Bruckner 交響曲第7番ホ長調
(ロベルト・パーテルノストロ/ヴュルテンベルク・フィル)


Membran 232766  Bruckner

交響曲第7番ホ長調(ノーヴァク版1885年)

ロベルト・パーテルノストロ/ヴュルテンベルク・フィル(ロイトリンゲン

Membran 232766 2000年録音(ヴァインガルテン・バジリカ・ライヴ)

 究極の安さと演奏内容の充実に於いて話題の全集より。HMVユーザーレビューは(この時点)61件というモウレツな件数となっております。★4個以上の高評価は88.5%。日本の音楽愛好家には評判高い。もともと【♪ KechiKechi Classics ♪】 の主眼は大きな経済的負担なくして気軽に音楽を愉しみましょう。知名度や世評、プロ評論家の決め付け、先入感にこだわらず自分の耳で聴き、言葉で語りましょう。そんな趣旨だったはず。ところが・・・気付けば「音楽日誌」への言及は一流著名オケばかり。オケが上手いとか、アンサンブルの集中云々ばかり・・・これは原点から外れてきているんじゃないか・・・

 CDがどんどん安くなったり、自主CD一枚@14也に至ると、音楽への対峙姿勢も安易になりがち。もっと音楽に対して謙虚にならなくては・・・Brucknerは著名なるギュンター・ヴァントの全集を聴いて、すっかり基準(リファレンス)が変わってしまいました。かっちりとして、ひとつひつの旋律に魂を込め、盤石なる構築物に至る〜申し訳ないがゲオルグ・ティントナーはしばらく聴けないな(処分済)それどころか定評あるオイゲン・ヨッフム新旧全集迄処分してしまう結果に。新世代の演奏もぼちぼち聴けるようなって、ますますBrucknerには混迷を深めて聴きつつある今日この頃〜

 全集全部そうなんだけど、豊かな残響の足が長く、そのことを前提とした、落ち着いた表現、間の取り方(残響にて埋まってしまう)になっているおりますね。各パート際立つような輝き、個性ではないんだけれど、豊かな残響百難隠す!状態に至って、優雅かつ美しい第1楽章「アレグロ」。全曲62分強だからテンポは中庸なんだけど、とても遅い、丁寧に描き込んでいるように聞こえます。アンサンブルの縦線がどうの、とか、ライヴ故のミスタッチ云々を指摘することは可能だけれど、それが音楽の本質に影響するとは思えない。弦、管とも落ち着いて、素朴。強靱かつ芯のあるセクシー・サウンドではないんだけれど、これぞ、”求めていたBrucknerサウンド”的牧歌的ウォーム・サウンドに手応え充分有。煽ったり、走ったり、そんな急いた表現皆無。

 この作品の白眉である第2楽章「アダージョ」。よくよく聴けば金管などあまり”上手く”ないんです。でも、それが?といった諄々とした着実な歩み、時にテンポをやや、ほんのちょっと速めてテンションゆるゆるにならぬよう適度な引き締めも有。表情付けにも抑制があって、全体に静謐が支配して絶品!これも豊かな残響の成果か。クライマックスの力感に不足なし、シンバル、トライアングル、ティンパニが華やかに炸裂します。ホルン、ワーグナー・チューバは深く、エエ感じで鳴ってますよ。第3楽章「スケルツォ」はオケの威力を発揮すべき、全曲中のキモであります。微妙な縦線のズレは存在するが、野性的なリズム感に不足はなく、そして喧しくも前のめりの印象を与えぬ優雅さ、たっぷり。中間部の優しい表情もよろしいなぁ、冷静に聴けば弦はずいぶんと地味な響き(終楽章もそう)なんだけど、妙に作品個性に似合っている感じ。

 所謂、”鳴り振り”の良いオケじゃないんでしょう。しかし、会場残響がすべてを覆い隠して終楽章に至りました。前3楽章の明快なる個性に比べ、終楽章はわかりにくいというか、安易な作りを感じるんだけれど、パーテルノストロは大仰に構えず、着実誠実に歩んでここまで辿り付きました。金管のミスタッチ云々される人もいらっしゃるが、全然気にならない。力みやら激しい爆発ではない、残響に支えられた分厚い響きが、美しくも素朴な味わいに充ちて聴き疲れいたしません。

 誰々と比べ、というのは音楽聴取に於いて失礼なことかも知れぬが、バレンボイム/シカゴ交響楽団(1979年)より好きですね。オケの技量やら、アンサンブルの精緻のみでは測れぬ音楽の不思議であります。各々の音楽ファンは、各々自分の贔屓の美点を見つけたらよろしいんです。

(2011年9月10日)

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written by wabisuke hayashi