Dvora'k 交響曲第4番ニ短調/第8番ト長調
(イヴァン・アンゲロフ/スロヴァキア放送交響楽団)


OEHMS OC 376 5枚組1,390円 Dvora'k

交響曲第4番ニ短調 作品13
交響曲第8番ト長調 作品13(2003年ライヴ録音)

イヴァン・アンゲロフ/スロヴァキア放送交響楽団

OEHMS OC 376  2001年〜2004年録音 5枚組1,390円

 いつもの四方山話更新であります。(OEHMSはRCAやらARTE NOVAと資本関係はないらしい、ということはさておき)

 未踏峰”ミチョランマ”を自ら積み上げることにも厭きたが、ここ最近オークションでの処分もはかばかしくなく、棚中在庫CD総量削減計画は大苦戦中であります。子供時代〜若い頃に贅沢品であったLP、CDが廉価で登場入手できる興奮から思わず注文!次々と届いてもそうそう聴けるものでもなし。”ムダだ!”、”もったいない!”とは思いつつ、仮に全部聴けなくても先人の遺産は常備していつでも聴けることが重要だ、という理屈もあります。

 Dvora'kの交響曲は「新世界」「第8番」は大人気だけれど「それ以外」はさっぱり〜でも、交響曲全曲は座右には置いておきたいもの。ズデニェク・コシュラー(中心の)全集は、主に音質問題が気になって(本音では目先を変えたくて)処分済み。ま、このイヴァン・アンゲロフ全集がひとつあれば良いかな、第7/8/9番だったら沢山持っているし、なんて思いつつ、リボル・ペシェク全集を懲りもせず入手〜挙げ句、即処分の愚行経緯は既にサイトに更新済み。処分時に気付いたけれどDvora'k全集って全然世間人気ないんですね。なかなか売れなくて苦労しました(安価な入手はラクでっせ)。時代は便利になって、ネット上で聴くこともできます。

 スロヴァキア放響は、NAXOS初期録音にて”CSR交響楽団”(チェコスロヴァキア放送交響楽団/ブラティスラヴァ)としてお馴染み。ここでもその実力ぶりは健在でして、素朴といえば素朴、ユルい、薄い、ヘロい云々(とでもなんとでも言え!)・・・でも、エエじゃないの。キモはまず作品を楽しむこと、この素敵な旋律を味わうこと。交響曲第4番ニ短調第1楽章「アレグロ」始まりました。勇壮で劇的な迫力が・・・少々弱い。もっと元気良く、それでこそ優しい旋律との対比が映える。

 第2楽章「アンダンテ」の静謐なる変奏曲が、ほとんど天国的に、泣けるほど美しい旋律12分弱。ホルンの重奏が荘厳に語り始めると、辺りは夕暮れ色に染まるんです。やがてティンパニに導かれて弦が歌を紡いでいく〜あくまで安寧に充ちて纏綿と激昂しない。粛々として安易に盛り上げない。メロディ・メーカーとして定評あるDvora'k作品中でも出色の傑作也。ここが全曲中のキモ。

 第3楽章「スケルツォ」はいかにも民族的な泥臭い旋律、リズムが躍動して勇壮です。ちょっと泥臭過ぎるし、繰り返しがシンプルで厭きる?終楽章も、単純な音型繰り返し(これはDvora'kのパターンなんです)が成功しているとは言い難く、途中の優雅で明るい旋律でようやく一息ついた・・・と、思ったら”単純な音型繰り返し”(ちょっと暗転したりするが)に逆戻り。ここを楽しく聴かせられないのは、我らがアンゲロフ氏の責任か。リズムのキレやメリハリがどーも弱い。スケールだって大きくない。

 第8番ト長調は稀代の名曲名旋律ですよ。傑作。迫力、厚み、リズムのキレ(とくにティンパニ)に弱さはあるけれど、思わぬ健闘ぶりでしょう。第1楽章は良く歌って、悠々たる爽快な雰囲気に溢れます。旋律の美しさを素朴に、飾らずに表現して悪くない。傑作を傑作として聴かせて下さる水準。第2楽章「アダージョ」は気を抜くと、とんでもないダルい演奏に至るんです(そんな演奏をナマで経験したこともある)。激しい情感の部分でのメリハリ(爆発)が少々足りないけれど、まずは憧憬に充ちた味わいをちゃんと表現して下さって悪くない味わい。ティンパニがいまいちなんだな。

 第3楽章「アレグレット」はワルツなんですね。速めのテンポで哀愁のメロディを奏でていくが、優雅さと洗練に欠けるかも。でも、ま、名曲ですから。終楽章は(やはり)第4番とは天地の違い〜これが成熟なんだな。チェロの主題演奏が弱い、というか、薄いのだね、丁寧だけど。金管の爆発、フルートの目まぐるしいソロはお見事ですよ。大健闘。でもやはりリズムとノリが足りない。これはオーケストラの技量云々より指揮者の責任と感じます。

 ライヴだから、このくらいちゃんと演って下されば上出来か。素朴な味わいも悪くないが、この名曲にはあまりに多くのライヴァルが存在しました。

  (2009年5月15日)

【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi