Mahler 交響曲第9番ニ長調/
第10番 嬰ヘ長調「Adagio」
(クラウディオ・アバド/ウィーン・フィル)
Mahler
交響曲第9番ニ長調(1987年)
交響曲第10番 嬰ヘ長調「Adagio」(1985年)
クラウディオ・アバド/ウィーン・フィル
DG UCCG4483
少し前にヤッシャ・ホーレンシュタインを聴いていて、Mahlerの音源の点検整理廃棄作業中に出会ったこちらにも感慨がありました。 いずれもライヴ。第9番には後年ベルリン・フィルや他種々ライヴの再録音が存在してClaudio Abbado(1933ー2014伊太利亜)も亡くなってぼちぼち10年、自分はあまり熱心な聴手ではなかったけれど、若手の頃から録音を聴いていた人々がつぎつぎと彼岸に渡るのも寂しく感じるもの。たしかこの録音が新録音としてFM放送から流れて、深い感銘を受けた記憶も薄っすらとありました。諦観と情熱に充ちた名曲中の名曲、この人はムリムリに自分の個性を前面に押し出さぬ表現、オーケストラの技量をムリなく引き出していたはず。あれからもう30年以上経ったのですね。
第1楽章「Andante comodo」から吐息のような弦の歌は暑苦しく前のめりの情念に非ず、慌てず急がず抑制が効いて知的、オーケストラの美点(弦や木管の響き)を活かして流れよく響き渡って落ち着いた風情。「生のテーマ」と「死のテーマ」の対比アクセントはちょっと弱過ぎるくらい淡々としておりました。(27:17)第2楽章「 Im Tempo eines gemachlichen Landlers. Etwas tappisch und sehr derb(緩やかなレントラー風のテンポで、いくぶん歩くように、そして、きわめて粗野に)」はユーモラスなレントラー、粘着質なタメはないけれどパワフルに熱を加えたアッチェレランドの効果も充分、ここはいつになく力強いアバドの情熱を感じさせて力強いところ。それでもどこかクール端正な風情は漂うもの。(15:25)
第3楽章「Rondo-Burleske: Allegro assai. Sehr trotzig(きわめて反抗的に)」ここも前楽章同様にオーケストラのパワーを充分に引き出して、かなりノリノリ。金管乱舞も弦の詠嘆もたっぷり美しい。とくに後半のテンポアップにアツい疾走がありました。(12:41)この中間2楽章の爆発に注目、やはりアバドならではの知的抑制をわずかに感じさせます。
第4楽章「Adagio. Sehr langsam und noch zuruckhaltend(非常にゆっくりと、抑えて)」は詠嘆の感極まる諄々たる歌が続きます。弦のメリハリは楷書の表現、陰影、決然とした力こぶが凄い。情念熱血系とは遠い表現だけど、優しくもムリのない感情の爆発、盛り上がりは充分でしょう。(24:15)自分の好みはこちら方面と自覚いたします。
交響曲第10番 嬰ヘ長調「Adagio」も狂気を強調しない楷書の美しい、端正な表現でした。(24:40)体調不良に付き、手抜きコメントご容赦。 (2023年6月3日)
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