Elgar「コケイン」/Delius「夏の夕べ」 /Butterworth「シュロップシャーの若者」「緑の枝垂れ柳の岸辺」 /Finzi 組曲「恋の骨折り損」(ボートン/イギリス交響楽団)
Elgar
序曲「コケイン」
Delius
交響詩「夏の夕べ」
Butterworth
狂詩曲「シュロップシャーの若者」
「緑の枝垂れ柳の岸辺」
Finzi
組曲「恋の骨折り損(恋のから騒ぎ)」
ウィリアム・ボートン/イギリス交響楽団(1980年代)
NIMBUS NI5210/3 バーミンガム大学大ホールにて録音 4枚組購入価格失念
(p)1989となっていて、おそらく購入10年以上経過しております。購入価格は失念していて、どこで購入したのかも記憶なし。おそらくは4枚組3,000円程か。微妙に著名でない作品を配置していて、ワタシの英国音楽嗜好を方向付けてくださったものです。NIMBUSは倒産したと記憶するが、その後、ずっと入手はそれなりに可能でした。活動再開したのかな?ウィリアム・ボートンは日本ではまったく知名度/人気のない英国の指揮者であって、膨大な録音が存在します。機会があればぜひ入手したいが、あまり中古屋でも見掛けませんね。
この一枚目だって、地味渋系穏健旋律の極北!的収録であって、著名なのは冒頭「コケイン」くらいか。お気に入り作品であって、「パリのアメリカ人」(おのぼりさん)に対して「ロンドンの英国人」は微笑みを浮かべながら、歩みはゆったりとジェントルマンであります。ウィリアム・ボートンはメリハリとか、リズムの切迫感に弱く、しかもジョン・バルビローリほどのグラマラスな歌に至らない〜作品を選ぶということでしょう。オーケストラはややザラついた響きが洗練され過ぎず、エエ感じの落ち着きがありました。残響豊かな音質も素晴らしい。
このセット中Delius唯一の収録は「夏の夕べ」となります。「春初めての郭公を聴いて」「冬の夜(そりすべり)」等と並んで、四季の意識がしっかりとしている日本人向けの(短い)作品。まるでこども時代の夏休み、田舎での気怠い郷愁を感じさせる懐かしさ、静かに押し寄せ、消えました。こういった穏健旋律だったらボートンは得意なんでしょう。
Butterworthは早世した(31歳)せいか、録音は少ないですね。狂詩曲「シュロップシャーの若者」(歌曲との姉妹作)も、そっと囁くように茫洋としており、つかみどころのない雄大さもあります。ボートンは詠嘆を強調した表現ではないが、胸を打つ情感の昂揚があります。「緑の枝垂れ柳の岸辺」は題名からして素敵な情景であって、前曲よりいっそう静謐継続して、感情の起伏が少ない安寧なる旋律でした。大好き。独墺系ガッチリ構成好みの人には耐えられんでしょうなぁ。
「恋の骨折り損(恋のから騒ぎ)」とは明石家さんま司会の人気番組ではなくて、シェイクスピアの戯曲(「Love's Labour's Lost」)舞台音楽なんですよ。Finziも知名度低く、基本穏健派系統でありながら、もっと快活に躍動するモダーンで剽軽な旋律も出現します。10曲の小曲による27分ほどの作品。ボートンの仕上げは入念で、口当たりはあくまで爽やか。そして華や爆発がなくて、じつにジミであります。 (2008年6月26日)
【♪ KechiKechi Classics ♪】 ●愉しく、とことん味わって音楽を●
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