Orff 舞台形式によるカンタータ「カルミナ・ブラーナ」
(エルンスト・ヒンライナー/ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団/合唱団)
Orff
カルミナ・ブラーナ
エルンスト・ヒンライナー/ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団/合唱団/ハルトマン(s)/ブルンナー(t)/クノール(br)
DOCUMENTS 231061”CORPUS CHRISTI” CD10 10枚組 1,480円にて購入
なんとも素朴で飾りのない世界、へろへろの演奏のようにも聞こえ(とくに管弦楽)暖かい合唱には味があるようにも感じないでもない・・・残響少なく、人数も多くはない。なんともユルい雰囲気満喫・・・ ・・・これはケーゲル盤との比較時に感じたことです。廉価盤一筋のワタシだけれど、この価格だったらいろいろ冒険もでき、結果的に失敗に終わることもあります。”CORPUS CHRISTI”10枚組にはMozart 「教会ソナタ集」(トゥマ)が一枚ダブり(購入3度目/1枚は処分済)ます。期待のノイホルト/ブレーメン州立フィルの「復活」に失望し、Telemannの「マタイ受難曲」(パル・ネーメト)はなかなか全貌が見えない・・・
ヒンライナーの「カルミナ」は(駅売)PILZ音源として昔から知られていて(シンライナー、なんて表記されていたけれど)彷徨える音源なんでしょうか、こうして出会えるのも運命か。(BELLAMUSICAからのラインセンスって書いてあります)エルンスト・ヒンライナー(Ernst Hinreiner)は”畢生の宗教曲指揮者”と評されたそうで(ネットで調べたが、膨大なる録音有/既に亡くなっているらしいが情報詳細掴めず)改めて(ケーゲルの印象をぬぐい去って)聴いてみると、立派な演奏であると理解できました。
「・・・残響少なく、人数も多くはない」というのは間違いであって、奥行き豊かで残響も適度、けっして悪い音質ではない。厚みも力感も鮮度もちゃんとある。打楽器の定位だって明快です。「なんともユルい雰囲気」というのはオーケストラの牧歌的サウンドの印象であって、それもケーゲル盤のあまりに壮絶な、叩き付けるような迫力躍動が前提にあったのでしょう。声楽陣は素晴らしく充実していて、「暖かい合唱には味がある」ことに間違いありません。
全体として、ケーゲルの(暴力系)切迫感よりバランス重視の穏健派演奏だ、ということです。ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団はソフトであり、洗練先鋭を旨としない響き。アンサンブルに厚みもあり、技量的な問題一切なし。ルドルフ・クノール(br)の声は甘く、貫禄があって素敵です。第2部 In Taberna 居酒屋にて〜「Estuans interius 激しい怒りを胸に秘め」の声楽+管弦楽の立派さはケーゲル盤に負けない。続く、「Olim lacus colueram 昔、私は湖に住んでいた」のリヒャルト・ブルンナー(t)のオーヴァー・アクション絶好調。ここは(いつも作品中)聴きものです。
テナー・ソロのあとのオーケストラ、男声合唱がノンビリしていて、その対比も効果的。「Ego sum abbas 我は大修道院長様」の打楽器炸裂と、合唱の掛け合いの衝撃はケーゲル盤に負けません。(トラック16)「第2部 居酒屋にて」を聴いていると、まるで合唱付きの「春の祭典」を連想します。第3部「愛の誘い」は優しく、女声中心の歌に癒されます。ラスト、冒頭の「おお、運命の女神よ」が回帰するが、ワザと抑制して叫んでないことが理解できました。きりきりと胸を突き刺す衝撃ばかりが「カルミナ・ブラーナ」ではない。 (2008年1月4日)
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