Franck  交響曲ニ短調(朝比奈/北ドイツ放送交響楽団)



ODE CLASSICS ODCL1005-2 1966年録音 Franck  交響曲ニ短調

朝比奈 隆/北ドイツ放送交響楽団

ODE CLASSICS ODCL1005-2 1966年録音 (7枚組2,980円で買ったうちの一枚)

 人気絶頂の朝比奈翁。のべ16年間も大阪に住んでいたのに、いまに至るまで生演奏を聴いたことがないワタシ。それどころか、CDも買ったことはありませんでした。(生来の天の邪鬼体質ゆえ)それでも激安CDが出てくれば話しは別。こんな価格だと(7枚で一枚分の価格)喜んで買います。モノラルですが、音質は良好。このオーケストラも好み。

 フランクの交響曲はむずかしい。フランス(系)の音楽でありながら、構成感も重要だし、一歩間違えればダルく、重苦しい音楽になってしまう。でも尻軽ではダメ。浪漫的劇的に表現することも可能(フルトヴェングラーの1945年録音〜魔法のようにテンポが揺れる)です。ワタシとしては明快に、華々しく演奏して欲しいところ。オーケストラの技術も録音も、この曲を楽しく聴くには重要なポイントです。

 朝比奈さんは、少なくとも録音ではレパートリーが限られているようだし、この曲は珍しいのかもしれません。このCD、たった一曲しか収録されていなくて41分。(でも安いから許す)フルトヴェンングラーが40分弱、遅いほうのテンポでしょう。まだ壮年期の演奏ですが、現在のスタイルと(言えるほど聴いてもいませんが)そう違いはない。あわてず、騒がず、じっくりとして落ち着いた演奏。

 正攻法というか、ひとつひとつの旋律にクドいくらいの精神を込めて・・・・といった感じではなく、意外とオーケストラ任せでストレート。それでも、第2楽章アレグレットの弦が朗々と歌うところはさすがでしょう。なにせ北ドイツ放響ですからね、派手さはないけれど、どのパートも透明かつ渋く、上手い。上手いが、安易に音が出過ぎることもない。テンポ・アップのところで、ぐっとタメをつくるのはいつもの朝比奈節。(第1楽章が代表例)

 朝比奈翁はアンサンブルの細部を整える人ではないけれど、オーケストラが優秀なせいでしょうか、粗さは感じさせません。呼吸が深く、Brucknerへの適正を確信させる演奏といえます。スケールの大きさもそこから来る。そういえば、Brucknerもフランクもオルガンをベースとした音楽を作っていましたっけ。

 終楽章も、そうとうに遅い歩みが重厚です。例のエキゾチックな転調の連続は、ニュアンスを度々替えてじつにワザは細かい。ワタシの好みでは、もう少し華々しく、弾むようなリズム、迫力が欲しかったところですが、この演奏はなかなか渋くって大人の音楽。一歩一歩たしかめるような、着実な歩み。刺激的にならない、重心の低い、分厚いオーケストラの響きの魅力。小細工はどこにも見られない。ラストの金管の大爆発はゾクゾクするほど。

 え〜、みんな大絶賛=朝比奈翁なので、避けておりましたが、こりゃ好きな人はいるだろうなぁ。けっこう楽しめました。元気で活躍してるうちに、一度くらい聴かないともったいないかな?(2000年5月26日更新)


比較対象盤

フルトヴェングラー/ウィーン・フィル(1945年録音) HISTORY 20.3137-302 で聴きました。もう、どこもかしこもすすり泣くようで、これはこれで凄い。圧倒的熱狂。ちょっと他の演奏が聴けなくなりそうなおそれ有。音質の良し悪し気にならず。

モントゥー/CSO(1961年録音) FIC ANC-1005A「20世紀不滅の名演奏家」シリーズより(第3楽章のみ)〜これほど明快で、オーケストラの華やかな音色が映える演奏はありません。音質良好。

ノイホルト/ロイヤル・フランドル・フィルハーモニー(1988年録音)NAXOS 8.550155〜名前から想像できない、スッキリと安定した演奏。こういうのは飽きがこないもんなんです。


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written by wabisuke hayashi