● To CLASSIC ちょろ聴き
CLASSIC ちょろ聴き(34)
●Beethoven 交響曲第9番ニ短調〜フルトヴェングラー/バイロイト音楽祭(1951年録音)
駅売海賊盤での確認など笑止千万かも知れないが、3年ぶり聴きました。(このCDしか聴いたことがないが)音質は鑑賞に耐えうる水準。生来の天の邪鬼性格故、世評あまりに高いという先入観もあったのか、この演奏を楽しめたことはかつてなかったのです。 結論的には、とても完成度の高い、緻密に構成された美しい演奏と感じました。テンポの揺れも効果的。第1〜3楽章はもちろんだけれど(ワタシはあまり好みではない・・・特に「歓喜の歌」テーマ登場前のぐだぐだ回想部分)最終楽章は、ともすれば圧倒的なスピードと熱狂に話題の焦点が当てられることが多いと思います。
ここさえ、最終楽章ラストに山を持って来るという考え抜かれた天才のワザだと思います。「歓喜の歌」が変奏され、様々な楽器が絡み合う幻想的な美しさ。Wagnerのオペラを連想させるヘンゲンの重厚感溢れるソロの存在感。合唱の賑々しさも然り。
弦の瞑想的な歌、アダージョに於けるミス・タッチだらけのホルンさえ深い味わいが有。艶やかではないが美しいオーケストラだと思います。ラスト、常軌を逸した突っ走りはライヴのみに許されたことでしょう。こういうところのみを喜ぶ気にはなれません。
いずれにせよ、初めてフルトヴェングラーの実力に驚いた「第九」でした。遅れ馳せながら。稀代のオーディオ・マニアであった五味康祐さんは「オーディオで演奏の質が決まってしまうものは、所詮それだけのものでしかない」とおっしゃったが、録音で印象一変!と言う経験はワタシ如き凡人には日常茶飯事でした。(BBS書き込み→「音楽日誌」へ転載 2005年1月22日)
●Stravinsky 「花火」(1990年)「春の祭典」(1989年)「ペトルーシュカ」(1990年)「火の鳥」(1989年)〜インバル/フィルハーモニア管
ややデッドで自然で鮮明な音質。オーケストラの技術は正確であって、良く歌っているし、サウンドの質感によそよそしさはなくて、基本クールな表情ながらなんとなく親しげです。サイボーグ的ではなく、ちゃんと血が通っている。正直、気に入りました。「春の祭典」1947年版ってどこが違うの?)「ペトルーシュカ」のリアルな音像はヘッドホンを使うといっそう効果的だし、演奏だって細部入念な味付けとリズム感に不足はない・・・でも、どこか不機嫌というか、ワクワクするような遊園地の喧噪ではないような気もしないでもない・・・不満という程じゃないが、もう少し聴き込まないと。「火の鳥」は(自分なりの)評価に苦しむ、というか、まず録音がとても鮮明で驚きます。これは、英DECCA系やや人工的華麗でもなく、PHILIPS系ホールトーンを生かした中低音重視路線とも違う。やや残響少な目、あらゆる楽器の定位が明確で、打楽器の音の立ち上がりが、はっ!とするくらいクリア。ところが響きに、色気が妙に足りない。知的に計算されているし、アンサンブルも緻密。迫力にも欠けるものもないが、どうも不機嫌というか、さきほどの録音状態とも関係するのか、色気が足りない。でも、これは拝聴するに足る個性を感じさせて、しばらく聴き続けてみようと思わせる魅力もあります。「幻想的スケルツォ」は初耳だったが、魅力的な作品ですね。(音楽日誌より 2005年1月10日)
●Sibelius 交響曲第2/3番〜ザンデルリンク/ベルリン響(1974/70年)(1974/70年)
どんより曇り空であり、暗鬱な雰囲気漂って違和感有。北国の日差しは清涼で、けっこう(それなりに)強いものです。レパートリーとしてこの人に似合っているかどうかは疑問。(音楽日誌より)正直、昨年(2004年)はザンデルリンク拒絶反応があって、つまりどれを演っても大柄で立派すぎないか、と。もっと、親しみとか、粋とかそんなもの求めちゃいけませんか・・・(2005年1月10日)
●Mussorgsky/Ravel 「展覧会の絵」(1965年)Stravinsky「春の祭典」(1963年)〜カラヤン/ベルリン・フィル
考えてみれば中学校の音楽室にあったのがこの「展覧会の絵」のLPで、当然この曲との出会いはカラヤンのゆったり、まったり、雄大なる演奏ということになる。久々確認すると、テンポの遅さ、オーケストラの技術が抜群に優秀かつ甘い響きであること、余裕の緩いリズム感・・・のち、ライナーとかジュリーニに馴染むようになると、これってずいぶん大柄で桁違い(スケールが、艶が、緩さが)の演奏だったんだな、と気付きましたね。 CD時代になると、更に大曲がもうひとつ「春の祭典」収録。これもLP時代からお気に入りでした。然ダメ、アンサンブル細部雑な仕上げ(これがベルリン・フィル?)で、メリハリ・爆発全然足りなく、「そつなくまとめてみました」的演奏で、響きも濁って、それは録音のせいではないと思います。(音楽日誌より 2005年1月10日)
●Bach ブランデンブルク協奏曲全曲〜ボウルト/ロンドン・フィルのメンバー(1972年頃?)
これです。ワタシの求めていたものは。豊かで大柄で、躍動する喜び!戦前録音に見られる異様にスケールが肥大した違和感は存在しなくて、もっとオーソドックス、かつ王道を歩んだ音楽。「Bach は立派な音楽なんじゃよ!」とでも言いたげなボウルトの自信溢れた表情が想像されます。オーケストラは上手い!ワタシのような「通」じゃなくても、マンロウやらターナー(リコーダー)、ジェラルド・ジャーヴィス(v)の名前くらいは知ってます。そうだな、カラヤンの演奏を連想しました。(音楽日誌より 2005年1月10日)
●Rachmaninov 交響曲第2番ホ短調〜スヴェトラーノフ/ソヴィエット国立響(1968年)
このわかりやすさ、美しさ、陰影の濃さに痺れました。いえいえオーマンディ盤が悪いということじゃない、立派な演奏ですよ。(第1楽章と最終楽章にカットがある)久々、聴き比べたが、お国ものとはバカにできませんな。アメリカのほうが少々こだわりというか、やや歌い方に素っ気なさが気にならないでもない・・・あくまで、”やや”だけど。第3楽章の「アダージョ」の安らぎの旋律には泣けます。嗚呼、もっと泣きたい!(音楽日誌より 2005年1月10日)
●Handel ハープ協奏曲 作品4-6〜デュロワ(hp)、Mozart 協奏交響曲 変ホ長調 K.297b〜(様々なソリスト)、ファゴット協奏曲 変ロ長調 K.186e〜ネケホルドフ(?)(fg)/ガウク/ソヴィエット国立放送響(1951年)
う〜む、マニアックな演奏家でんなぁ。意外と音質良好で、まったりノンビリした味わいが豊かで、昨今のスリムというか痩せ過ぎの演奏とは大違い。正直、たいへん楽しめましたね。こんな演奏、いまどき(逆に)貴重でっせ。(音楽日誌より 2005年1月10日)
【♪ KechiKechi Classics ♪】
●愉しく、とことん味わって音楽を●
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