Great Composers Series ”Edvard Grieg”


ARC海賊盤(DG+EMI+DECCA)T15P865 298円で購入(定価1,500円との表記) Grieg

ピアノ協奏曲イ短調 作品16〜第1楽章「Allegro molto moderato」

ゲザ・アンダ(p)/ラファエル・クーベリック/ベルリン・フィルハーモニー(1963年)

劇付随音楽「ペール・ギュント」より「朝」「オーセの死」「ソルヴェイグの歌」

ヘルベルト・カラヤン/ウィーン・フィルハーモニー(1961年)

歌曲「君を愛す」作品5-3

ヴィクトリア・デ・ロス・アンヘレス(s)/ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス/シンフォニア・オブ・ロンドン(1964年)

組曲「ホルベアの時代から」作品40〜「前奏曲」「サラバンド」「ガヴォットとミュゼット」
「過ぎゆく春」

ジョージ・ウェルドン/フィルハーモニア管弦楽団(1961年)

「夜想曲」

ジョージ・ウェルドン/ロイヤル・フィルハーモニー(1961年)

叙情小曲集より
「蝶々」「小鳥」「春に」「メロディー」「まぼろし」「農夫の歌」「あなたのおそばに」「ゆりかごの歌」「夏の夕べ」

ワルター・ギーゼキング(p)(1956年)

ARC 駅売海賊盤(DG+EMI+DECCA) T15P865 298円で購入(定価1,500円との表記)

 2018年夏は天変地異+殺人猛暑。幸い電力は足りているようなので、涼しい室内に引き隠ってDVDに焼き込んだ音源データの点検整理といういつもの”ヲタク趣味”に没頭しております。(7-8年継続)現在のメイン・マシンは2TB大容量だから余裕、一昨年迄はせいぜい5-600gbだったから日々蓄積されるネットからの音源はDVDに焼き込んで外に出すしかなかったもの。これが・・・ダブりは華麗なる加齢に弱まるノーミソだから仕方がない、圧縮し過ぎに音質ぱっとせん音源も当時知識少なかったから諦めも付きます。だけど、解凍パスワード不明、ましてやファイル不良は打つべき手なし、これはちゃんと拝聴点検しなかった自分の責任、日々悔いております・・・

 って、このネタ千度【♪ KechiKechi Classics ♪】に言及して、じつは某音源(とてもお気に入り)が不良ファイル拝聴不可であったショック(約二日間嘆いて)挙げ句、じつはちゃんとCD棚中に残っていた!という結末に驚き。CDはここ数年掛けて在庫1/5ほどに減らして、ちゃんと熟考してオークションに出しているはずが、んもうワケがワカラんようになっている・・・状態が情けない。こんな時代遅れの”駅売海賊盤”は、件(くだん)のCDにいっしょに封入してあって、再発見したもの。この猛暑中、安易に定例更新ネタにしたろかいな、と。

 一般教養としての”名曲集”(音源寄せ集め)というのは市場から消えたのでしょうか。あれは高度成長時代(一般教養)の賜物だったのか、現在ならHARD・OFFにごっそりLPが出てますよ。閑話休題(それはさておき)これは昔馴染み著名な音源+入手難マニアックな音源を加えてプロデューサーはたいした眼力でっせ。ラスト、ワルター・ギーゼキング(Walter Gieseking, 1895ー1956)の「抒情小曲集」はモノラルだけど、全体に音質も鮮度上々でした。サワリが多いけれど、これを機会に全曲挑戦する・・・というのが一昔前の音楽少年の辿った道でした。

 名曲中の名曲、ゲザ・アンダの協奏曲は1963年録音、パブリック・ドメインに至りました。リンク先に言及あるように、Mozartの弾き振りではなんとも素朴な味わいだったのに、ここでの透徹したタッチの美しさ、洗練された強靭さ、冴え冴えとした切れ味、これはクーベリック率いるベルリン・フィルの威力迫力もあるのでしょう。音質極上。クレッシェンドするティンパニを決然と、遮るように切り込むピアノ!文句なくカッコ良い出足でっせ。寄せては返す浪漫の風情に揺り動かされて、嗚呼第1楽章のみはもったいない、全部聴きたい思いは募ります→って、いつでも聴ける佳き時代となって、有り難みは薄れました。

 Herbert von Karajan(1908ー1989)の立派なところは、所謂”通俗名曲”もちゃんと録音を残して下さったこと。これは50歳代壮年の記録、1960年前後英DECCAにウィーン・フィルと集中的に録音して、LP時代は高嶺の花、憧れでしたよ。CD時代に至ってもしばらくそんな感じだったな。これはカラヤンの語り口の上手さ、叙情的な風情の三曲揃えて音質極上、ウィーン・フィルのゴージャスな響きを堪能させてくださいます。これは別に全曲聴きたい・・・とは思わぬけれど。

 ロス・アンヘレス(Victoria dels Angels、1923ー2005)の「君を愛す」〜奥様と婚約した時の作品、詩はアンデルセン。とろりと夢見るような甘い旋律、音楽で幸せを表現したら、この曲になりました・・・とは14年前の自らのコメントでした。わずか2:31の至福也。Rafael Fruhbeck de Burgos(1933ー2014)も亡くなってしまいました。

 ジョージ・ウェルドン(George Weldon, 1906ー1963)は早逝したから録音も少なくて、知名度もいまいち。彼のGriegは自分にとってもリファレンス(参照の基準)でっせ。駅売海賊盤(北欧の旅情)は息の長い愛聴盤、なんせ正規盤でもパブリック・ドメイン音源でも入手難音源ですから。YouTubeにて拝聴可能擬バロック風情が素敵な「ホルベア」は5曲中、「Aria」「Rigaudon」が抜けて残念、人生の黄昏を連想させる「過ぎた春」、抒情組曲 作品54よりわずか3:53の「夜想曲」のみ収録は残念。

 ギーゼキングの「抒情小曲集」は31曲LP2枚分録音された分より抜粋9曲収録。時期的に本来ステレオ録音である可能性もあります。これはエミール・ギレリスで目覚めたお気に入り作品、音質もさほど悪くないけれど、既に自分は”歴史的音源はたまに聴けばOK”状態、10年ほど前にまとめてCD処分してしまった罰当たりもの、なんとなくサワリを聴いた(CD全体がそんなコンセプトだけど)そんな状態でした。

(2018年8月5日)
   

 「ワタシ、得意の寄せ集め(タマに貴重な録音紛れ込み)激安CD。名曲、珍曲(サワリのみ)、名演揃い。これをきっかけに全曲買うのもいいじゃないですか」〜これ同じシリーズのElgarを取り上げたときに書いた文書ながら、そのままコレにも使えますね。著作隣接権クリアの駅売海賊盤だし、ごていねいにウェルドンの録音はダブり買いというおまけ付き。情けない。が、選曲は(音源選択含め)なかなか凝ってますよね。

 ピアノ協奏曲は、まずクーベリックのベルリン・フィルがはっとするほど新鮮。先日、フライシャー/セル盤の、目が覚めるような切れ味鋭いテクニック(いかにもスタインウェイ!)を堪能したばかりだけれど、アンダも負けてはいない・・・と、クルマの中で聴いたときはそう思ったが、自宅で再聴すると技巧が先行の印象になっておりません。いや、むしろ滋味深いというか、やや味わい系ながらやはり勢いは存分、といった演奏でした。コレ、全曲欲しい。

 「ペール・ギュント」〜カラヤンの偉いところは、こういう小曲集でも全力投球というか、驚くほど纏綿と歌っていて、スケールが(バカ)でっかい。いや、もうこんな気軽な音楽にここまでノーコーな味付けしちゃっても良いの?というくらい朗々としていて、まったく豪華、豪勢、立派で参りました、状態。

 ロス・アンヘレスの「君を愛す」〜これ売ってないでしょ?フツウ。奥様と婚約した時の作品だそうで、詩はアンデルセン。わずか2分半だけれど、とろりと夢見るような甘い旋律です。音楽で幸せを表現したら、この曲になりました、と言いきってもよろしい名曲中の名曲。豪華なバックも夢見心地。いったいどこから持ってきた音源か。

 ウェルドンの録音(「ホルベルク」他)はほんまに立派な、生き生き、しっとりとしたもので、これでもう少々録音状態が改善されれば・・・と贅沢を望みたくなります。なぜ、文部省はこの作品ではなく「ペールギュント」を教科書に載せたのかが理解できない。泣ける旋律の宝庫。

 ギーゼキングの「叙情小曲集」は、じつは31曲録音が残っていて、その一部収録となります。可憐な旋律が続いて、いくらでもセンチメンタルに表現可能だけれど、彼は意外なほど粛々淡々と演奏するんですね。音質は悪いほうではないが、やはり時代相応でしょう。聴き進むにつれ、抵抗なく寂寥たる味わいに溶け込めます。このCDは秋葉原のバッタ屋で購入したはず。入門用としては文句なしの価格、価値でしょう。正規音源は機会があればちゃんと買いましょう。(2004年3月13日)


【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
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written by wabisuke hayashi