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9枚3,000円(中古だけれど)ということ


   ある土曜日。昼から所用で岡山を出発し広島へ。義理的な所用でして、最初から「定時には到着できないよ、午前中いっぱい用事だから」との約束でした。遅れついでに広島駅前Groovin'(中古屋)へ〜ここ少々相場は高いが、品揃えは秀逸です。時に驚きの出物がある。で、今回は「出物」というような珍しい音源ではないが、しかるべき水準のものが安く手に入った、それは結果としてますます音楽を聴く幅を広げた、というお話しです。

 Rachmaninovピアノ協奏曲第2番ハ短調〜出会いはリヒテル/ザンデルリンク/レニングラード・フィル(1959年)のLPでして、小学生だったワタシは、一発でこの激甘ほの暗旋律作品に痺れたものです。爾来、リヒテル/ヴィスロツキ/ワルシャワ・フィル(1959年)、ヴァーシャリ/アーロノヴィチ/ロンドン交響楽団(1976年)、グリモー/ロペス・コボス/ロイヤル・フィル(1992年)、ヴュルツ/シレンコ/ウクライナ・ナショナル響(2003年)・・・ま、どんな演奏でも感動しないことはあり得なくて、最近ではアシュケナージ/コンドラシン/モスクワ・フィル(1963年)が、若さと官能と、適度な粘着節回しがバランスしていて楽しめました。閑話休題(それはさておき)。

問題(1)

 ここに一枚のCDがあります。3,000円(ということにしましょう)。Rachmaninov ピアノ協奏曲第1/2番〜アシュケナージ/プレヴィン/ロンドン交響楽団(1970年)。一枚3,000円なら高いですか?

 〜高いですよね。でも、少々前のレギュラー盤の標準価格だし、いまでもこの価格のCDは存在します。でもね、「高い安い」は「どれだけ音楽を楽しんだか」で決まるもの。「高いカネを出したから必ず感動できる」ものでもないし、逆に「高かったが、この演奏を聴けたから充分満足!」ということもあるでしょう。それは「安い」んですよ。第2番はともかく、第1番がこれほど胸にジ〜ンと来た経験は初めてでしたね。「名曲には名曲たらしめる演奏が必要」ということなんでしょう。(じつはこの先、ほぼ未聴)

問題(2)

 更に一枚のCDがあります。合計二枚で3,000円(ということにしましょう)。+Rachmaninov ピアノ協奏曲第3/4番〜アシュケナージ/プレヴィン/ロンドン交響楽団(1970年)。二枚3,000円ならいかがですか?

 第3番は、ずいぶんと長い間「ようワカラン」作品のひとつだったが、レーゼル盤の明快さにすっかり目覚めた経験を持ちます。「二枚組3,000円」だったら世間常識では「廉価盤」でしょう。でも、ワタシにとっては贅沢な価格です。ここまできたら「協奏曲全集が欲しいな」・・・と。

問題(3)

 更に加えて一枚のCDがあります。合計三枚で3,000円(ということにしましょう)。+パガニーニの主題による変奏曲(1971年)/ピアノ・ソナタ第2番変ロ短調(1980年)/練習曲「音の絵」作品33-1〜8(1977年)/前奏曲嬰ハ短調 作品3-2(1975年)。計三枚3,000円となりました。安いと思いますか?

 「パガニーニ変奏曲」も泣かせる名曲。Rachmaninov のピアノ・ソロ作品はあまり馴染んでいないが、ソナタ第2番はビレット(NAXOS)で早くから聴いていました。(少々乱暴で音が濁る・・・ような記憶もありましたが)アシュケナージは濃厚と明快のバランスが素晴らしい。しかし、ワタシは@1,000のCDは買わなくなってしまいました。いうまでもなく、この価格は世間一般で廉価盤に間違いなし。

問題(4)

 もっと加えて一枚のCDが。合計四枚で3,000円(ということにしましょう)。+Rachmaninov 前奏曲集 作品23/32全曲〜アシュケナージ。計四枚3,000円となりました。かなり良い線の価格でしょう。

 (未聴)@750。この価格なら、「どうしても!」的音源は買うかも知れない。しかし、ワタシのマヒした感覚では全然安いとは思えない。

問題(5)

 新たに一枚のCDが。合計五枚で3,000円(ということにしましょう)。+Rachmaninov 二台ピアノのための作品集〜アシュケナージ/プレヴィン。計五枚3,000円となりました。まだまだ。

 (未聴)@600。かなりワタシの縄張り的単価に迫って参りました。格安ボックスものじゃないと、おそらく聴く機会は少ない作品でしょう。人生、出会いです。

問題(6)

 まだまだ新たに一枚のCDが登場。合計六枚で3,000円(ということにしましょう)。+Rachmaninov 練習曲「音の絵」作品39/二台ピアノのための交響的舞曲 作品45〜アシュケナージ/プレヴィン。計六枚3,000円となりました。

 (未聴)@500。この価格ならだいたいOKです。この際、Rachmaninov をしっかり聴きましょうね。

問題(7)

 追加新たに二枚のCDが登場。合計八枚で3,000円(ということにしましょう)。+Rachmaninov 交響曲第1/2/3番〜アシュケナージ/コンセルトヘボウ管(1981/83/84年)。計八枚3,000円となりました。文句あるか、この価格で。

 (未聴)@375。ウワサに(のみ)聞いていた、世評高いアシュケナージの交響曲全集が収録されております。単価400円を切ればいよいよワタシの世界突入です。

Rachmaninov 〜アシュケナージ9枚組

問題(8)

 ラスト一枚のCDが登場。合計九枚で3,000円(でした)。+Rachmaninov 鐘 作品35/「3つのロシアの歌」作品41〜アシュケナージ/コンセルトヘボウ管/合唱団。計九枚3,000円也。

 (未聴)@333。広島駅前Groovin'(中古屋)の相場ではもっとも安かったもの。他はボックスものでもせいぜい@800止まりで、BRILLIANT辺りは「新品の方が安い!」ことがしばしば発生するお店なんです。「日本一の廉価盤購入者」であるワタシの眼前に「@333*9枚」ボックスが登場した、ということは「Rachmaninov を聴け!」との”神のお告げ”(ビンボー神か?)に違いありません。人生、なにごとも出会いでしょう。音楽とて例外ではない。たっぷり楽しませていただきましょう。独DECCA 467 003-2(2004年9月5日)


【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi