Rachmaninov 交響曲第3番イ短調 作品44
(ニコライ・ゴロワーノフ/ソビエト全同盟ラジオ・テレビジョン大交響楽団1948年)


CONCERTOROYALE 206216-360 Rachmaninov

交響曲第3番イ短調 作品44

ニコライ・ゴロワーノフ/ソビエト全同盟ラジオ・テレビジョン大交響楽団

DOCUMENTS 233018/G CD7 1948年録音

 趣味嗜好は人それぞれ、ストコフスキーを凌駕する?デフォルメ表現、しかし音質水準があまりよろしくない個性派ニコライ・ゴロワーノフ(1891 - 1953)は往年の旧ソヴィエットの巨匠であります。このサイトにも登場していたことは、書いた本人がすっかり忘れておりました。 パブリック・ドメインにてかなり音源入手可能、手頃な価格で16枚組も入手できます。正直なところ、ワタシは全部聴く勇気なし。LP時代、本場ソヴィエット盤Wagnerにも歯が立たなかった記憶もありました。

 これは激安Rachmaninov 10枚組を入手したら、そこに収録されたわずか40:15、ケチ臭い一枚、あと40分弱入りまっせ。交響的舞曲とかヴォカリーズ辺り収録してくださいよ、誰かの音源で。甘美な旋律をゆったり堪能すべき名曲は、もっと音質良好なCDにて拝聴すべきでしょう。1948年だから時代相応?一種独特のハイ上がりに刺激的+金管炸裂して盛大に割れます。

 第1楽章「Lento - Allegro moderato」。前のめりにクレッシェンド連続、自在にテンポは動いてイヤらしいほど雄弁。金管はお下品に炸裂し、野太く、びろびろのヴィヴラートが掛かってクサく存在を主張します。音録りの関係か、ヴァイオリンはやたらと頑張って、これも相当に刺激的であります。こんな特異なアクセント指示にぴたり!従ってアンサンブルを構成するのも相当な実力か。但し、強奏にてオーケストラが爆発すると(なんども爆発する)響きは濁って混沌阿鼻叫喚状態、この騒音が収まるのを待つ心境へ至ります。所謂、典型的”爆演”。好きな方はいらっしゃるんじゃないか。

 第2楽章「Adagio ma non troppo - Allegro vivace 」。緩徐楽章、しかし全3楽章なので中間部にスケルツォ的部分が挟まります。序奏のクラリネット、ホルン、チェロの静謐な歌は美しく、それは弦の粛々とした詠嘆に引き継がれ、まるで「シェヘラザード」風。フルート、ヴァイオリン・ソロ、ハープも可憐、しかし奥行きがない音質が少々興ざめでしょう。この辺りのゴージャス・ハリウッド風旋律サウンドは素敵ですね。遠慮会釈ない金管爆発なき楽章だから、かなり聴きやすい状態と思います。それでも時にどーしても派手に叫びたいのだね、時々。スケルツォ的部分はユーモラスなはずの風情も怒りに充ちて、走って、ガンガン叩きのめす感じ。また静謐戻って、弦はこれ以上ない!というくらい纏綿と表情ノーコーであります。

 第3楽章「Allegro」。本来、明るく華やかな曲想なのに、いきなりの金管爆発(響きの濁り最悪)、叫ぶ弦楽器(団子になってキタナい)。各パートてんでバラバラに弾いていて、全体サウンドは交じり合わない+ゴロワーノフが丁重に、ノーコーに味付け、残響の少ない(ノイズリダクションの成果かも)サウンドに雰囲気皆無。全曲聴き通して、この作品ってこんなんでしたっけ?と不安になるくらい、ゴロワーノフの体臭(のみ)満載ぷんぷん。

 こんなのを喜ぶ好事家も各々の勝手でしょ。歴史的録音の個性に驚くこともあるけれど、これはゴロワーノフの個性を聴くべきであって、日常座右に置いて・・・ということにはならぬでしょう。

(2013年5月3日)


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written by wabisuke hayashi