Vaughan Williams グリーンスリーヴスによる幻想曲/
イギリス民謡組曲/トマス・タリスの主題による幻想曲
(エイドリアン・ボウルト/ウィーン国立歌劇場管弦楽団)
Vaughan Williams
トマス・タリスの主題による幻想曲
グリーンスリーヴスによる幻想曲
イギリス民謡組曲
エイドリアン・ボウルト/ウィーン国立歌劇場管弦楽団
Westminster WTC-148 1956年録音
Andrew Manze(1965ー)の新しい録音を聴いて、関連情報をサイト内検索しておりました。すると15−20年前の恥ずかしいコメントを発見!既にCDはかなり以前に処分済、ヴィクトール・デザルツェンスの音源は再入手していないけれど、Adrian Boult(1889ー1983英国)新旧種々の録音はほとんど聴いて、ちょいと異色なウィーン国立歌劇場管弦楽団との(この)録音は自分にとって”英国音楽好き”の原点のひとつであることを思い出しました。誰でも知っているしっとり美しい「グリーンスリーヴス」幻想曲との出会いは小学生?中学校だったかな?アーサー・フィードラー/ボストン・ポップス管弦楽団でした。(←駅売海賊盤は処分済)
ネットより入手した音源はLP復刻?以前の類推通りオリジナル(Westminster WTC-148)はVaughan Williams3曲のみだったのですね。1956年ステレオ録音はやや肌理が粗いけれど、それなりの広がり、奥行きも美しいこのオーケストラの実態はウィーン・フィルとのこと。「惑星」もそうだけれど、この当時ウィーンでは珍しいレパートリーだったのでしょう。ボウルト当時67歳、既にけっこうヴェテランだったのですね。
Thomas Tallis(1505頃ー1585英国)の詩篇よりより採られた主題は、フクザツな編成3群の弦楽器によって、重厚かつ荘厳な幻想曲に仕上がりました。いかにも英国伝統らしいジミな深呼吸瞑想続いて壮麗な作品。オルガンの響きを目指したとか。途中弦楽四重奏が重厚なアンサンブルの中より浮かび出るところ、目眩がするほど魅力的でしょう。しっとりウェットに厚みのある弦はあわてず騒がず、ヴィヴラートたっぷりに瑞々しい。(16:38)
稀代の名曲「グリーンスリーヴスによる幻想曲」の編成は弦楽合奏+ハープ+フルート(1本または2本)、フルートはヴァイオリン・ソロで代替可能とのこと、これはレナード・バーンスタインの録音で確認できます。ハープはピアノで代替可能とか、それは聴いたことはありません。幽玄なフルート・ソロがハープの伴奏に乗って粛々とスタート、弦が著名な旋律を纏綿と奥深く奏でて・・・最高。中間部に民謡風の旋律リズムに変わってアクセント(ノーフォーク地方民謡採取とのこと)弦からフルートへの旋律引き継ぎ、掛け合いも夢心地、再び冒頭のフルートに戻って「グリーンスリーヴス」旋律を弦が締めくくる名曲中の名曲!(わずか4:54名残惜しい)たっぷり美しいけれど、贅沢云えば弦もフルートもやや重いかな?
「イギリス民謡組曲」。上記2作品も大好きだけど、これが快活、明るく庶民的な風情が一番のお気に入り。これは吹奏楽なんですね。以下Wikiからの情報コピペ。第1曲 行進曲「日曜日には十七歳」(March - "Seventeen Come Sunday")(「日曜日には十七歳」「可愛いキャロライン(Pretty Caroline)」「富める人とラザロ(Dives and Lazarus)」3:32)第2曲 間奏曲「私の素敵な人」(Intermezzo - "My Bonny Boy")(「私の素敵な人」「緑の茂み(Green Bushes)」3:48)第3曲 行進曲「サマセットの民謡」(March - "Folk Songs from Somerset")(「朝露を吹き飛ばせ(Blow Away the Morning Dew )」「高地ドイツ(High Germany)」「とても高い木(またはWhistle, Daughter, Whistle)」「ジョン・バーリーコーン(John Barleycorn)」3:48)からなる11分ほどの作品。英国の民謡なんて知らねえよ!てなところだけど、”「富める人とラザロ」の5つのヴァリアント”には同じ旋律が引用されるし、そんなムツかしいこと云わんでも、どこか懐かしい、ユーモラス素朴な喜び溢れる風情をしっかり受け止められることでしょう。これっておそらくウィーン・フィル(?)唯一の録音、エイドリアン・ボウルト(またはプロデューサー)は大胆な選曲をしたものです。快活な管楽器の魅力横溢。
Holst 組曲「惑星」(1959年)のCDフィル・アップには収録時間の関係か、この「イギリス民謡組曲」が含まれないのは残念。 (2019年11月3日)
Vaughan Williams
グリーンスリーヴスによる幻想曲
イギリス民謡組曲
トマス・タリスの主題による幻想曲
エイドリアン・ボウルト/ウィーン国立歌劇場管弦楽団
Elgar
序奏とアレグロ 作品47
Britten
前奏曲とフーガ 作品29
ヴィクトール・デザルツェンス/ローザンヌ室内管弦楽団
MCA MCAD29813B 1959年録音 「惑星」と合わせて2枚2,000円で購入
2003年再聴です。このCDは(c)(p)1988だから、ワタシのCD収集の極初期の頃の一枚。LP収集にやや煮詰まっていた頃で、スタインバーグの「惑星」がCDで手に入ったので、もう一枚の「惑星」(ボウルト/ウィーン国立歌劇場管弦楽団)は売り払ってしまった、という大バカモノであった頃に購入。あれから数百円の中古盤を再度探しているけど、1,714円の正規盤は買えないや・・・・閑話休題。
じつはボウルト/ロンドン・フィル/ニュー・フィルハーモニア管/ロンドン響によるVaughan Williams(以下、Vaunghan Williams)交響曲全集+主要管弦楽曲集8枚組(EMI 5 73924 2 3,360円)を購入しまして、少しずつ痺れまくりつつ聴いているところ。2枚目に「タリス」が、7枚目には「グリーンスリーヴス」も「イギリス民謡組曲」も収録されていて、ああ、これがほんまに横綱相撲の自然体。この曲、大好きです。LP時代はバルビローリで愛聴。出会いはフィードラー。
ま、下の数年前の文書はいつも通り、恥ずかしくて読むに耐えません。想像だけど、LP時代はVaunghan Williamsのみ3曲で一枚だったんじゃないかな。収録的におかしくないね。少々短くても。イギリス音楽、と一口で言っちゃうと語弊があるけど、おおよそ「静かに深呼吸するような音楽」「上品で真摯」「淡彩な切なさ」でしょうか。Brahmsの世界にやや似るが、あくまで涼やかな響きが魅力。年寄り向けかな?
「グリーンスリーヴス」〜正直、この曲に演奏の良し悪しなどあろうはずもなし。わずか5分弱の悦楽。感涙。脳髄が痺れます。このやや古い録音もなんの不満があろうか?〜って、やっぱり音の鮮度がややおちるし、ロンドン響との録音(1968年)に比べると、オーケストラの響きに違和感がないでもない、少々温度が高いというか・・・・と、いうような文句を言うようになった数年後のワタシ。素直に音楽を楽しむには、精神に雑念が多い状態を意味していて、反省するばかりか。
でも「イギリス民謡組曲」は、1970年録音(これもロンドン響)と比べてなんら損傷はない。これは誰でも知っている懐かしい旋律に存分に浸れること、まったくもって保証できます。素朴で、ちょっと粋で、味わい深い。そして剽軽で楽しい。
「タリス」はね、「グリーンスリーヴス」があっという間に終わってツマらない、という人々のためにある曲なんです。だいたいWESTMINSTER(レーベル)での「VIENNA STAT OPERA ORCHESTRA」とは、フォルクス・オーパーのことを指す場合が多いとされるが、文字通りの「ウィーン国立歌劇場」でもおかしくない水準の弦の練り上げ具合が存在します。この曲、湿度の高い澄んだ空気が、広大なる青い野山を覆い尽くすような感触がある。
残りのElgarとBrittenは演奏者が交代しました。デザルツェンスなんて、ほんとうに懐かしい。昔の廉価盤にしか登場しませんよね。ローザンヌ室内管の録音だって珍しい。これが意外なほどしっとりしていて、まったりとした気持に浸ることができるんです。
「序奏とアレグロ」って、題名は素っ気ないが、弦楽四重奏と弦楽合奏との「嘆き合戦」なんです。正直、かなり後年になってアンドルー・デイヴィスだったかな、もっと浪漫的でタメのある演奏を聴いちゃうと、やや素っ気ないような演奏ではあります。Elgarは英国音楽中ではもっとも濃厚な味わい〜これはこれでたまらない魅力。
Brittenはもっとセンスが現代的です。そして躍動が存在する。ずいぶんとその後CDは聴いたけれど、この曲はこの演奏以外聴いたこともありません。(2003年4月4日)
以下、(おそらく)4年前の恥ずかしい文書もそのままに。
誰でも知っている「グリーンスリーヴス」。これは本当に名曲ですよね。フルートと弦とハープだけというシンプルな編成ながら、フルートの朗々としたソロにハープが低音で絡まってくる冒頭から、切々とした弦の泣きに至るまでゾクゾクしますね。曲の印象から云ってバルビローリが一番でしょう。LP時代はちゃんと1,000円盤で出ていたので愛聴しておりました。でも海賊盤も含めてなかなか輸入盤・廉価盤で出てくれない。(2000年ついに購入!)
それを埋めて、余りあるCDがこのボウルトの素敵な1枚なんです。
ウィーン国立歌劇場管弦楽団との珍しい組み合わせで、「惑星」との2枚セットで買ったのに、一時の気の迷いで「惑星」のみ売ってしまったバカなワタシ。きっとLPのときは、デザルツェンスの2曲は入っていなかったのだと想像します。録音は意外と繊細で、いい感じのステレオ。
ゆったりとしたテンポで、自信たっぷりの悠々とした歌。オーケストラの実体はフォルクスオーパー辺りでしょうか、ボウルトにかかると、立派で骨太、いきいきとしたアンサンブルになるのは不思議です。弦も管楽器も練り上げられた響きで、貫禄充分。泣かせます。
聴く機会の少ない「イギリス民謡組曲」は、誰もが知っている懐かしい旋律ばかり次々と飛び出します。初めて聴いても「初めて」とは思わないでしょう。「タリス」の深い呼吸の見事さは云うまでもありません。こんなに楽しく、美しい演奏は貴重。
デザルツェンスの指揮で近代イギリスの作品が2曲フィル・アップされていて、余白の穴埋めとは云えない、これもRVWに負けない名曲。
エルガーは、現代の合奏協奏曲(たしか弦楽四重奏と弦楽器の組み合わせ)に、「泣き」の旋律がのった名曲。一つひとつの旋律をいとおしむように、ていねいに演奏しています。編成の少ないオーケストラが清潔な響きですが、さすがにボウルトに比べると貫禄は少々落ちる。
ブリテンは、リリカルで現代的な味わいの曲。後半のちょっとおどけた快活なフーガが魅力的です。ローザンヌのオーケストラは、響きが少々地味ながらわるくありません。音の濁りがちょっと気になるものの、後半のアンサンブルの技術はなかなかのもの。
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