Haydn 交響曲第13/14/15/16番
(アダム・フィッシャー/オーストリア・ハンガリー・ハイドン管弦楽団)
Haydn
交響曲第13番ニ長調
交響曲第14番イ長調
交響曲第15番ニ長調
交響曲第16番 変ロ長調
アダム・フィッシャー/オーストリア・ハンガリー・ハイドン管弦楽団(ライナー・ホーネック)
BRILLIANT 99925/4 1991年録音 33枚組 9,431円で購入したウチの一枚
全集を購入したのが2002年。全部身に付いたか?と、問われれば、そんなことはあり得ぬ物量だし、これをきっかけにHaydnに充分馴染んだ、というというのも事実でしょう。いずれ演奏機会も、CDでも出会える機会の少ない初期作品もたっぷり楽しませていただきます。前回、コメントは「交響曲第88/89/90番」「交響曲第93/94/95番」でした。(これも5年も前のこと)
第13番ニ長調は、溌剌としたスケールを感じさせて始まりました。これは4本のホルンが効いているんです。ティンパニの反応もよろしいが、このパート譜は作曲者自身のものではないとの研究有。第2楽章は纏綿とした「チェロ協奏曲」であり、第3楽章「メヌエット」では上品なフルート・ソロが聴かれます。舞曲としてではなく、既にかなり洗練された味わいであり、時に暗転もあります。
終楽章は「ジュピター交響曲」に似た4つの音による動機がフーガに育っていって、なかなか快活なる名曲也。ティンパニ、大活躍ですよ。1763年31歳の作品。当然エステルハージ候の管弦楽のためのものです。18分ほど。
第14番イ長調の管楽器はオーボエ2/ホルン2のみであって、第1楽章は快速3/4拍子で転調が楽しい表情。第2楽章は典雅でやや地味なアンダンテであり、ヴァイオリンとチェロがオクターブで同じ旋律を重ねて面白い効果を出しております。メヌエットが優雅でノンビリとした味わいを醸し出して、ホルンのシンプルな繰り返し、トリオでオーボエが少々哀しげなソロを執るところも味わい有。
終楽章は細かい弦の下降音形が、うきうきと舞い降りるような床しい楽しさ。1762年の作品と推定されます。15分ほど。
第15番ニ長調は、第14番と同じ編成(1761年の作品/20分ほど)。第1楽章はピツィカートの伴奏に乗って、ヴァイオリンとホルンが静かに歌う珍しい開始となります。やがて快活なるプレストとなり、時に表情を曇らせながらの陰影はみごとなもの。冒頭のアダージョが戻って締め括られました。第2楽章に「メヌエット」が置かれるのも特異でしょう。トリオでチェロとヴァイオリンが(会話のように)ゆったりと掛け合います。
第3楽章が「アンダンテ」の緩徐楽章となり、繊細で気品ある弦の溜息が聞こえました。Mozart セレナード ト長調 K.525(アイネ・クライネ・ナハトムジーク)にちょっと似て、もう少々大人のテイストでしょうか。終楽章も同様であって、あくまでロココ的ノンビリとしたワルツ(レントラー?もっと優雅か)でした。
第16番 変ロ長調もオーボエ2/ホルン2の同様の編成であり、3楽章11分ほどの短いもの(1763年頃)。変化に富んだ第1楽章弦の旋律は、やはり時に陰って味わい深い。第2楽章「アンダンテ」は、低弦(チェロ)がしっかりと(やや暗鬱なる)旋律を支えて歌います。終楽章「プレスト」はせわしなくも快活であって、シンプルな繰り返しが続きます・・・ちょっと作品的には、これが一番見劣りがするかな?
●
ウィーン・フィルのライナー・ホーネックがコンサート・マスターであり、弦の練り上げられた響きは極上です。全体として、ノンビリ、優雅な雰囲気が漂って、現代の騒音を感じさせることはないでしょう。多種多様な演奏を聴く機会もないが、急いたり、きんきんしたり〜そんなこととは無縁なんです。現代楽器であり、奏法として古楽器の研究を踏まえたものではないだろうが、なんとなく18世紀のテイストを実感させて下さる立派な演奏。録音も極上でした。 (2007年8月10日)
【♪ KechiKechi Classics ♪】 ●愉しく、とことん味わって音楽を●
▲To Top Page.▲
|