Haydn 交響曲第93/94/95番
(アダム・フィッシャー/オーストリア・ハンガリー・ハイドン管弦楽団)


BRILLIANT 99925/33 Haydn

交響曲第93番ニ長調(Erich Binder)
交響曲第94番ト長調「驚愕」(Rainer Kuchl)
交響曲第95番ハ短調(Erich Binder)

アダム・フィッシャー/オーストリア・ハンガリー・ハイドン管弦楽団

BRILLIANT 99925/33 1988/89年録音  33枚組 9,431円で購入したウチの一枚

 「えこひいき」「縁故による利便」はいけません。でも、Haydn(株)とは、あまりお付き合いがなかったし、どうしても顔見知りを頼りにしちゃう〜って、これ「驚愕」交響曲のことですね。曲によっては「いきなり心臓をわしづかみ!」みたいな可能性が押し寄せる場合もないではないが、なにせ全104曲・・・先行き不安。

 でも、やや知っている分不利でっせ。ここ最近聴いているのがモントゥー/ウィーン・フィル(1959年録音)、クリップス/ウィーン・フィル(1957年録音)でしょう。年季が違うというか、時代も、オーケストラも異なるから比べちゃいけん!と思いつつ、脳味噌の奥ではそれがエコーしてしまう。この時期のコンマスはキュッヒルらしいが。

 録音で損してると思うんですよ。悪い音ではないが、潤いに欠けて少々乾き気味。(これ、ここまで番号の大きい方から順番に聴いてきて、多少のばらつきはあるけれど、おおよそこんな感じ)ま、真面目・すっきりストレート系、よけいな飾りがなくて、全集続けるにはこんな演奏がよろしいのかも知れません。

 「風情」とか「巧まざる色気」みたいなものは期待できません。でも、各パートは腕利きが揃っているみたいだし、軽快な爽やかさはあります。ただ、アンサンブルとしての固有の個性、みたいなものは感じられない。これは、期待してるものが大きすぎるせいかも知れません。

 第2楽章は哲学的な作風ですから、これはもっと優雅に驚かせてくださいね。メヌエットはもっとゆったりとした舞踏がほしかったところ。終楽章は、早めのテンポがノリノリで好感を持てました。


 第95番ハ短調交響曲は、おそらく初耳。(自信なし〜CDが棚奥から出現する可能性有)これが牧歌的優美さと不安が入り交じった、なかなの名曲なんです。融通の利かないMozart 、といった印象か。オーボエ、ファゴットがたいへん美しい。Beethoven のハ短調をイメージすると、全然違うので要注意。

 アンダンテのゆったりとした弦が美しい。極上の静かな旋律。チェロのソロなんかも入るし、これ変奏曲ですかね。わかりやすく、短調への変遷も魅力的。メヌエットは「短調のMozart 」に近い。なかなか劇的です。終楽章はしっとりとした優しい旋律がMozart してますねぇ。それこそ「ジュピター」ですよ。この曲、気に入りましたね。


 順番が逆になりましたが、第93番ニ長調交響曲。序奏の和音が明るく、勇壮。典雅な3拍子がワクワクするようなアレグロへと続きます。この曲だったら、もっと元気良く、溌剌と演奏して欲しいなぁ。やや響きに密度が足りない。第2楽章は、いきなりのヴァイオリン・ソロがシミジミしちゃって聴きもの。そして陰影に富んだ爆発もあります。

 メヌエットは、これ以上アクセントを付けるとダサくなります。でも、オーケストラの響きに瑞々しさが足りないのは録音のせいだけ?途中、ティンパニとトランペットのリズムの刻みも、とても楽しい。終楽章は、そっと繊細な旋律が暗転したりして、なかなか凝ってます。演奏的には、もっと元気いっぱいでもよろしいでしょう。


 こんな一文書くために3度聴き直しております。3度目には、名曲たる所以が理解できます。あちこち文句付けたが、確実にHaydnさんへの世界が開けつつあります。なんでもそうだけれど、音楽は音にして聴かないとハナシにならない。そのためには、まずCDが手元にないとなんの可能性も開けないんです。全集は購入しましょうね。(2002年8月2日)


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written by wabisuke hayashi