Mozart ピアノ協奏曲第23番イ長調K.488/Chopin ライヴ
(ルービンシュタイン(p)/ヌシオ/スイス・イタリア語放送管弦楽団)


DOCUMENTS/AURA 223603/1  10枚組1,700円程にて入手(2006年/現在なら相場1,000円前後)

Mozart ピアノ協奏曲第23番 イ長調 K.488

オトマール・ヌシオ/スイス・イタリア語放送管弦楽団(1961年5月12日/ルガーノ)

Chopin

夜想曲第2番 嬰ヘ長調 作品15

Villa-Lobos

「赤ちゃんの家族」〜道化人形(以上1961年5月8日/ボローニャ)

Chopin

幻想曲 へ短調 作品49/前奏曲第15番 変ニ長調 作品28「雨だれ」/前奏曲第8番 嬰へ短調 作品28/前奏曲第23番 ヘ長調 作品28/前奏曲第24番 ニ短調 作品28 /バラード第3番 変イ長調 作品47/子守歌 変ニ長調 作品57/ワルツ第2番 嬰ハ短調 作品64/練習曲第5番 ホ短調 作品25(1970年11月7日/ボローニャ)

アルトゥール・ルービンシュタイン(p) DOCUMENTS/AURA 223603/1 10枚組1,700円程にて入手(2006年/現在なら相場1,000円前後)

 ネット界にクラシック音楽のコメントをし続けている同志に比べれば大人しいものだけれど、いずれ棚中在庫CDは”イメルダの靴”状態であります。人間に足は二つしかないし、CDだって全部聴くのに、おそらく残された人生は短すぎて、しかもそんなに集中できるものではない。子供の頃、若い頃の”贅沢品イメージ”が、価格破壊21世紀を迎えて安易に音源入手可能となったから、オジサンは嬉しく購入しちゃう。@170だって凄い価格だけれど、わずか4年ほどで@100に下落ですから〜いやになっちまう・・・

 アルトゥール・ルービンシュタイン(1887年〜1982年)は、SP時代からステレオ時代に至るまで多くの上質なる録音を残して下さいました。この人のChopin は絶品であって、20年ほど前から駅売海賊盤にて堪能してきたが、2010年それを全部処分して正規11枚組再入手済。 その馥郁たるマジックに連日痺れておりました(音質も良好)。閑話休題(それはさておき)、これは別のライヴ。

 この人のMozart はちょっと個性に似合わないと思いますよ。1950年代の同曲録音には「溌剌として傲慢なくらいの勢いと明るさ」「熱狂するような、こんな大胆な演奏」とのコメント済。こちらオーケストラの伴奏にデリカシーを少々欠いて、陰影に乏しい楽天的な印象の演奏となります。演奏スタイルには流行廃れがありまして、こんなグラマラスで明るい演奏は最近見ない感じ。好んで聴く古楽器の演奏は、もっとリズムが引き締まっておりますよ。彼のMozart を好んで聴く、ということにはならぬが、貴重な記録として拝聴いたしましょう。

 1961年のChopin /Villa-Lobosは、”いかにもアンコール!”といった華やぎがあってキラキラ。音質も悪くありません。

 1970年ボローニャ・ライヴは、やや音質が曇りがちだけれど、いずれ良心的な水準でしょう。RCAのスタジオ録音は音質条件が整っていて絶品だけれど、こちら演奏会の流れとか空気を堪能すべきもの。技術的に安定していることを前提に、聴衆を飽きさせない変化に富んだ作品を並べております。前奏曲を4曲並べてラスト第24番 ニ短調の豪快な演奏で興奮の坩堝に叩き込む手腕の凄さ、実演の感興に溢れ、仕上げは決して雑にならぬプロのワザ、堪能。

 バラード第3番 変イ長調はかなり”走った”演奏であって、これも前後の流れを読んだものなでしょう。キレイに表面を整えたものではない〜案の定、聴衆は熱狂的な拍手。子守歌 変ニ長調の淡々と快い揺れ、もうこの辺りはアンコールに入っているのか?ルービンシュタイン自らの作品紹介でワルツ第2番 嬰ハ短調の絶品の哀愁、この辺りになるとヴェテラン熟練のワザでありまして、若者の勢いだけでは追いつかない。タメと囁き、そしてさらりと流して走り去る絶妙のタッチ。泣けます。

 ラスト、再び彼の声が入って練習曲第5番 ホ短調とは、少々不思議な、わずか4分弱に剽軽と詠嘆、軽妙が入り交じった世界にて締め括っていただきました。

(2010年4月24日)


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written by wabisuke hayashi