Beethoven ピアノ協奏曲第1番ハ長調 作品15/第2番 変ロ長調 作品19
(ウィルヘルム・ケンプ(p)/フェルディナント・ライトナー/ベルリン・フィル)


ECC-671(DG録音の海賊盤) 中古 250円で購入 Beethoven

ピアノ協奏曲第1番ハ長調 作品15
ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 作品19

ウィルヘルム・ケンプ(p)/フェルディナント・ライトナー/ベルリン・フィルハーモニー

ECC-671(DG録音の海賊盤) 1961年録音 中古 250円にて購入

 入手の経過は2009年に掲載した通り、お恥ずかしい駅売海賊盤であります。しかも中古。既にピアノ協奏曲第5番 変ホ長調 作品73「皇帝」に言及していて、久々の拝聴でした。【♪ KechiKechi Classics ♪】とは若く貧しかった頃のLPCDが贅沢品であった!ことへの反発が生んだ題名だったけれど、似非金満中年に至り、CDは値崩れし、データの時代となり・・・といった話題は千度繰り返しました。有り難みという”精神の鮮度”を失いがちな今日この頃、棚中よりこんなCDが出現いたしました。

 1961年ステレオ初期の録音、この鮮度、自然な広がり奥行きを聴いていると、爾来50年テクノロジーの進歩ってなんなの?みたいな疑念がムクムクと〜ちょっと渋めの指揮者・ライトナー(1912-1996)率いるベルリン・フィルの恐るべき美しいアンサンブル、しかもカラヤン時代なのに甘美なレガートの欠片もない、ひたすら壮麗重厚かつ引き締まったサウンド(たっぷり)堪能できます。HMVのユーザーレビューにて「オケだけで酒の肴になります」とのコメントさえ有。納得。首肯。

 リンク先にもあるように「Beethoven を苦手としていて、つまりはその強靱なるサウンドから逃げ出したくなる」〜Mozart だったらいくらでも拝聴するけれど、Beeやんのピアノ協奏曲ちょっとカンベンしてよ、的嗜好ではあるんです。ここ最近、枯れてきたのか。グレン・グールドの珍しいライヴやCBSセッション録音をとても楽しいと感じるようになってきました。その流れにて、こんな著名な音源(ですよね?若い人は知らぬかも)も素直な気持ちで聴けるような精神状態に・・・名曲。棚中にはずいぶん処分したつもりなのに、まだまだ同曲異演CDはかなりの物量眠っております。

 この2曲はBeeやん20歳代若者の作品でして、第1番はたしかルービンシュタイン/ライナーの演奏が出会いだったはず(もちろん若く貧しかったからFM放送カセット・エア・チェックにて)〜って、調べてみたら、んな録音ないじゃないの。クリップスとの1956年録音だったのか。記憶は衰えるばかり。初めて聴いた頃はけっこう好きでしたよ。第2番はグールド/バーンスタインのLPでして、伴奏がやたらと力んでいるのが気に喰わなかった記憶も鮮明〜但し、現在の耳で聴けばどう感じるのかは別の話し(パブリック・ドメインにてフリー拝聴時代となりました)。閑話休題(それはさておき)

 第1番ハ長調は古典的佇まいと威厳、堂々たる歩みで開始されます。それも”青春の初々しさみたいなもの”、元気がしっかり感じられます。名曲。CDにメモが夾んであり、曰く「キレ味有るスタンウエイの音色、自信に充ちた響き。この時期のケンプの技術に不足はない」とのこと。1980年頃?「ヘタウマ」みたいなことが流行ったけれど、別にケンプのピアノは「ヘタ」じゃないっすよ。滅茶苦茶上手い若手が、モウレツなテクニックにて駆け抜けるけど、表現としてどーなの?凄いけど感銘薄い演奏って希に出会うじゃないですか。「皇帝」拝聴時には「威圧感の薄い、やや細いピアノ・ソロ〜それは線が細いという意味ではなくて、年齢(とし)いくと髪にコシがなくなるじゃないですか、ちょっとそんな感じであり、いかにも枯れつつある、といった味わい風情」との感想でした。

 こちら2曲とも完成度高いと思いますよ。「古典的佇まいと威厳、堂々たる歩み」+バランス感覚、美しい音色、どこにも瑕疵はない。でもね、じつはこのCDに続けてグレン・グールド/ゴルシュマン/コロムビア交響楽団(1958年)のスウィングするようなリズムのノリ、白熱する疾走、それと対比される緩徐楽章・・・シミジミ感動いたしました。いえいえ、どちらが上とか下とか、そんな「上から目線」ありませんって、こちら極東・亜細亜片隅のド・シロウトですし。おそらく、日本の多くの方々は独墺系嗜好だから「古典的佇まいと威厳」がお好きなんじゃないか。

 しかも、ベルリン・フィルとコロムビア交響楽団の対決ですし。ワタシはどちらもたっぷり堪能いたしました。どちらも好きですよ。但し、いくら枯れても異端児的(=天の邪鬼)性癖抜けないから、ケンプ=安心して名曲を堪能/グールド=ドキドキするような知的興奮〜そんな感慨を得たものです。個別の楽章、第2番などへの詳細言及、今週もやる気ありません。できる技量もなし。

(2012年5月19日)


【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
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written by wabisuke hayashi