Vaughan Williams 舞い上がるひばり/オーボエ協奏曲イ短調/ Finzi クラリネット協奏曲ハ短調(ウィリアム・ボートン/イギリス交響楽団)
Vaughan Williams(1872-1958)
舞い上がるひばり(ヴァイオリンと管弦楽のためのロマンス/マイケル・ボックマン(v))
オーボエ協奏曲イ短調(モーリス・ブールグ(ob))
Finzi (1901-1956)
クラリネット協奏曲ハ短調(アラン・ハッカー(cl))
ウィリアム・ボートン/イギリス交響楽団(English Symphony Orchestra)
NIMBUS NI5210/3 1987年録音?
小学生の時に出会ったのが「グリーンスリーヴズの主題による幻想曲」(アーサー・フィードラー/ボストン・ポップス管弦楽団/17cmLP)爾来幾数十年、英国音楽好きのルーツとなりました。静謐に安寧、粛々と穏健、決して激高しない・・・世間より遅れて私的CD時代を迎えたのが1990年代中盤、LPを諦めて怒涛の如く廉価盤CDを集めだした頃、「英国音楽好き」としてのリファレンス(参照の基準)となる4枚組に出会ったのがこれ(NIMBUS NI5210/3 (c)1989)一枚目への言及も残っておりました。
英国系の音楽家はサイモン・ラトルを先頭に著名であり、人気抜群だけど、William Boughton(1948〜現在亜米利加コネチカット州ニューヘブン交響楽団の音楽監督)もEnglish String Orchetra/English Symphony Orchestra(英国ウスター市の団体、1980-90年代Nimbusに数多くの録音を残している)もあまり日本では知名度はないでしょう。いくつか録音を聴いた印象では穏健、しっとりとした味わいのサウンド。
「The Lark Ascending」は一般に「揚げひばり」と訳され、
朝凪や
ただ一すぢに
揚げ雲雀(大島蓼太)
・・・そんな俳句があるんだそう。春の季語ですね。以前「小鳥のから揚げ!?」と毒づいていたけれど、言葉の趣旨と音楽の内容は一致しております。Michael Bochmannはコンサート・マスターかな?ド・シロウト耳には起承転結はっきりせず、掴みどころのない静謐な旋律、ヴァイオリン・ソロが自由に高い空を飛び交う雲雀を表現して、それはゆらゆらと儚いもの。静謐に安寧、粛々と穏健、決して激高しない・・・とはまさに自分が感じる英国音楽イメージそのもの。二管編成+トライアングルといった小さなオーケストラに乗って、薄味だけど深い味わいの名曲をたっぷり堪能できました。(14:25)
仏蘭西の名手、Maurice Bourgue(1939ー)を迎えたオーボエ協奏曲は、Mozart以来の名曲でしょう。これも静謐に安寧、粛々と穏健、決して激高しない・・・+自在に剽軽ユーモラスな躍動が加わって、これは楽器の個性なのでしょう。物憂い目覚めのような第1楽章「Rondo Pastorale: Allegro moderato」(7:22)、第2楽章「Minuet and Musette: Allegro moderato」(2:24)はユーモラスな歩みが粛々として、第3楽章「Finale (Scherzo): Presto - Doppio piu lento - Lento - Presto」(7:42)には抑制された”感情の吐露”が躍動しました。淡々とスムースなオーボエ、ほんの短い、名曲中の名曲。
Alan Hacker(1938-)は英国のヴェテラン。Finziの作品はもうちょっと柄が大きくて(上記RVWに比べ)やや劇的な風情も漂います。伴奏は弦楽のみ。第1楽章「Allegro vigoroso」は劇的な弦楽合奏が詠嘆の開始、憂いを秘めたクラリネットが呼応して、もの哀しい風情が漂います。(7:22)第2楽章「Adagio, ma senza rigore」は期待通りイメージ通りの静謐に安寧、粛々と穏健・・・デリケートに抑制された(呼吸も深い)弦に乗って、表情豊かなクラリネットが詠嘆しております。(10:27)第3楽章「Rondo: Allegro giocoso」は再び激情に充ちた弦楽にて開始、これを華やかに悠々とクラリネットが呼応して明るく、ユーモラスな風情に締め括ります。おそらくソロはそうとうの技量を要求されそう。(7:50)
音質は豊かな残響にしっとりした雰囲気あるもの。マイケル・ボックマン(v)、モーリス・ブールグ(ob)、アラン・ハッカー(cl)、彼らの特異な個性云々できるような聴手に非ず、彼なる加齢を重ね、誰の演奏でも音楽が美しければそれで良いじゃないの、そんなことを考えるようになりました。 (2018年11月4日)
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