Bruckner 交響曲第4番 変ホ長調「ロマンティック」
(クルト・マズア/ベルリン・フィル1988年ライヴ)


Bruckner

交響曲第4番 変ホ長調「ロマンティック」

クルト・マズア/ベルリン・フィルハーモニー

1988年4月12日 ベルリン・フィルハーモニー・ホール・ライヴ  FM放送からのエア・チェック・カセット〜MDへ

 BBSで「クルト・マズアは振るとマズい」なんていう悪口で盛り上がったら、ファンの方から叱られたので、せめてものお詫びのしるしに手持ちの録音を放出します。マズアはニューヨーク・フィルを辞めたあと、ロンドン・フィルに専念するのでしょうか。ゲヴァントハウス時代から日本では人気があったようで(奥さんは日本人でしょ?)、ワタシには高校生の頃、お金持ちの友人がBeethoven の全集を持っているのを、悔しく横目で睨んでいた苦い思い出有。

 彼のMendelssohn の交響曲は評価が高いが、残念ながらワタシはそう好きな曲ではない。ま、集中してなんども聴いたわけでもないが、どうも印象が薄い。アンネローゼ・シュミットのMozart 協奏曲集でバックを務めていて、口の悪いHP読者は「マズアがなにもしていないのがよろしい」なんて言ってしまって、同感したワタシもワタシ。で、この録音は如何でしょうか。

 ゲヴァントハウスとの正規録音は聴いたことはないが、この演奏は凄い。というか、正確にいうとオケが極上で響きが分厚い。冒頭、草原にこだまするホルンからして、圧倒的な奥行き感に痺れる思い。オーボエは思いっきりセクシーで輝くようだし、滑らかな弦はすすり泣くようでもある。カラヤン盤の記憶がないが(LPは持っていたことがある)、こんな美しいBrucknerは滅多にないかも。

 全体で70分を越えるのですが、テンポがそう遅いわけでもなくて、恣意的なテンポも揺れもなく、まっとうな演奏でした。全体の流れも自然、流麗。朝比奈翁、クナッパーツブッシュのかなりデフォルメした表現(こりゃファンに叱られるか)ばかりを聴いていると、こういう演奏は逆に新鮮かも知れません。「マズアがなにもしていないのが」なんていうと、また叱られそうだけれど、極上のオケの響きを素直に生かして、これはこれで充分魅力的。

 で、こういう珍しい音源に自分勝手なな評論は禁物だけれど、この演奏、軽すぎませんかね。ドイツの指揮者、ドイツのオケ、しかもこの曲でしょう。素朴さはあるが、どうも耳あたりが良すぎて、素直すぎて、上手すぎて、という感じ。スケルツォの金管の柔らかさ、軽快さには愕然とするほど(ホルンの超絶技巧!)だけれど、そこに落とし穴がある。

 上手すぎる、安易に音が出過ぎる、というのはベルリン・フィルにはときどき見られるが、それが軽い、と見えるのでしょうか。シューリヒトの魔術のような「軽さ」とは、どうも趣が違うかんじ。どんなに大音響になっても濁らないのはみごとだけれど、苦み、が足りないというか、なんというか。実演だと口もきけないくらい感動するだろうが、録音で一歩引いて聴いてみると「個性が不足する」と言っちゃ失礼か。

 ・・・・・と、結局文句を言ってしまったが、完成度高い演奏であるのは事実。楽章間のチューニングさえ美しくて、ライヴの雰囲気を堪能しました。ニューヨーク・フィルとの録音は、残念ながらまだ聴く機会はありませんが、マズアとの相性は良いかも知れません。ヘタすると暴走する、時に粗く、馬力のあるオケと、バランス感覚の指揮者。

 ここまで読んでくれた人、どうしてもこの録音が聴きたい!と、熱き思いを寄せてくれた方一名様にMDにしてプレゼント。どうだっ!(スケルツォ楽章のラストあたりでテープが反転、途中途切れが興醒めだけれど。 2001年3月23日)


 上記募集の結果、約一名の方から申し込みがあり、感想が寄せられました。(2001年4月10日)


 

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written by wabisuke hayashi