R.Strauss 交響的幻想曲「イタリアから」
(コシュラー/スロヴァキア・フィル)


NAXOS 8.550342 1990年録音 @980 R.Strauss

交響的幻想曲「イタリアから」作品16
交響的断章「ダナエの愛」
歌劇「ばらの騎士」作品59〜第2幕のワルツ

ズデニェク・コシュラー/スロヴァキア・フィルハーモニー

NAXOS 8.550342 1990年録音 (値札には@980/おそらく5枚で一枚無料パターンだったはず)

 嗚呼、恥ずかしいぜ。むかしの拙文見るのは・・・(汗)このCDが現役かどうか知らぬが、ネットで音源を愉しむことはできます。(ワタシは時代遅れなのと、購入したメモリー・オーディオ的なもののヘッドホンが安物だったので、実用にしておりません)結論的には(ずいぶんと)久々の再聴で音質もよろしいし、作品の楽しさに気付き、スロヴァキア・フィルの思わぬ好演に感心した、ということです。このCDは1990年代前半、LPをあきらめた頃の入手だけれど、マニアックな作品聴取を目指していたのでしょう。(当時は若くて、新しい作品に意欲的だった)以下、昔の文書には”あと二枚NAXOSに存在するんだったら、ぜひ買っておきたい”とあり、棚を点検すると、ちゃんとそれは入手済み(しかもBOOK・OFF@250)でありました。現在では入手困難でしょう。

 「イタリアから」はR.Straussの中では人気薄いかな?第1楽章「カンパーニャにて」 /第2楽章「ローマの遺跡にて」 /第3楽章「ソレントの海岸にて」 /第4楽章「ナポリ人の生活」 からなる特異な交響曲風作品。彼の初期作品でして、ま、著名作曲家はたいてい明るいイタリアで気分転換して、名作を残すものなんです。後年の哲学的晦渋さ(耳あたりはよろしい旋律だけれど)とは無縁の、気楽な雰囲気に溢れた明るい作品・・・ということも再聴で発見しました。第4楽章の「フニクリ・フニクラ」はともかく、いつの間に全曲の旋律に馴染んだんだろう?旅の気分昂揚を上機嫌に優しく表現する「カンパーニャにて」(ここに馴染めれば全曲いけます)、気楽な観光客気分に足取りも軽い「ローマの遺跡にて」 、静謐でゆったりと夜の幻想的情景にくつろぐ「ソレントの海岸にて」・・・そして「ナポリ人の生活」に於ける快活な喜びの大爆発、こんな名曲だったっけ?この作品。

 コシュラー/スロヴァキア・フィルは、Dvora'kの交響曲印象から、もっと洗練されない、田舎臭いサウンドを連想していたんだけれど、あれはおそらく録音印象もあったんだな。ここでは艶々の機能的サウンドではないけれど、アンサンブルの技量水準、集中は(記憶より)ずっと立派なもの、静謐な部分での清潔な味わい、木管、金管の質実な音色と爆発はひとつのウリであります(「ナポリ人の生活」)。

 1990年代、不遜で若かったワタシは珍しい作品を求めていたんです。当時のNAXOSは著名作品に+他では聴けない作品をフィル・アップしていて、交響的断章「ダナエの愛」(クレメンス・クラウス編ですか?)も、歌劇「ばらの騎士」〜第2幕のワルツ収録も少々マニアック(後半の旋律は誰でも知っている)。コシュラーはもともとオペラの人だし、実演経験もあるのでしょう。ワタシは歌劇「ダナエの愛」(もちろんCDで)全曲聴く機会を得ず。じつに上手い語り口で、優雅な雰囲気に溢れた演奏であります。”素朴な田舎臭さがウリ”みたいな水準ではありません。

 キレとか、ド迫力みたいな世界ではないけれど、良く歌って、メリハリ充分。オケには非力な薄さ、鳴らない、といった印象はありません。CD購入(おそらく)15年、いつか目覚める可能性があるからウカツには処分できんのです。

(ちょっと気付くのが遅かったか/2008年12月26日)

 嗚呼、恥ずかしいぜ。むかしの拙文見るのは。だいたいね、ワタシ正直、R.STRSUSSを少々苦手としていております。ずいぶん昔からなんども聴いていて、ほとんどの曲は旋律も暗記してお馴染み。残念ながらしみじみと胸に迫ることは滅多にないのはワタシの勉強不足なんです。そうだな、オーボエ協奏曲〜あれはずいぶんと静かで良かった。それと「夕映え」〜これは眼前に人生の黄昏が広がります。「メタモルフォーゼン」〜これはクレンペラーの演奏が良かったのか。

 在ベルリン青年KはR.Straussフリークで
「カラヤンのRSですが、ハーモニーの線が弱く、『純粋音楽』としてのRSの作品が楽しめないのです。RSの音楽はもっさりとか、ロマンティック過ぎると駄目なようです。自作自演が一番良いというわけではありませんが、聞く価値大です」などという貴重なるウチのBBSへの助言もいただくが、未だ目覚めないワタシ。

 そういえば、LP時代はカラヤン/ウィーン・フィルの「ティル」のみの所有だったかも知れません。CDでは、これが初R.S.体験か。ずいぶんと渋い選曲。演奏者。そして地味な演奏。だから、一気に目覚められず永い眠りに?・・・CDばかり沢山溜まる今日この頃。なにがいやなの?威圧か、そう、押しつけがましい音の固まり。

 だからマルクソン(指揮者界のMr.オクレ)の、脱力系R.Straussは魅力的です!で、購入10年経ったコシュラーの演奏は、30代中盤→40代中盤へと人生の黄昏が近づくなか棚で静かに待っていて下さいましたね。コレ、語り口が流麗じゃないし、オケの響きもずいぶん鄙びていて、ぱっと見、たいしたことないみたい。メリハリもちょっと弱いし。でもね、最近、こういうの好きです。

 「ナポリ」では、いまいちリズムに乗り切れないで、少々まとまりは悪い>誰、こんなこと書いたの>ワタシ。これ、やっぱりカラヤン辺りの颯爽としたスタイリッシュなイメージを望んでいたのかな。「フニクリ・フニクラ」は、田舎のお上りさん(含むワタシ)が楽しげに登山するんだから、これ良いんです!他は(表現はともかく)いいとこ突いてますよ、昔の自分も。

 「ワルツ」のホルン〜これは豪快で痺れます。すっかり忘れていたCDだけど、あと二枚NAXOSに存在するんだったら、ぜひ買っておきたいね。それこそマルクソンが着々と新録音しているから、油断するといつの間にやら廃盤になっちゃうかも。(2003年6月29日)


 コシュラーにはもっと活躍して欲しかったけど、あっけなく逝ってしまいました。1995年67歳。NAXOSには、リヒャルト・シュトラウスの3枚とモーツァルトのレクイエムが残されていて、いずれもスロヴァキア・フィルとの録音。
 スロヴァキア・フィルは、リーパーとのシベリウスの交響曲全集も残してしてますが、さいきん録音は少ないですね。このCDもずいぶん以前に買ったものですが、こうして久々に聴いてみると、いぶし銀のオケの音色に痺れましたね。録音も自然で聴きやすい。

 「イタリアから」は録音も少ないし、ほとんど知られていないでしょう。全曲40分ほどの大曲で、(1) カンパーニュにて (2) ローマの廃墟 (3) ソレントの浜辺にて (4) ナポリ人の生活からの情景 4部に分かれています。(4)のナポリ人・・・は有名な「フニクリ・フニクラ」の元気よい旋律。(1)〜(3)はむしろ静かな旋律ばかり。いつものR.シュトラウスとはいっぷう変わった味わい。旋律の美しさはさすがです。

 スロヴァキア・フィルは、リーパーとのシベリウスを聴いていたので、もっと泥臭い、洗練されない響きと思っていました。たしかに、厚みとか、輝きとか、重量感溢れる低音の迫力には欠けますが、けっこう練り上げられて、のびのびとした味わいたっぷり。これもコシュラーの力でしょうか。

 まず弦(とくにヴァイオリン)が、気に入りましたね。高音が刺激的にならず、柔らかいアンサンブル、響きが濁らない繊細さ。どの部分もよく歌ってキモチ良く聴けますが、とくに「ダナエ」辺りの切々たる甘い歌が最高。

 木管が、よ〜く聴いているといい味だしてます。全体のアンサンブルに溶け込んであまり目立ちませんが。フルートの暖かい響きに注目。金管も金属的にならないやわらかさ。

 「ナポリ」では、いまいちリズムに乗り切れないで、少々まとまりは悪い。(ユーモラスな感じは出ている)ほかの曲では、ほとんど陶酔のひとときの美しさ、優しい歌。
 最後の「ワルツ」は、リズムがくっきりとして沸き立つような楽しさ。(ニュー・イヤー・コンサートでやって欲しいね。名曲)コシュラーは、主にオペラ畑の職人だったのでしょうが、アンサンブルに対するこだわりは立派です。

 NAXOSは珍しい作曲家を掘り出すことに熱心で、いまのところR.シュトラウスの「新録音全集」は出ていないみたいですから、コシュラー盤は現役のはず。とくにこの3曲はあまり他に録音はないようですから、安いですし買ってみて下さい。(1999年)


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written by wabisuke hayashi