。1982年のヘルシンキ・フィル初来日時には、この曲を演奏しながら団員は泣いていたという・・・(いかにも日本人好きなエピソード。ワタシも)

 で、我らが京響盤「フィンランディア」は、物量技量系でもないし、「民族の悲願」涙々系演奏でも(もちろん)ない。全体に薄味で、激しい感情を表に出さないのが美学ですよ、みたいなことはここではまだわからないし、こりゃいかん、と。でもね、「レンミンケイネンと島の乙女」(16:31)が始まると、これは抑制された、荒涼とした(変化に乏しい)風景描写なんだな、と。京都も相当冷えますしね、雪だって降っちゃう。

 「トゥオネラの白鳥」のイングリッシュ・ホルン、これまったく寂しげで絶品です。いえいえ「カレリア」での木管も、華やかさはないけど、繊細でいい味出てますよ、(良い意味で)薄味だけど。上品でした。弦は「艶やかでぞっとするほど」なんてことはないが、鳴らない弦じゃないとおもいます。抑制されているんです。向き不向きも有。メリハリや爆発が足りない!と評価される方はSibelius に求めているものが間違っている。(低音のタイコはティンパニですか?違うような・・・このおどろおどろしい雰囲気は日本の怪談の伝統を引き付いて秀逸〜ウソ)

 「レンミンケイネンの伝説」は、これだけで46:51掛かります。あまり知られていない旋律も多いし、この繊細な旋律の集成は一度や二度聴いたくらいじゃ理解は難しい。でもね、なんどもなんども聴いていると、微細なこだわり(さっき書いた能面の角度による陰影の反映、みたいなもの)が見えてきてキモチよくなってきました。いえ、これは演奏の質にも言えるんです。日本のSibelius だな、これは。

 「悲しきワルツ」は「哀しき円舞曲」と、しておきたいような哀愁があります。ちょっと”情念”みたいな味わいもある。短い作品ながら、ちょっと動きのある演奏でこのCD中白眉、と感じました。

 「カレリア」に、彼らの演奏方向が一番はっきり表れているでしょう。楽しげな表情は控えめ。「間奏曲」も「行進曲」も、他の演奏ならもっとハズむような感情が前面に出ているでしょ。ココロの奥底にある喜びは、じんわり味わうものです。優しい「カレリア」でした。「バラード」の切々たる歌は、適度に”泣き”もあって、弦の絡み、木管の透明さが魅力横溢でした。アンサンブルの水準に不満なし。(2004年1月30日)

【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi