Beethoven 交響曲第5/8番
(カラヤン/ウィーン・フィル 1946/48年)


素材発信 ザ・ダイソー 「若き日のカラヤン」CD-6 Beethoven

交響曲第5番ハ短調 作品67
交響曲第8番ヘ長調 作品93

素材発信 ザ・ダイソー 「若き日のカラヤン」CD-6  @100(税抜)   1946/1948年録音

 ワタシはダイソーの100円CDの編集発売方針は粗雑に過ぎると思いますし、全面推奨はいたしません。しかしピッチ問題(全体に低い)やら、音質いじりすぎ、ダブり収録多過ぎではあるが、「若き日のカラヤン」は演奏情報もちゃんとそれなりに揃って、聴きものだと思います。その一枚。

 「これもトスカニーニばりの、勢いのある演奏。オーケストラは色気を感じさせて、テンション高く、そうとうな名演奏。演出上手だけれど、後年のように鼻に付かない。これはかなりのお勧め盤。音もワリと良好」(100円ショップ・ダイソー「若き日のカラヤン」シリーズより)〜いえいえ、トスカニーニより柔軟で、やはりこれは若さの魅力ですか?音質は年代なりの水準だけれど、100円の価値で余りある魅力溢れます。

 第5番「運命」(よい曲名だ!)より。やや速めのテンポだけれど、急いた印象はないし、引き締まった筋肉質を思わせる演奏に仕上がっております。基本イン・テンポで異形なるルバートとか、大見栄はありません。第1楽章終楽章とも繰り返しはなし。明らかに先代の巨匠達とは異なる現代的センスを感じさせて、ものものしい雰囲気皆無。重くもない。「オーケストラは色気を感じさせて」と↑書いてあるが、それほどよろしくない音質の中から、ちゃんと柔らかい響きは感じ取ることは可能。戦争直後で演奏家も不足していたかも知れないが、充実したオーケストラの響きでした。

 第1楽章の快速推進力はもちろんだけれど、第3楽章スケルツォ中間部におけるゴリゴリとした爆発〜長い階段を息もつかず、一気に駆け上るような勢いは魅力。あまり難しいことをグダグダ考えずに楽しめる演奏でしょう。1962年ベルリン・フィルの録音は、オーケストラの威力圧倒的で眩しいくらい(これはこれで絶頂期の拝聴すべき美しさいっぱい)だけれど、こちらはもっと親密で優しいイメージもあります。粋なんです。若い、ということか。

 ここ最近(2004年前半)ワタシはこの曲に入れ込んでおりまして、様々な(朝比奈/大フィル1985年でもニヤリ)演奏で楽しめます。かなり集中力を要求されまして、精神的な余裕が必要かな?カップリングには昔(1960年代)「未完成」(「運命」+「未完成」〜最高の先入観!イメージ作り)、最近第7番が多いようだけれど、第5番単独収録か、気分転換なら+第8番がよろしいと思います。


 第8番を楽しく聴かせることはとてもむずかしい。「交響曲全集は第8番を判断基準としている」とおっしゃる方もネットで見掛けました。(一理も二理も有。シンプルな作品故、演奏の質がストレートに表現される)全体としてリリカルで清潔な味わいのある(これもまた)引き締まった演奏と感じます。第1楽章の躍動感〜追い込むような勢いは、やはり若さの魅力。おそらくは人類が作り出した交響曲の中で、もっとも哲学的な第2楽章〜ここはサッパリ、さっさと速いテンポで通り過ぎましたね。こんな単純な音型の連続なのに、オーケストラの美しい響きはちゃんとわかる。

第3楽章メヌエットの中間部〜テンポを落としてクラリネットが優しく歌うところが白眉か。(ホルンもクラリネットもシミジミ深々とした味わい有)テンポは速すぎず、遅すぎず、優雅なるリズム感もありますね。これが後年ベルリン・フィルとの録音では粘ったスロー・テンポへと変化します。終楽章の喜ばしげなる表情、音量のアップは押しつけがましさにつながらない。弱音の微妙な味付けは、こんな録音状態でもちゃんと理解できました。(2004年5月27日)

   

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written by wabisuke hayashi