「モルダウ」(トースキー/BBC響)「イベリア」(レパード/BBC北部響)
「ノルウェイ組曲」(アシュリー・ローレンス/BBCコンサート管)


BBCMUSIC(IMP) BBCMM137 Smetana

交響詩「モルダウ」

ヴィレム・トースキー/BBC交響楽団(1976年ライヴ)

Debussy

「イベリア」(街の道や抜け道を通って /夜の香り /祭りの日の朝)

レイモンド・レパード/BBC北部交響楽団(1976年ライヴ)

Delius

「ノルウェイ組曲」(「フォルケラーデット」の幕間音楽)

アシュリー・ローレンス/BBCコンサート管弦楽団(1974年)

BBCMUSIC(IMP) BBCMM137 $1.99

 寄せ集めです。作品的には高名ながら、レパード(かつてバロック音楽の権威として有名だった)以外は知名度は落ちるかと思います。トースキーもローレンスも、BBCコンサート管の指揮者を務めた方だそうです。イギリスでは良く知られた方なんでしょう。

 ヴィレム・トースキーは既に2004年に亡くなっているが、チェコ出身の方なんですね。だから「モルダウ」はお国ものということか。名曲中の名曲だし、たいていどんな演奏でも感動するけど、この演奏には特別な味わいがあります。ゆったりしたテンポの維持、リキんだり、激昂したり、煽ったり・・・そんな表現とは一切無縁、ひたすら穏健でやさしい。涼やかで重くならないアンサンブルは精密だけれど、神経質ではなく、常に懐かしい歌に溢れて望郷の念さえ感じさせます。最終盤わずかなアッチェランドも急いた印象を与えません。(録音極上。暖かい聴衆の拍手入り)

 レパードの「イベリア」もライヴだけれど、これこそ自然なホール・トーンを感じさせる極上の音質です。(スタジオ録音では時にカスタネットが不自然に目立ったりすることがある)アンサンブルに集中力もあるし、清潔な印象もある。仏蘭西系(アンセルメのイメージか)ホンワカ、曖昧な世界とは対局だけれど、独逸系の厳密濃厚な世界ではなく、もっと清廉、そして生真面目なリズム演奏でしょうか。

 BBC Northern Symphony Orchestraは想像以上の好演でしょう。色気とか華やかさは求められないが、ちゃんとした演奏・・・というか、この作品の標準的演奏として日常聴きに耐えうる立派な完成度でした。

 Deliusはダブり買いなんです。先ほどのトースキー/BBC響からイメージすると、こちらコンサート管はアンサンブルが少々甘い感じがしますか。しかも、これはライヴじゃなくてスタジオ録音でしょ。雰囲気で聴かせているというか・・・でも、そのラフなというか、馴染みの雰囲気はけっして不快ではなくて、むしろ懐かしいような親しみを感じちゃう。ジミなユーモアを感じさせる作品も、ワタシは好きなんです。

 BBC RADIOCLASSICS CRCB-3068 ローレンス/BBCコンサート管によるDelius一枚物は別途購入したが、全体にこんな(好ましい)感じでした。手慣れた、というか職人的というか、表情も変えずに的確なジョークを連続しているような、肩のチカラを抜いたような・・・そんな演奏です。(2005年2月17日)


【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi