igor stravinsky 2枚組


DG  UCCG-3183/4 Stravinsky

組曲「火の鳥」(1945年版)
マゼール/ベルリン放送交響楽団(旧西) 1957年録音

バレエ音楽「春の祭典」
カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー(1975/77年録音)

詩編交響曲
マルケヴィッチ/ソヴィエット国立アカデミー管弦楽団・合唱団(1962年PHILIPS録音)

組曲「プルチネルラ」
マリナー/アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ(1967年DECCA録音)

協奏曲「ダンバートン・オークス」
ブーレーズ/アンサンブル・アンテル・コンタンポラン(1981年録音)

バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1911年版)
デュトワ/ヴァーシャーリ(p)/ロンドン交響楽団(1976年録音)

サーカス・ポルカ
カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー(1970年録音)

DG UCCG-3183/4 2枚組 750円(中古)で購入

 数年前、愚にも付かないコメント(とも言えない恥ずかしい一文)を書いているが、ここ最近心境の変化はあって「コンピレーションもの」は少々キツい、聴く機会が減るといった自覚です。再聴したのはデュトワの「ペトルーシュカ」(1976年)でして、たしかLP時代はこれで一枚だった記憶がある。35:49というまことに贅沢なる収録だけれど、これはこれで良いのでは?日々、集中力というか、こらえ性がなくなりつつあるようで、「全部全曲通して聴く!」ことができません。今回もCD2枚目、トラック13-27のみ抽出聴き。

 「これは素直で、余裕の演奏ぶりが後年の人気高騰ぶりを予想」〜などというエエ加減なことを書いているが、昔なじみのこの録音(マゼール「火の鳥」と、この録音をLP時代所有していた)の存在価値を再認識。いえいえ、そもそも「ペトルーシュカ」に特別ドキドキする経験って、あまりなかったんですよ。作品は大好きだし、細分旋律馴染みだけれど、「こんな演奏を求めたい!」みたいな基準が、どうもわからなかった。

 録音が最高。広がりと奥行きが自然で瑞々しい。しっとり中低音が豊かで、高音域(弦も金管も)が刺激的にならない。各パートが良く分離して、しかも人工的な定位にならない。打楽器は充分チカラ強いが、明快さを失わない。響きがダンゴにならない。デュトワの録音はあまり沢山聴いていないが、後年の穏健精緻路線はこの辺りで既に明確に表出されておりますね。オケの特質か、とても素直でしっとりした味わいある響きになっていて、モントリオール響に方向性は似て、より厚みとコク(+セクシーさ)を感じさせます。オケはまったく快調でして、アンサンブルは清涼で軽快、集中力が持続します。

   細部描き込みがていねい、しかも自然かつ適度なリズム感(特異な強調なし)は快い”熱”を発してジンワリ気持ちがよろしい。この人、どんなに激しい部分でも響きが濁りませんよね。土俗的作品は似合わないかも。弱さはないと思うんです。やさしく、浮き立つような華やかさ(これぞメルヘンか)もあって、ヴァーシャーリのピアノのリリカルなキレも特筆ものでした。

(2005年4月22日)


 皆様、こんばんは。【♪ KechiKechi Classics ♪】の林です。きょうはStravinskyの楽しみ方についてお話ししましょう。ああ、その前にCDの買い方について触れておきますね。このCD、渋谷の中古屋さんでみつけました。定価2,000円で2000年に国内盤で発売されました。まず、中古をいやがらないこと。それと、寄せ集めを恐れないこと、これ鉄則ですね。

 DG、DECCA(LONDON)、PHILIPSの3大メーカーは、いまや同じ会社(ユニヴァーサル・クラシック)になってまして、この寄せ集めが実現しました。カラヤンの「春の祭典」〜これは新旧中・新しい方の録音〜が目玉なんでしょう。音源の魅力的にはティルソン・トーマス/ボストン響が欲しかったところで、正直、この演奏はイマイチです。ま、ネーム・ヴァリューだけで先入観を持つとろくなことはない。

 「火の鳥」は、いまや巨匠マゼールのデビュー辺りの貴重なる録音。当時の(1960年前後ですよ)西ベルリンではカラヤン/ベルリン・フィルの好敵手だったそうです。これ、細部にこだわりきった神経質なる演奏で、いかにも才気溢れた「やりすぎの若手」的演奏。そのやる気満々のワザとらしさは、タマらない魅力。録音は悪くないが、マルチ・マイクばりばりで、タンバリンやらトライアングルが、右端から浮き上がって聞こえます。

 カラヤンの「春の祭典」は、1964年の録音(これ、まったりとクドくいやらしく耳当たりの良い演奏)かなと思っていて「ああ、ダブちゃった」と思っておりました。なんや、新しいほうやないの。DGはんも奮発しはったなぁ・・と思わず関西弁になりましたが、手慣れた、それなりに上手い演奏、といったところで、精密なるこだわり、とか、荒々しい原始の激しいリズムでもない。フツウのやる気なし演奏か?なんかスカスカみたいな印象も有。

 詩編交響曲って、念仏みたいな曲で、とても好きな作品。もっと聴かれて欲しいですね。これ、マルケヴィッチが訪ソしたときの録音でしょう。表記ではロシア国立アカデミー管弦楽団となっていて、ま、1962年当時はソヴィエット時代ですよ。どのオケですかね。スヴェトラーノフのかな?演奏は、合唱の発声のド迫力、金管のエグエグしいヴィヴラートに圧倒され、笑ってしまうほど感動します。これが一番録音が落ちて、最強音で盛大に音が割れます。

 「プルチネルラ」は、たしかマリナーはEMIに声楽入り全曲を録音しておりました。これ、オケだけの組曲盤(1949年版)ですね。正直言うと、マリナー/アカデミーの全盛期はこの辺り〜1960年代後半だと思います。瑞々しい、バランスよい弦の響きが連続。歯切れが良くて、上品で、リズム感も若々しい。ワタシ、この演奏はこの2枚のウチの白眉と思います。

 ブーレーズの「ダンバートン・オークス」も目玉のひとつですね。正直、この録音だけ「現役」であって、寄せ集め具材じゃありません。DG系でこの類の音源在庫はなかったのかな?え〜っと、パウル・ザッヒャーのための作品でしたっけ?昔、ジンマンだったかな?LPで聴いたけど、晦渋な作品だった記憶がある。ところが!ブーレーズに掛かると、なんと楽しい、知的な作品に変身することか。緻密、かつセクシー。

 「ペトルーシュカ」は、有名になる前のデュトワの録音です。LP時代も愛聴しておりました。1911年オリジナル豪華4管編成盤です。いまや指揮者に転身した名手ヴァーシャーリDGへのラスト辺りの録音じゃないかな?後年のモントリオール交響楽団との録音には興味ないが、これは素直で、余裕の演奏ぶりが後年の人気高騰ぶりを予想させます。

 つまり、リキみとか、エキセントリック(この辺りは若き日のマゼールか?)でもなく、ただ上手く流したような(カラヤンか)演奏でもない。オーソドックスだけれど、隅々までていねいで豊かな演奏なんです。おとなしくて、フツウ過ぎる演奏に聞こえますか?

 ラスト「サーカス・ポルカ」〜ああ、カラヤンってこんな曲まで録音していたんだね。エラい!ま、オマケですけど。やっぱ「Stravinskyの楽しみ方についてお話し」になりませんでしたね。すみません。でも、これけっこうStravinskyをタップリ楽しみました。

 ではみなさん、楽しい音楽を。ご静聴ありがとうございました。(鳴りやまぬ怒号。2003年7月18日)


【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
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written by wabisuke hayashi