サウンド・オブ・ホロヴィッツ(1962年)Schumann
こどもの情景 作品15 D.Scarlatti ソナタ ホ長調K.531(L.430)/イ長調K.322(L.483)/ト長調K.455(L.209) Schubert 即興曲 ト長調D.899-3, 作品90-3 Scriabin 詩曲 嬰ヘ長調(嬰ニ短調)作品32-1/練習曲 嬰ハ短調 作品2-1/練習曲 嬰ニ短調 作品8-12「悲愴」 ウラディミール・ホロヴィッツ(p) (写真は)CBS MS-6411/駅売海賊盤(EYEBIC ECD-50049) Vladimir Horowitz(1903ー1989烏克蘭→亜米利加)80歳の記録を拝聴して、さすがに衰えを感じたもの。そして1990年頃入手したと記憶する駅売海賊盤を思い出しました。あとでちゃんとオリジナル正規盤も買いましたよ、2021年最終的にCDは断捨離済、それでも売り物にならんのが生き残って、まさにこれがそれ。ちょいと音質曇っているような気もするけど、30年経ってちゃんと聴けるというのが凄い!たいしたもんでっせ。既にパブリック・ドメインに至っているから音源はネットより入手可能でしょう。 こどもの情景 作品15は13曲からなる「こども心を描いた、大人のための作品」(Wikiより)とのこと。見知らぬ国と人々について (Von fremden Landern und Menschen 1:33)-不思議なお話 (Kuriose Geschichte 1:09)-鬼ごっこ (Hasche-Mann 0:37)-おねだり (Bittendes Kind0:55)-十分に幸せ (Gluckes genug 0:48)-重大な出来事 (Wichtige Begebenheit 0:48)-トロイメライ(夢) (Traumerei 2:55)-暖炉のそばで (Am Kamin 1:08)-木馬の騎士 (Ritter vom Steckenpferd 0:40)-むきになって (Fast zu ernst 1:43)-怖がらせ (Furchtenmachen 1:43)-眠りに入るこども (Kind im Einschlummern 1:47)-詩人は語る (Der Dichter spricht 2:07) 冒頭「見知らぬ国と人々について」の優しい旋律が始まると、胸騒ぎのようなメルヘンが甘く広がってもう夢見心地。ホロヴィッツの一種独特の深くやわらかなタッチ、魔法のような美音は唯一無二のセクシーでしょう。ある時は闊達に、ある時は安らかな眠りを感じさせる(トロイメライ(夢))シアワセな瞬間が次々と流れ去る名曲中名曲、慈しむようにデリケートにていねいな表現、ホロヴィッツの魔法に引き込まれて抜け出せない。 トッカータ ハ長調 作品7は漲る活力!Toccataとは速い走句(パッセージ)や細かな音形の変化などを伴った即興的な楽曲(Wikiより)とのこと、Bach辺りが有名だけれど、快活な熱気こそToccata!この作品、演奏がそんな刷り込みに至りました。せ〜の、の掛け声に一気呵成に駆け抜ける爽快な疾走でございます。前曲「こどもの情景」との対比も鮮やか、華麗なる技巧が光りました。(6:24) D.Scarlattiのソナタ集はホロヴィッツの十八番。まさに珠玉とのこのこと、この作品への嗜好もこの演奏が刷り込みでしょう。バロック・スタイルとは無縁のしっとり極限美音連続表現、後年オリジナルに近いであろうチェンバロを聴いたときには仰け反ってしまったけれど、こちらのほうが異端なのでしょう。懐かしくも哀愁の陰影豊かなホ長調ソナタK.531(3:15)ちょっぴり符点のリズムも可憐なイ長調ソナタK.322(3:32)闊達に軽快に走り抜けるト長調ソナタK.455(3:11)いずれもデリケートなニュアンスに充ちて自在に表情は変化いたします。 Schubertも大好きな作品。この演奏を最初に聴いたからでしょう。名残惜しい別れを感じさせ、幾度も振り返りつつ、流れるように揺れる情感が表現されました。(5:49)Scriabinの3曲にて締めくくり。妖しい前衛風味加えた”露西亜のChopin”、官能極まる詩曲 嬰ヘ長調(嬰ニ短調)因幡 晃「わかって下さい」クリソツな練習曲 嬰ハ短調、劇的な練習曲 嬰ニ短調には余裕を感じさせる表現が必須でした。(3:03-3:07-2:09) (2021年12月4日)
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