Brahms ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調/4つのピアノ小品集 作品119
(カリン・レヒナー(p)/マルトゥレット/ベルリン交響楽団)


これはネットで拾ったVerdi原盤CD Brahms

ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調
4つのピアノ小品集 作品119

カリン・レヒナー(p)/エドゥアルド・マルトゥレット/ベルリン交響楽団(旧西)

BRILLIANT 93554/8   60枚組全集より  録音年不明 1980年代?

 既に12年前となった恥ずかしい文書が【♪ KechiKechi Classics ♪】に載っております。(旧西側にあったベルリン交響楽団を”廉価盤に時々出現するややヘボいほうの団体”と傲慢なる上から目線コメント有/なんども来日して下さって感謝)当時は未だネット上での反応も多くて、熱心な投稿をいただいたのも懐かしい思い出。やがて件の3枚組を処分し、似非金満中年は60枚全集を購(あがな)ったものです。なんせ安かった!既に廃盤でしょう。右上の写真はネットで拾ったVerdiレーベルの(おそらく)オリジナル。

 ここ最近、Brahms の鬱蒼と鬱陶しいサウンドが妙に心境にフィットしております。この長々しい変ロ長調協奏曲もけっこう聴く機会は多いし、同作品未聴音源は未だいくつか(棚中+パソコンHD中に)眠っております。さて、久々の拝聴印象はとても爽やかなものでした。

 もともとがピアノ・オブリガート付き交響曲的構想だそうで、管弦楽の厚い響きを期待したところ。以前(大昔)のワタシには

”冒頭のホルン命。まぁまぁ。やがて、さわさわと静かに歌われる弦に乗って、南国への憧れが表現される喜び。・・・快調でこれなら交響曲を録音してもおかしくない。奥行き、深さ、艶消し、重心の低さ、落ち着いた味わい。輝かしさ〜派手、という意味ではなくて〜にはやや力不足ではありますが”
とのコメント有。第1楽章「Allegro non troppo」始まりのホルンは少々牧歌的というか深みを欠いて、各パート全体に地味なサウンドながら、整って立派なアンサンブルであります。つまり、当時の印象とほぼ変わりはない。Brahms に期待されるサウンドに不満はない水準、厚みはもう少々欲しいところだけれど、清涼さも感じさせて悪くない。全体にテンポは中庸。もちろん音質も自然、極上であります。

 レヒナーのピアノはエエ感じやなぁ、古風でも強面でもない、清潔であり濁りのない音色を誇って、もちろん技巧になんの不足もない余裕。激昂や熱気ではなく、クール落ち着いた佇まいを崩さない、力感にも不足しないと思いますよ。古くはシュナーベル、バックハウス、そしてギレリス辺り、怖い爺さんの録音ばかり記憶に残っているが、こんな爽やかなBrahms もあるんですね。

 第2楽章「Allegro appassionato」は(協奏曲には珍しい)スケルツォ楽章となります。こりゃほんまに交響曲でっせ。Haydn辺りを前提にすると、ずいぶん哀切と切迫に充ちて劇的な旋律。ここでもレヒナーの清潔しっとり、ニュアンスたっぷりなピアノは、巨魁劇的なオケの響きに埋もれずムリなく”協奏”しておりました。一歩間違えれば、混沌なる響きの渦に巻き込まれそうな楽章もクリア華やかなサウンドを維持しております。第3楽章「Andante」は、第1楽章冒頭のホルンと並んで、チェロのソロが腕の見せどころ。Brahms とかBrucknerって、”ホルンとチェロ”キモですもんね。

 これがみごとにホルンと同印象であって、ま、特筆すべき個性より手堅いフツウといった感じ。やがて静々と弦が参集すると一気に荘厳なる雰囲気高まりました。(かなりの清冽な響き)先ほど”テンポは中庸”と書いたが、ここは12:07だからやや速め?実際の印象にはそんなことはなくて、余計なる情感を交えずリリカルていねいに、あくまでタッチは硬質にならず、淡々と懐かしい旋律を紡いでいきました。ここ白眉じゃないか。

 第4楽章「Allegretto grazioso」はそっと、懐かしい情感を湛えたままスターいたしました。ここも力みがなく、清潔かつ瑞々しいタッチが淡々と続きます。往年の巨匠のような深い精神性?みたいな深刻さではなく、もっと”南国への憧れ”風デリケートな歌が続いて、技巧のみが前面に表出されないことにも好感が持てます。知名度的には低いかも知れぬが、希有な魅力を持った演奏と思います。

 「4つのピアノ小品集 作品119」収録は旧盤通り。じつは40枚組入手事前調査ではCD8は協奏曲第2番のみ、となっており、ああ安くなったし、ホーカン・アウスタボによる別録音が入ったから割愛されたのかな?と勘違いしておりました。ピアノ独奏曲は協奏曲以上に”初老のおっさんを彷彿させる音楽”と考えてきたが、これが細部配慮が行き届いてまるでChopin ?といった風情に溢れて、切なく聴かせて下さいました。

(2012年7月22日)


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written by wabisuke hayashi