Wagner 歌劇「さまよえるオランダ人」序曲/
歌劇「ローエングリン」第1幕への前奏曲/第3幕への前奏曲/
楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲/
楽劇「トリスタンとイゾルデ」より「前奏曲」と「愛の死」
(ホルスト・シュタイン/ウィーン・フィル)


London LPデザイン Wagner

歌劇「さまよえるオランダ人」序曲
歌劇「ローエングリン」第1幕への前奏曲/第3幕への前奏曲
楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲
楽劇「トリスタンとイゾルデ」より「前奏曲」と「愛の死(優しくかすかな彼のほほえみ)」

ホルスト・シュタイン/ウィーン・フィル

英DECCA 1973年録音 NMLにて拝聴可能

 Horst Stein(1928ー2008独逸)は見た目風貌も含めて(ド・シロウトの勝手な想像)いかにも叩き上げ独墺カペルマイスター(Kapellmeister)歌劇場での現場経験を積んで、スイス・ロマンド管弦楽団(1980-1985)やバンベルク交響楽団(1985ー1996)の主席を務め、16度来日も果たしているとのこと。これはネットよりLP復刻を拝聴したもの、A面B面各々1ファイル←この言葉も若い世代には既に死語なのでしょう。

 仕上げはていねいであり、艶艶したサウンドとか大見得を切ったような表現皆無、無理なくウィーン・フィルの美しさ、オーケストラの魅力をたっぷり引き出したオーソドックスな演奏、これ以上のコメントはド・シロウトにはできません。以下、名曲との出会いに関する思い出など、少々雑談

 Wagnerを熱心に集中するほどの気力体力も既に衰えつつあるけれど、オペラは基本全曲を旨として拝聴すべきもの。但し、ほんのこども時代よりWagnerの勇壮雄弁な旋律は管弦楽演奏で馴染んできたのも事実。歌劇「さまよえるオランダ人」序曲歌劇「ローエングリン」第1幕への前奏曲はハンス・クナッパーツブッシュ/ミュンヘン・フィル(1962年)の17cmLPにて出会いました(これもA面B面)。なんか残響がほとんどないむき出しのような音質+クナッパーツブッシュが緻密にアンサンブルを整えるハズもなくて、妙にヨレヨレしてヘンな演奏!「ローエングリン」はなんかうねうねと掴みどころがない、当時の印象はそんなところでした。

 社会人になってから「オランダ人」全曲をFMにて拝聴したら(たしかウォルデマール・ネルソン1985年バイロイトかな?)序曲に馴染んだ旋律が全曲に散りばめられて、楽しく全曲に入り込めたものです。”うねうねと掴みどころがない”と感じていた「ローエングリン」はルドルフ・ケンペ/ウィーン・フィル(1962年)に出会って、印象一変!幻想的な陶酔に浸ったもの。

 元気よろしくテンションの高い第3幕への前奏曲との出会いの記憶は曖昧。どこかの演奏会のアンコールだったかも。このまま神聖な結婚行進曲「真心込めて先導いたします」に入る・・・ところで中断、管弦楽版は隔靴掻痒状態でっせ。

 もの凄く恰幅とカッコ良い楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲。出会いはカール・バンベルガー/フランクフルト歌劇場(1956年)抜粋のLP、誰の演奏でも立派に響き渡ると信じて7年ほど前、久々の再会を果たしたら(序曲のみ)”泣けるほどショボい演奏(音質)、そして泣けるほど懐かしい”。ホルスト・シュタインは重心の低い、響きは質実に盤石の安定感を誇るもの。大好きな作品もラストそのまま合唱が入って本編が始まらぬと、やはり隔靴掻痒状態でしょう。

 楽劇「トリスタンとイゾルデ」より「前奏曲」と「愛の死」。甘美官能的濃厚(エッチ)な旋律作品、最初と最後を組み合わせて演奏会演目とするのも掟破りっぽい感じ。出会いは鉄板ハンス・クナッパーツブッシュ/ウィーン・フィル(1959年)ビルギット・ニルソンの歌が入っていたから、それ以降管弦楽のみの演奏はなんか物足りない。彼(か)の強靭なソプラノが脳裏を過りました。Wagnerは管弦楽でお勉強して、全曲を聴くべきものなのでしょう。

(2020年10月10日)

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written by wabisuke hayashi