Mozart ピアノ協奏曲第20番ニ短調K.466/第21番ハ長調K.467
(ルービンシュタイン(p)/ウォーレンシュテイン/RCAヴィクター交響楽団)


ECHO INDUSTRY ECC-605

Mozart

ピアノ協奏曲第20番ニ短調K.466
ピアノ協奏曲第21番ハ長調K.467

アルトゥール・ルービンシュタイン(p)/アルフレッド・ウォーレンシュテイン/RCAヴィクター交響楽団

ECHO INDUSTRY ECC-605(RCA音源の駅売海賊盤)1961年録音

 既に正規盤を入手していて、ダブりは定期的にオークションにて処分したはずが、失念していたもの。今更出品できまへんって、昔懐かしい駅売海賊盤=おそらく1990年代中盤1,000円入手。んなことは音楽の価値本質とは無縁であって、これは音質もよろしいし虚心に耳を傾けるべきルービンシュタインの遺産であります。

体調問題もあるんだろうが、お気に入り作品(演奏者も)がこんなに粗っぽく聞こえるのはどういうことか。ヴィヴィッドなこと、自由奔放なことと、ていねいなる仕上げは別もんでしょう。もしかしてウォーレンシュテインのバック印象か。再聴しましょう。我らがヴォルフガングさまに申し訳が立たぬ・・・再聴。”粗っぽく聞こえる”ことはなくなって、やはり自由奔放+躍動と評すべきなのでしょう。ピアニストの色がしっかり前面に出た演奏であって、けっこう”動く”んです。それが少々煩わしく感じないこともない・・・ま、ワタシは彼のファンですし、けっこう愉しんで聴きました。
〜これは2008年10月「音楽日誌」より。”粗っぽ”いとは、時に速いパッセージの時に”走る”場面があること、ルービンシュタインの明るい個性が前面に出て、それが少々賑々しい。同時期ライヴの第23番イ長調K.488には 
この人のMozart はちょっと個性に似合わないと思いますよ。こちらオーケストラの伴奏にデリカシーを少々欠いて、陰影に乏しい楽天的な印象の演奏となります。演奏スタイルには流行廃れがありまして、こんなグラマラスで明るい演奏は最近見ない感じ。好んで聴く古楽器の演奏は、もっとリズムが引き締まっておりますよ。彼のMozart を好んで聴く、ということにはならぬが、貴重な記録として拝聴いたしましょう。(2010年)
と、少々手厳しいコメント有。

 同作品の1950年代録音だったら、

少々大柄すぎてデリカシーに乏しいか?この溌剌として傲慢なくらいの勢いと明るさには、あながち否定的な評価ばかりもしていられない。ルービンシュタインも最晩年の枯れた味わいとはほど遠くて、「溌剌として傲慢なくらいの勢いと明るさ」は時代の反映だったのかも知れません。ちょっと熱狂するような、こんな大胆な演奏はもう現代には存在しません。(2004年)
〜どうなんだろうか、現在の耳で確認すれば。

 ルービンシュタインの前に、アルフレッド・ウォーレンシュテインのオーケストラのこと。RCAヴィクター交響楽団はゴージャス、厚みのある響き、瑞々しく鳴っておりました。現代にはこんなスタイルはないでしょうね、きっと。ニ短調協奏曲K.466始まりました。この作品にはナニだけれど、明るい!ヴィヴィッドな情感溢れて、アツい推進力も色気もたっぷり、華やかなピアノ・ソロ。この躍動が時に”細部が粗い”印象を与えるのかも。楚々とした抑制、みたいなものとも無縁であってスケールが大きい、つまりは陰影に乏しいということになるのでしょうか。ま、ウォーレンシュテインののオーケストラも、その印象を助長しているのでしょう。(以上第1楽章「アレグロ」)

 第2楽章「ロマンツェ」も晴れ晴れとした表情、朗々と歌います。第3楽章「アレグロ・アッサイ」は(それこそ)劇的な場面連続!ルービンシュタインのピアノは健康的に、華々しく歌い続けます。軽快さにも推進力にも欠けないが、作品との違和感は少々拭えない・・・オーケストラも粗さがちょっぴり気になりました。

 ルービンシュタインの個性なら、ハ長調協奏曲K.467の健全な明るさが似合うのでしょう。ハ長調という調性に相応しいスケール大きな序奏も立派。”明るい!ヴィヴィッドな情感溢れて、アツい推進力も色気もたっぷり、華やかなるピアノ・ソロ。この躍動”というスタイルは、そのまま賞賛へと変化いたしました。但し、あくまで自分の嗜好として(現代楽器であれ古楽器であれ)もっと抑制と陰を重視するスタイルを望みたいところ。ちょっと元気よすぎ。饒舌に過ぎるかも。(以上第1楽章「アレグロ」)

 もっとも著名なる旋律満載・第2楽章「アンダンテ」。ウォーレンシュテイン雰囲気たっぷり、泣きもたっぷりあって好調です。ピアノはいつもの健全に明るく、微笑んだタッチにて淡々と進めて悪くない。終楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ・アッサイ」も、明るさ、力強さ際立って浮き立つような喜びが溢れました。

(2012年3月24日)


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written by wabisuke hayashi