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【小野文子さん/安田正昭さんピアノ・デュオ・リサイタル】(2006年7月16日)


2006年7月16日(日)PM 2:00〜岡山県立美術館ホール

Beethoven

交響曲第7番イ長調(ジンガーによる2台ピアノ版)

Tchaikovsky

組曲「くるみ割り人形」

+アンコール「スカラムーシュ」より+α (またご招待いただきました。ありがとうございました)

 昨年に続き、ご招待いただきました。(女房所用で来られず)小ホールでの演奏会は、演奏者の息遣いが間近に感じられてエエもんですな。満員でした。聴衆のみなさまはマナーもよろしくて、熱心なファンばかりのようでした。

 2台ピアノでBeethoven !とは硬派だけれど、既に第5/6番を拝聴済み。提示部繰り返しも前回同様。第7番もご多分に漏れず(純個人的嗜好として)少々苦手系の作品だけれど、これがピアノによって細部迄、ていねいに再現されると新鮮であります。”自分の脳味噌の中で様々な楽器の音色を補っていたのかも”という感想も同じで、旋律の受け渡しを、左右で描き分ける(色彩が眼前に浮かぶ)と目眩く驚愕が生まれました。

 こどもの頃から馴染みの作品だけれど、第2楽章「アレグレット」が葬送行進曲風に響きます。あらゆる楽器を二人の指で代替させているからこそ、音楽の骨組みが明確に理解できる。お二人はテンポアップ、ノリノリの部分でパワーを爆発さって第3楽章「スケルツォ」、そして休まずそのまま終楽章の饗宴へと突入しました。その怒濤の進撃たるや筆舌に尽くしがたい。ラストのアッチェランドは燃え尽きるような迫力でしたね。

 いつもながら、壮絶な、そして細部微妙なニュアンスの掛け合いのテクニックがお見事。

 後半は、メルヘンなバレエ音楽を持ってきて下さって、ワタシにはありがたい世界でしたね。(Beeやんだけでは、少々重い)ラスト「花のワルツ」は以前にも聴いていて、華やかなハープをピアノで見事に表現して下さって、感心した記憶もありました。今回は、組曲「くるみ割り人形」全曲繊細なる色彩を全部、ちゃんと描き分けてそりゃ素晴らしいものですよ。演者がお二人だけだから、リズムもいっそうユーモラスに強調されました。

 ま、さすがに交響曲は”別もん”だけれど、これだったら全然違和感ありませんよ。可憐だなぁ、儚げだなぁ。

 アンコールは(誰でも知っている歌ってる)MILHUAD「スカラムーシュ」〜「ブラジルの女」、さらに前回演奏会で披露して下さったベネットから(安田さんは「ハードロックです」と言っていたけれど、ありゃブルースだな、激しい)元気の良い作品・・・

 クルマで会場を出たら、土砂降りの夕立でした。夏本番ですな。

(2006年7月16日)


【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi