Holst 組曲「惑星」
(ウィリアム・スタインバーグ/ボストン交響楽団)


(輸入元エコー・インダストリー)CC1057
Holst

組曲「惑星」作品32

ウィリアム・スタインバーグ/ボストン交響楽団/ニューイングランド音楽院合唱団(1970年録音)

LIGETI 「ルクス・エテルナ(永遠の光)」

ヘルムート・フランツ/北ドイツ放送合唱団(1971年録音)

(輸入元エコー・インダストリー)CC1057  1,000円にて購入。

 2008年個人的「惑星ルネッサンス」に至っております。数ヶ月で4種のCDを入手、飽きもせず連日愉しんでいるが、個人的な原点はこのスタインバーグ盤となります。LP時代から馴染み、1990年代CDに在庫変更をした時に購入したのは、当時「1,000円激安」(非正規ライセンス/駅売海賊盤)だったから、という理由。DGレーベルの音源(廉価盤)としてずっと現役であります。

 この(エエ加減なる)盤でも、かなりの優秀な録音であることを実感出来。若い頃からこればかりだから、これが個人的基準(リファレンス)なんです。たしかこのLPを購入した日に、そのままご近所の音楽好きの家におじゃまして、お酒を飲みつつ拝聴した記憶もあります。(同好の志も既に故人となられました)もう20年以上前のこと。今は昔。

 「速いテンポ、やや前のめりのリズムで、バリバリ進んでいく」「細部までアンサンブルを整えたり、節回しの微妙なところにこだわらず、とにかく勢い」〜とは10年程前のコメントだが、なるほどその通り。ボストン交響楽団は優秀であって、「ホルンの深い音色や、弦の繊細な響きなんて聴きもの。どのパートもほんとうに上手い」というのも間違いない。「アメリカのオケにしては、意外とキンキラしていない」というのは、いったい何が念頭にあったのかな?華やかに、朗々と鳴り渡るオケであります。

 冒頭「火星(戦争をもたらす者)」より、尋常ならざる焦燥感を感じさせる急いた勢い有。颯爽とカッコ良くもある、前のめりの推進力。オケは輝かしく金管鳴り切って、駄目押しのように加速して、熱気いや増すばかり。ボウルト盤(1978年)7:57に対してわずか6:34のストレート快速テンポでした。「金星(平和をもたらすもの)」では一転、艶やかな弦がさらり静謐繊細に歌って、テンポが速くはないけれど、スッキリもたれない表現となります。ホルンもエエ音だなぁ。

 快速なのは「火星」「土星」「天王星」〜他は特別なテンポではないけれど「さらりスッキリ」とした印象があるのは、纏綿と歌わないからでしょう。剽軽なる「水星(翼のある使者)」のリズム感の良さ、アンサンブルは特筆すべき精緻さであります。各楽器の自然な位置関係、存在感にも文句なし。「木星」は全曲中の白眉だから、悠然たるタメで表現したところだろうが、さっくりとして素直、明るい表情で乗り切りました。素朴で、ちょっと粗野な感じがして、荘厳にもったい付けた表現ではない。

 「土星(老いをもたらす者)」は、金管が弱音〜最強音まで弱くならない(様子がよくわかる)のがボストン響の威力なのでしょう。後半の幻想的なサウンドも厚みがあって聴きもの。「天王星(魔術師)」は「魔法使いの弟子」によく似たスケルツォ楽章となります。素っ気なく進めているようでも、喧しく響きが濁ることはない。リズム感の良さ(ティンパニが上手い!)と、金管圧巻の厚みに満足。タンバリンの、確かな存在にもはっとさせられます。オルガンもちゃんと聞こえます。

 「海王星(神秘主義者)」〜弱音の美しさ、繊細さ、女声合唱の効果では、これ以上の演奏を聴いたことはありません。

 LPより収録時間が延びて、CDはフィル・アップが問題となってきました。ここまで価格相場が下がったら、潔く「コレ一曲」でもよいのでは?と最近感じております。手持ち他のCDでは「威風堂々」「エニグマ」「グリーンスリーヴス」・・・どれも少々違和感があって、ズービン・メータ/ロサンゼルス・フィル(1971年)の組曲「未知との遭遇」(1977年)が一番似合っているかな、と感じました。

 「ルクス・エテルナ(永遠の光)」は、映画「2001年宇宙の旅」に使われた前衛作品だが、LP時代からのオリジナル収録だったと記憶します。静謐無垢なるアカペラによる不協和音は、まるで太陽系から外に飛び出してしまった小さな宇宙船を連想させる神秘さ有。7:57の幻影です。

(2008年3月21日)

 海賊盤の音源としてはカラヤン/ウィーン・フィルに取って替わられて最近見ません。(著作隣接権改訂の余波)ネーム・バリュー的にスタインバーグじゃ弱いですしね。DGの正規盤も、あまり見たことないから貴重かも。

 数年前に来日しているピンカス・スタインバーグという人は、息子さんだと思います。写真で見た限り禿具合などよく似てました。(NAXOSでCDが出ている)W.スタインバーグはアメリカで活躍した往年の名指揮者。ピッツバーグ響の音楽監督(1952〜76年)、晩年にはラインスドルフの後任、小沢征爾の前任としてボストン響の音楽監督(1969〜72年)も務め、1978年に亡くなっています。

 実力派ですが、(少なくとも日本では)華やかな存在ではありませんでした。でも、ベートーヴェンやブラームス、シューベルト、R.シュトラウスなどの大曲、アメリカの音楽なども積極的に録音しておりました。1960年前後に、Capital、Command辺りで膨大な録音もあります。

 この「惑星」はLP時代から愛聴していたもの。速いテンポ、やや前のめりのリズムで、バリバリ進んでいく彼らしいスタイル。テンションも高く維持していて、ボストン響の優秀なアンサンブルを堪能できます。「金星」におけるホルンの深い音色や、弦の繊細な響きなんて聴きもの。どのパートもほんとうに上手い。アメリカのオケにしては、意外とキンキラしていないのも好ましい。迫力充分ですが、落ちつきのなさを感じさせるかもしれません。(ボウルトの演奏なんか聴いちゃうと「あれは横綱」と思う)

 この人は、細部までアンサンブルを整えたり、節回しの微妙なところにこだわらず、とにかく勢い「命」。ストレートで飾りは一切なし、テンポも揺れない、元気いっぱい。冒頭の「火星」のリズムからノリノリなのです。アッチェランドも切迫感があって決まっている。燃える演奏。聴いていていたたまれなくなるくらいの切迫感。静かな部分でも、飾りがないぶん、すいぶんスッキリと気持ちよい。ラインスドルフ時代、低迷していたというボストン響に「喝」を入れた感じですね。相性はいいみたい。

 アンサンブルにはこだわっていないようだが、きっちり合っているところがボストン響の凄さ。録音も自然で、アナログの最盛期の音が堪能できます。

 リゲティは、たしか映画に使われて有名になった曲で、「宇宙からの神秘なメッセージ」、といった趣の透明な響きの音楽です。(1998年)


【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi