Glie're 交響曲第3番ロ短調 作品42「イリヤ・ムロメッツ」
(ヘルマン・シェルヘン/ウィーン国立歌劇場管弦楽団)


LP時代のデザイン/ネット上から借り物 Glie're

交響曲第3番ロ短調 作品42「イリヤ・ムロメッツ」

第1楽章「さまよえる巡礼者、イリヤ・ムロメッツとスヴャトゴール」
第2楽章「山賊ソロヴェイ」
第3楽章「ウラディミール公の美しき太陽宮殿」
第4楽章「イリヤ・ムロメッツの武勇と石化」

ヘルマン・シェルヘン/ウィーン国立歌劇場管弦楽団

Westminster 1952年録音 ネットより音源入手

 かなり以前、ヘタすると20年ほど前のコメント(ドナルド・ジョハノス盤)が残っていて、久々の拝聴となります。露西亜の交響曲としてはあまり知名度はないかも。Reinhold Moritzevich Glie're(1875-1956)は旧ソヴィエット時代まで活躍した作曲家です。

 4年ほど前のコメントに曰く

80分を超える長時間、想像より音質はずっと良心的です。第1楽章「さまよえる巡礼者、イリヤ・ムロメッツとスヴャトゴール」/第2楽章「山賊ソロヴェイ」/第3楽章「ウラディミール公の美しき太陽宮殿」/第4楽章「イリヤ・ムロメッツの武勇と石化」=どこかの民族的歴史的英雄の物語なのでしょう。華やかさ+大衆的わかりやすい旋律連続であって、長時間飽きさせない、これが当時のソヴィエット連邦に求められる方向だったのか。終楽章の盛り上がりも期待通り。Khachaturianや、Rimsky-Korsakov より旋律リズムはモダーン平易であって、オリエンタルな土俗性を強調したものに非ず。久々の拝聴はKalinnikovをを連想いたしました。オーケストラは立派な技巧、華やかなサウンドを考えると≒ウィーン・フィルでしょう。おそらくフォルクス・オーパーではない。
・・・ほんまか。たしかに安定したアンサンブル、民族的勇壮な旋律サウンドは色彩的、モノラルながら鮮明な音質でした。西側最初の録音?しかも完全全曲盤です。作品の雰囲気は「シェヘラザード」風、ちょいとクサ目な旋律、大規模な4管編成。

 第1楽章(Andante sostenuto - Allegro risoluto)「さまよえる巡礼者、イリヤ・ムロメッツとスヴャトゴール」。Scriabin「法悦の歌」の主題にも似て、思いっきり大衆的な英雄的旋律が華やかな金管に炸裂します。この辺りはRismsky-Korsakov風か。露西亜風臭みはないけれど、あまりにわかりやすい”いかにも”風勇壮な旋律連続、オーケストラは上手いですね。金管のみごとな合奏となっております。スヴャトゴールは師匠である伝説の英雄だそう。(23:20)

 第2楽章(Andante)「山賊ソロヴェイ」。戦士イリヤが盗賊をやっつけるところ。冒頭弦中心の静かな、怪しくも不安な細かい旋律はソロヴェイの登場を表しているのでしょうか。これが徐々に木管、金管を加え緊張感と速度を加えて効果的、やがて優しい幻想的な旋律が登場して木管の絡みはRavel「ダフニス」を連想させるところ。シェルヘンの情熱をたっぷり感じさせ、優雅に盛り上がって色彩的なサウンドが美しい楽章でした。(22:03)

 第3楽章(Allegro)「ウラディミール公の美しき太陽宮殿」は短いスケルツォ楽章(7:06)。華やかに繊細ゴージャスな風情が溢れます。宴席の風景かな?朗々と明るい旋律が優雅そのもの。戦いの合間、つかの間の平和でしょうか。

 第4楽章(Allegro tumultuoso - Tranquillo - Maestoso solemne - Andante sostenuto)「イリヤ・ムロメッツの武勇と石化」。風雲急を告げるイリヤ最後の戦い。異教徒であるタタール大軍はゾンビのように復活してこちら大苦戦〜祈りを捧げると勇者たちは石になる・・・って、なんのことやらようワカラン筋書き。とにかく激しい戦いを表現する金管と打楽器の炸裂に緊張感は高まります。やがて明るく雰囲気を変えて、勇壮な金管が朗々と歌って大団円・・・ホルンは骨太にほんまにみごとでっせ。(23:20)

(2017年5月14日)

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written by wabisuke hayashi