Prokofiev 交響曲第5番 変ロ長調 作品100
(アルトゥール・ロジンスキー/ニューヨーク・フィル1946年)
Prokofiev
交響曲第5番 変ロ長調 作品100
アルトゥール・ロジンスキー/ニューヨーク・フィル
Columbia ML4037 1946年録音
Artur Rodzinski(1892-1958)は世代的にぎりぎりステレオ録音に間に合った指揮者、所謂往年の巨匠世代だけど、その演奏風情は極めてモダーンでドライなものだったと記憶します。主に亜米利加にて活躍したということもあって、本場独墺好みの日本じゃ人気は出なかったでしょう。不評だったバルビローリの後を受けてニューヨーク・フィルのシェフに就任したのが1943年、大リストラを挙行して恨まれた挙句1947年にクビになった・・・らしい。ここで聴く限り1960年台バーンスタイン時代よりアンサンブルの集中力は優れているかも?そんな印象を得ました。
1944年の作品だから、この録音はほやほやの当時新録音。亜米利加では前年1945年セルゲイ・クーセヴィツキー/ボストン交響楽団にて初演されていたんだそう。けっこう露西亜ブームみたいな雰囲気があったんでしょうか。旧ソヴィエット時代の初演より大人気!新しいけどわかりやすい作品、近現代の華やかなオーケストレーションは鮮度のよろしい録音で聴いたほうが映えるのは当たり前、今更こんな太古録音で聴かんでも・・・せっかくネットより自由に入手できるようになった音源を有難く拝聴いたしましょう。音質かなり良心的。
作品との出会いはカラヤン(1968年)初耳当時、妙に大衆に媚びたように感じて好きになれない作品でしたよ。ここ最近お気に入り作品へ、クリストフ・エッシェンバッハ(1994年ライヴ)は色彩的でとても良かった。こちら太古な録音もしっかり愉しみましょう。
第1楽章「Andante」。夜明けというか荒涼たる大地に目覚める人民の力、そんな湧き上がるエネルギーを感じさせる出足。勇壮かつ荘厳な第1主題、第2主題も同様にスケールが大きく、とてもわかりやすい風情は全曲を支配します。フクザツなリズム、朗々たる弦や管+剽軽な打楽器も色彩的、ロジンスキーの表現はストレート系、スケールを強調して浪漫に煽る風でもなく、硬派なアンサンブルを実現しております。当時、馴染み薄かったであろう新作をみごとに表現する明るい響き、上手いオーケストラでであります。11:34。
第2楽章「Allegro marcato」ここはスケルツォ。忙しない弦に+オーボエやら木管が絡んでユーモラスに疾走します。ポコポコと絡む打楽器も賑々しくオモロいもの。指揮者の統率、リズム感が重要でしょう。アンセルメだとちょいと厳しかった記憶が・・・トリオも軽快さ継続、ユーモアとシニカルが交差するいかにもProkofievらしい個性横溢な楽章。ロジンスキーはノリノリです。5:40付近、テンポを落として徐々にテンポアップしてラスト熱狂を作るところ、ここの差異対比もあまりないんです。7:46。
第3楽章「Adagio」。静謐な緩徐楽章はかなりテンション高く、情熱的な表現(特に弦)。ロジンスキーはテンポ速め、雄弁劇的な節回しですね。3/4拍子らしいけど、足取り重い葬送行進曲みたい。Wikiには「抒情的で落ち着いた歌謡的な主題」と書いてあるけれど、一筋縄ではいかぬ苦味、重苦しさも感じさせる楽章です。11:16。
第4楽章「Allegro giocoso」。ここも夜明けを連想させる遠く静かなホルン、フルート、弦〜ヴィオラによるリズムの刻み(ジミな音色)が始まって、この楽章の軽快なリズムを支配する平易、明るいフィナーレ。ここもテンポ速めにノリノリの疾走、オーボエの素っ頓狂な旋律も上手いもの。弦+木管の軽快なリズム感もロジンスキーの統率の賜物でしょう。種々多彩に活躍する打楽器の愉しいこと!掛け合いの上手いこと。徐々に熱を帯びて(テンポアップ)いったん各パート一人の演奏に縮小して、一気にストンと終えるのも爽快。乾いたユーモア満載な名曲。9:01。 (2018年1月14日)
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