Sibelius ロマンス/Tchaikovsky 憂鬱なセレナーデ/
Berlioz 夢想とカプリース/SaintーSae"ns 序奏とロンド・カプリチオーソ/
Chausson 詩曲/Ravel ツィガーヌ(アーロン・ローザンド(v))


VOXBOX CDX5116 Sibelius

ユモレスク第1番ニ短調 作品87-1/第2番ニ長調 作品87-1/第3番ト短調 作品89a/第4番ト短調 作品89b/第5番 変ホ長調 作品89c/第6番ト短調 作品89d

Tchaikovsky

憂鬱なセレナーデ

Berlioz

夢想とカプリース

ロルフ・ライハルト/南西ドイツ放送交響楽団

SaintーSae"ns

序奏とロンド・カプリチオーソ

Chausson

詩曲

Ravel

演奏会用狂詩曲「ツィガーヌ」

ティボール・ショーケ(ゼーケ)/南西ドイツ放送交響楽団

アーロン・ローザンド(v)

VOXBOX CDX5116 1957-59年録音

 Aaron Rosand(1927ー)は亜米利加のヴェテラン。日本での知名度皆無、なんせメジャーレーベルに録音がないからね。こちら【♪ KechiKechi Classics ♪】一筋!まずは作品を聴くこと優先に幾星霜、知名度など気にしたことはありません。このCD2枚組をいつ入手したのか?記憶は雲散霧消(p)(c)1995となっているから20世紀中かな?もう一枚SaintーSae"ns ヴァイオリン協奏曲やLalo「スペイン交響曲」との組み合わせ、味の濃い作品勢揃いの2枚組(一枚目)でした。指揮者もマニアック揃いでっせ。

 Sibeliusのロマンス絡み(ドン=スク・カン)で思い出したCD、ところが作品そのものイメージが異なりました。曰く

内省的ジミ目な旋律ばかり・・・美しい、繊細なテイストが続いても陰々滅々とした風情・・・小味でもかなり技巧的な細かいパッセージが続いて、どれもほの暗く寂しげ、そして”気まぐれでユーモア”たっぷり旋律が美しく、静かに胸に染み入る
・・・そんなふうに聴こえぬローザンドは速めのテンポ、”気まぐれでユーモア”に間違いないけれど、+ラプソディック、かなりアクの強い表現であります。北欧の清涼を求めると小味に非ず、かなり泥臭く、前向きにアツいヴァイオリンであります。

 この作品に限らず、ステレオ初期の協奏曲録音はソロ中心、バックは控えめに鳴っておりました。音質はかなり良好。Tchaikovskyはそれこそ”憂鬱な”雰囲気満載なセレナーデ、甘美かつ懐かしい旋律作品と思っていたけれど、ローザンドの手に掛かると(上記同様)かなり泥臭く、前向きにアツい風情に至ります。とくに低音域がお上品ではない。(8:54)Berliozは意外と聴く機会の少ない作品でしょうか。わずか7:15、唯一のヴァイオリンとの協奏的作品、いかにも彼らしい劇的浪漫な旋律が続いて、ここもやはり低音にドスのあるソロが雄弁に表情豊かであります。もともとはオペラのカヴァティーナからの編曲なんだそう。

 以上、Rolf Reinhardt (1927-2006)の担当、往年の独逸の指揮者、ピアニストらしい。

 SaintーSae"nsは「ツィゴイネルワイゼン」と抱合せで収録されることが多いもの。サラサーテのための作品だそう。端正な名曲中の名曲、しかも難曲なのでしょう。これは泥臭い風情が千変万化する濃いヴァイオリンにぴたり!作品と似合って圧巻の説得力であります。最終盤の快速パッセージも凄い技巧。(9:46)Chausson(1855ー1899)「詩曲」はウジェーヌ・イザイ(1858ー1931)初演、神秘的かつセクシーな作品、静謐な管弦楽からしっとりと歌うヴァイオリンが浮かび上がります。これもムツかしそうなソロやなぁ、おとなしい伴奏をバックに自在に雄弁に朗々纏綿と歌い続けます。熱が入って濃いですよ、ほんま。CD一枚目の白眉17:13。

 ラスト、Ravel「ツィガーヌ」は「ツィゴイネルワイゼン」同様の素材を使って、民族的旋律に溢れた名曲。これも(ド・シロウトが聴いても)相当な技巧を要求されるローザンド向けの作品でしょう。冒頭、低弦のソロは彼の個性に似合って、いかにも泥臭い風情延々4:27継続。ようやく幻想的な管弦楽が参入して、リズムは加速してチャールダッシュへ。Ravelの微に入り細を穿つ緻密な構成は、色彩や表情、テンポの変化に富んで、華やかなヴァイオリンを熱狂的に盛り上げます。(10:13)Tibor Szokeの名前はいかにもハンガリー風、ネットで情報は拾えませんでした。

(2018年5月26日)

【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi