Haydn 交響曲第88/89/90番
(アダム・フィッシャー/オーストリア・ハンガリー・ハイドン管弦楽団)
Haydn
交響曲第88番ト長調「V字」(Rainer Kuchl)
交響曲第89番ヘ長調(Thomas Brendis)
交響曲第90番ハ長調(Rainer Kuchl)
アダム・フィッシャー/オーストリア・ハンガリー・ハイドン管弦楽団
BRILLIANT 99925/27 1990/91年録音 33枚組 9,431円で購入したウチの一枚
この全集とのお付き合いはボチボチ・のんびり進みます。なんせ「初耳」ばっかしなんすよ・・・と第88番が始まったら、コレお馴染みです。何故かわからない。でも、とても良く知っていてこれ過去に集中して聴いているはず〜でも、まったくその記憶がない。手元のHaydnのCD取り出しても第88番は存在しない〜というかNAXOSのワーズワース盤(8.550287)しかない(はず。とにかくそんなに熱心に聴いた記憶なし)。
ト長調交響曲。短い序奏が終わると、もう歓びと躍動に溢れた幸せな瞬間がやってくるじゃないですか。このいきいきとしたリズム感、104番から順繰り下ってきたが、初体験じゃないかな?この全集録音も開始数年、良い感じにこなれてきたのでしょうか。第2楽章ラルゴの繊細さも出色の美しさ。メヌエットの瑞々しくも余裕あるリズム感。ユーモアを感じさせる大げさな表情。
終楽章は、例のシンプルなHaydn節がちょっと暗転したりして、変化が楽しげ。オーケストラに厚みもあるし、初めて「嗚呼、これけっこう優秀なオーケストラ」と気付きましたね。ヘ長調交響曲では、コン・マスはキュッヘル(ウィーン・フィル)→ブランディス(ベルリン・フィル)に交代。ここでも豊かな弦の響きに魅了されます。
しっとりして良い演奏だなぁ。なんて聴いていたら、ヘ長調交響曲も知っている旋律がいっぱいある。資料を調べているうちに「リラ・オルガニツァータ」(ライエルカステン〜見たことない楽器)協奏曲第5番ヘ長調からかなり引用されている、というか、終楽章なんかほとんど一緒。これ、リッツィオ/カメラーラ・ロマーナ(PILZ 449264-2。ま、幽霊演奏家表記だけれど)で所有しておりました。
交響曲第89番としては、ビョルリン/カペラ・コロニエンシス(LASERLIGHT 15 830)のCDを早くに買っていて、お気に入りでした。(古楽器)これが明るくて出色の楽しい旋律なんです。素朴な舞曲(タメもありまっせぇ)に、ホルンは大活躍、ヴァイオリンやチェロのソロも絡むし、「いかにもHaydn」風素朴な歓びに溢れて素敵です。
ハ長調交響曲は、再びキュッヘルがコン・マスを務めます。これ、間違いなく初耳曲。ハ長調作品は、一歩間違えばどうしようもなくノーテンキな作品になりがち(受け売り)とのことだけれど、「ジュピター」を例に取れば天才のワザは調性を問題としない、というか、この調性ならではの開放的な魅力を発揮してくれます。それはHaydnでもいっしょ。
第1楽章の生気に満ち溢れたスケールの大きさはもちろん(ラスト、ちょっと立ち止まって振り返る風情が粋)だけれど、第2楽章アンダンテのほの暗く劇的な旋律も魅力的。いやぁ、変奏曲は初心者にはわかりやすいや。ヴァイオリンとチェロのソロの掛け合いも美しいし。メヌエットはほとんどMozart の味わい(第39番)で、木管が良く歌うこと。重すぎず、薄っぺらくなりすぎず、溌剌としたスタイルがなんとも楽しげなんです。
終楽章は、いつもいつものHaydn節。細かく行きつ戻りつする音型が繰り返されるウチに、ノリノリの熱気が高まるでしょ。突然の暗転・立ち止まりも存分に衝撃的で、その回復ぶりも新鮮。この三曲辺り、ほんまに名曲揃いでっせ。なぜMozart ほど人気が出ないのか?やはり悪妻に虐げられていたせいでしょうか。それとも容姿問題か?もっとハンサムだったなら女性に人気出るかも。(2002年8月2日)
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