Beethoven 交響曲第3/7/8/9番
(マズア/ゲヴァントハウス管弦楽団)


マズア「英雄」 マズア第7/8番 マズア第9番 Beethoven

交響曲第3/7/8/9番
エグモント序曲/フィデリオ序曲/「献堂式」序曲/序曲「レオノーレ」第3番/コリオラン序曲

マズア/ゲヴァントハウス管弦楽団/ライプツィヒ放送合唱団(H.ノイマン)/ベルリン放送合唱団(クノーテ)/ドレスデン・フィルハーモニー児童合唱団(ベルガー)/アダム(b)/シュライアー(t)/ブルマイスター(a)/トモワ=シントウ(s)

ヴィクター・エンターテイメント(マリオン・メレル・ダウ株式会社) PRCD-1431/1433/1434  1987-92録音(?)@100*3枚で(中古で)購入

 マリオン・メレル・ダウ株式会社(現ヘキスト・マリオン・ルセル株式会社)〜これ製薬会社?が1994年に出した「Beethoven Symphony Ouvertu"re Selection」(おそらく全4枚)を3枚@100で手に入れました。(苫小牧の中古屋さんの隅にころがっていた。想像だけれどPRCD-1432は「運命」「田園」+序曲か)デジタル録音と明記されているから、新しい方の録音でしょう。

 マズアは知名度高いし、奥様が日本人でしょ?親日家でもあって、有名どころの一流オーケストラのシェフを歴任しているし、で、人気はあるんでしょう。ワタシは残念ながら、マズアの熱心な聴き手ではありません。必ず購入するedelの激安ボックスものにも手は伸びなかったし、Beethoven の全集にも興味なし。ああ、ベルリン・フィルとのBruckner交響曲第4番(ライヴ)はとても良かった。

 それでも、かなりの枚数CDは手許にあるはず。正直、好きな指揮者ではない。しかし、こうして世評高い人については好き嫌いを越えて、ちゃんと自分の耳で確かめることが「音楽愛好家」としての最低限のモラルでしょう。100円ならサイフも開きやすい。真面目に聴きましょう。時に苦言を呈するワタシだけれど、基本音楽を楽しもう!ということでこのサイトを継続しておりますが、この演奏や如何に?

 いやはや驚きました。ゲヴァントハウス管といえばコンヴィチュニーでしょ。彼のBeethoven もそう好みでもないが、その個性について尊重するココロの準備はあります。正直、20数年後こんなことになってしまうとは・・・

 「ひじょうにさっぱりとした、透明なリキみのない演奏だね。同じオーケストラのコンヴィチュニーよりずっと良い感じ。但し『これがゲヴァントハウス?』といった疑問はある。軽量で、アクがない、耳あたりがとても良い〜先入観なしで聴けば、とてもすっきりして良いだろうが、ドイツの音を期待しちゃうとマズいかもね。録音良好。」(「英雄」〜音楽日誌より)

 更に「合唱」は〜「なんという拘りのなさ、さっぱりとしたアクのない旋律の歌わせ方。聴きやすいBGMか?この曲はもっとゾクゾクする瞬間が頻発するはず。コリオランだって、もっと厳しい音楽だったはず。」(音楽日誌より)それにしても、声楽は一流どころバリバリ集めてまんな。

 けっして悪い、へんな演奏ではない。オーソドックス、と評して間違いはないはず。でも、小さくまとまっていませんか?「聴きやすいBGMか?」〜Beethoven はあまり得意としないワタシだけれど、時に聴き手のココロを鷲掴みにしてしまう強烈なる魔力があるでしょう?「ギュルケ、ハウシルトによる校訂版」(これで合ってますか?)とのことだけれど、楽譜細部のことには、縁が薄いワタシ。楽譜の版のことより、演奏解釈そのものの問題だと思いますが、如何。

 コンヴィチュニー盤にも苦言を呈する罰当たりなワタシだけれど、交響曲第7/8番には少々グッと来るものがありましたね。なんせ、中学生だったワタシが最初に聴いた(買った)この曲のLPだったんですから。(1200円。でも正直、そのあとに聴いたクリュイタンス/ベルリン・フィルにはもっと痺れた)我らがマズア盤は、正直上記2曲の感想とほぼ変わらない。プロ野球で投手が「球を置きにいく→ホームランを食らう」というのがあるでしょ?「音を置きにいく」といった感じ。

 きっちりときれいに、スッキリ(小さく!)まとまっている。ああ、この人、低音が弱いんだね。ゴリゴリと重心を低く運転してくださらない。ここぞっ!というところでの旋律の(少々クサくてもよいから)えぐりとか、主張とか、そういうのが不足気味。オーケストラはね、けっこう良い音というか、派手さのない地味な響きも悪くないと思うんです。

 「一見、なにもしない。じつは細部にこだわった”隠し味””裏地凝り”系演奏が好き」というのがワタシの口癖だけれど、「一見、なにもしない。じつは本当になにもしていない」演奏では困ります。「すべての音は聞こえている」が「音楽が聞こえない」〜うわぁ、ちょっと(インチキ)哲学的。

 あくまでワタシの感じたことですので、マズア・ファンの方々ごめんなさい。こういう演奏だったら交響曲第8番ヘ長調辺りは、ピタリときそうで、事実、これはかなりいけます。でも、やっぱりおもしろくない。クナッパーブッシュみたいな演奏(濃厚強烈鈍足重厚)を望んでいるじゃないんです。この方向だったら、昔ハイティンク/ロンドン・フィルの演奏があったでしょ?(おそらく未CD化)もっと瑞々しい感性に溢れていた記憶がある。

 結論的にこれはこれで充分にBeethoven は楽しめます。正直、序曲をここまで素直に楽しめたのは初めて。100円だったら、ほんのこどもが自分のお小遣いで買って、この演奏で音楽に目覚めるチャンスは充分でしょう。そういう素直な感性は失いたくないね。これだけ、全世界で重用されている方なんで、きっとオーケストラの人間関係良好とか、演奏しやすい、わかりやすい指揮技術を持っている人なのかも知れません。(2003年6月27日)


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written by wabisuke hayashi