Stravinsky バレエ音楽「春の祭典」「アポロ」
(カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー1975/77年録音)


駅売海賊盤 CC-1069 中古@250 Stravinsky

バレエ音楽「春の祭典」(1975/77年録音)
バレエ音楽「ミューズの神を率いるアポロ」(1972年録音)

ヘルベルト・カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー

駅売海賊盤 CC-1069  BOOK・OFFにて@250

 

カラヤンの「春の祭典」は、1964年の録音(これ、まったりとクドくいやらしく耳当たりの良い演奏)かなと思っていて「ああ、ダブちゃった」と思っておりました。なんや、新しいほうやないの。DGはんも奮発しはったなぁ・・と思わず関西弁になりましたが、手慣れた、それなりに上手い演奏、といったところで、精密なるこだわり、とか、荒々しい原始の激しいリズムでもない。フツウのやる気なし演奏か?なんかスカスカみたいな印象も有。
これ、どこのアホが書いたんだ?(→ワシ)人生とは恥の上塗りの連続であります。じつは駅売海賊盤を1964年旧録音とばかり信じ込んで、よく見ると@1977となっているし、タイミング表示はほぼ一緒(表示誤差の範囲)じゃないの。気付いたのはごくごく最近です。同じものを違う印象で表現するエエ加減者!死刑。

 醜い言い訳屋上屋を重ねると、音の感じがちょっとだけ違う〜当然DG正規盤がよろしいかというと、そんなことはない。LP板起こし?駅売海賊盤の方が細部明快で、響きに厚みがある・・・ように思えるのはワタシのオーディオが安物だからでしょ、きっと。閑話休題(それはさておき)これは優秀録音だと思います。いままで聴き取りにくかった内声部の旋律があちこち確認できるし、打楽器の奥行き位置関係がはっきりと確認できます。なにより、演奏の印象がコロリと変わってしまいました。

 2009年に入って1970年代中心の交響曲ばかり38枚組を聴いているが、全体にゴージャスで余裕の演奏ぶりは共通しているが、作曲家、作品によってサウンド、音質の感じが異なることに気付きました。Beethoven だったら、サウンドの芯が甘くて残響過多に耐えられぬが、他はそうでもない。この「春の祭典」「アポロ」も同時期録音だけれど、他の著名交響曲とはずいぶんと印象が異なります。かなり響きは明快、そしてリズムに緩さを感じさせない。

 あとは作品に何を求めるか、でしょう。先日2ちゃんねるを(偶然覗いたら)ブーレーズ/クリーヴランド管弦楽団の演奏(1991年)を「クソ」の一言で葬っておりました。ワタシはピエール・モントゥーや、アンセルメの技術的にはそうとう危うい演奏も大好きだし、ブーレーズ三種の録音も(各々味わいは異なるが)知的で洗練されて素敵だと思います。カラヤンの演奏をかつて「まったりとクドくいやらしく耳当たりの良い」「精密なるこだわり、とか、荒々しい原始の激しいリズムでもない。フツウのやる気なし演奏か?なんかスカスカみたい」とコメントしたが、前言撤回、朝令暮改、君子(ではないが)豹変、これもひとつの立派な個性であると感じられるように。

 カラヤンは「現代音楽の古典」を美しく、バランス良く、優秀なオケ、迫力ある厚みを以て表現したかったのでしょう。「優秀なオケ」・・・アメリカの機能的なアンサンブルという意味ではなく、独墺系、しっかり各パートが個性的に歌う世界。カラヤンは全体バランスを配慮し、名人達を自由に遊ばせる〜技術的な不備などもとよりあろうはずもなく、打楽器など明快自由自在に存在を主張して滅多に経験できぬ妙技。冒頭のファゴットだって原曲あるべき「苦しい感じ」をちゃんと表現して、木管は美しく、マイルドに歌います。

 金管はあちこち微妙なニュアンスに配慮があり、それは弦も同様。当たり前だけれど、カラヤンに土俗的なサウンドを期待できないが、洗練された迫力に文句を付ける筋合いはない。これはこれで完成された、拝聴すべき個性として賞賛を惜しむべきでない、立派な演奏でしょう。とくに第2部ラストの打楽器乱打、駄目押しのクライマックスは、終楽章に山を持ってくるカラヤンならでは世界が成功しております。

 あとは「作品に何を求めるか」〜嗜好問題。ワタシの刷り込みはピエール・ブーレーズの1969年録音であって、クリアで正確、知的、ひりひりするような緊張感と洗練が基本となります。カラヤンの演奏は見事なバランスだけれど、ステーキには脂が乗りすぎている印象が拭えない。たくさんは食べられないんです。作品より「カラヤン」を聴いている印象が強い。ベルリン・フィルの高い演奏技術を堪能している気分・・・それが好きな人はタマらぬものなのでしょう。

 「アポロ」には保留条件なし。たっぷりムーディーなベルリン・フィル極上の弦が最高です。新古典派?の音楽が、後期浪漫派に逆戻りしちゃったような、瑞々しいサウンドを堪能いたしました。

(2009年7月10日)


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written by wabisuke hayashi