Brahms 交響曲第1番ニ長調 作品68
(パーヴォ・ベルグルンド/ヨーロッパ室内管弦楽団)
Brahms
交響曲第1番ニ長調 作品68
パーヴォ・ベルグルンド/ヨーロッパ室内管弦楽団
ONDINE ODC 990-2T 2000年録音バーデンバーデン・フェスティヴァル・ホール・ライヴ 3枚組より
2012年1月末、パーヴォ・ベルグルントが逝去されたそう(83歳)。華やかな経歴や人気を誇る人に非ず、しかし、得難い個性とレパートリー、録音にはいつも手応え充分な実力派、棚中けっこう多くのCDが残っております。MyCD時代に入った1990年前後からのお付き合い、ずっと途切れることなく彼の音楽を堪能し続けて参りました。2003年のコメントは少々辛かったが、その後、考えを変えております。すっきりとして威圧感はない、そしてシミジミとした情感にも欠けない。やや苦手Brahms ながら、彼を追悼いたしましょう。じつは第2番を先に再聴して、なんと言えぬ清潔なサウンド+優雅な歌に痺れておりました。
こちら勇壮なる交響曲第1番ハ短調。出会いはローティーン中学生の頃、御大カラヤン/ベルリン・フィル(1963年もちろんLP)でした。そりゃ立派でしたよ、カッコ良いし。恐れ多くも荘厳だし。第1楽章「Un poco sostenuto - Allegro」始まりました。即9年前の記憶が〜”恐れ多くも荘厳”な風情とは無縁、第2番だったら穏健牧歌的な旋律が小編成クリアな響きに似合うんだけれど、立派な分厚い響きに耳慣れていれば、その違和感は相当でしょう。
やや速め、落ち着きのないテンポ、リズム軽量、厚みにも低音にも不足するのは録音問題に非ず。たしかに”愛車・セルボ(軽・中古650cc)が急坂を上っているみたいな、ムリがあちこち”(当時は未だ排気ガスを撒き散らしていた)といった印象ないでもない。細部仕上げに甘さ?小編成故、アンサンブルの詳細はいっそうはっきりと表出するのでしょう。Brahms って響きの総和を愉しむ、みたいなところってあるでしょうが。各パートがばらばらに聞こえてくるような印象もありました。
提示部繰り返しは嬉しいですよ。ワタシは”繰り返し支持派”なんです。第2楽章「Andante sostenuto」に入ると上記印象はかなり変化いたしました。テンポ設定にも違和感なし、耳慣れたということもあるのか。それとも緩徐楽章だから”恐れ多くも荘厳”風情は必要なし、ということか。飾り気なく素朴、清楚に美しく、デリケートに歌います。起伏もあって情感豊か。呼吸もリズムも自然な揺らぎ。オーボエは雄弁、いかにも(おそらく)若者らしく華やかに目立ち、弦は清潔でありリズミカルであります。ヴァイオリン・ソロは木管とのバランス同等になって、奥床しく存在を主張しておりました。
第3楽章「Un poco allegretto e grazioso」。グラツィオーソ(優雅に)であり、本来ならスケルツォが置かれるべき楽章は、気軽に鼻歌でも歌うような(それこそ)優雅さ。ここに至って、いつもより響きが薄い、といった違和感皆無となり、リズム変化する晴れやかなる中間部も、ラストに向けて、どんどん速度が落ちていくコントロールもお見事。(アタッカで次楽章に突入して欲しかったが、やや間が開いて)終楽章「Adagio - Piu andante -Allegro non troppo, ma con brio -Piu allegro」へ。
それこそ、”恐れ多くも荘厳”な風情な楽章なんだろうが、全体の響きはやや軽量ながらさ、ほどに違和感はない。ホルンを中心としたコラールには少々深み不足(明るい/やはり若い奏者?故か)。やがて「歓喜の歌」はリズミカルに、ウキウキとしたリズムに乗って軽快ノリノリであります。ティンパニ大活躍。陰影充ちて壮大!といった方向ではなく、まるで青春のBrahms 。作品的にこの表現方法にすべて賛同いたしかねるが、若々しいオーケストラ響きたっぷり堪能いたしました。
(2012年2月4日)
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