Mozart /Handel 協奏曲集
(アレクサンドル・ガウク/ソヴィエット国立放送交響楽団)


YEDANG CLASSICS  YCC-0151 10枚組3,990円 Handel

ハープ協奏曲 変ロ長調 作品4-6

ヴェラ・デュロワ(hp)

Mozart

協奏交響曲 変ホ長調 K.297b

メシュコフ(ob)/ソロキン(cl)/シャピロ(hr)/スタイデル(fg)

ファゴット協奏曲 変ロ長調 K.186e(191)

ユーリ・ネクフルドフ(fg)

アレクサンドル・ガウク/ソヴィエット国立放送交響楽団(1951年録音)

YEDANG CLASSICS YCC-0151 10枚組3,990円にて購入したうちの一枚

 ロシア系旧ソヴィエットの膨大なる音源を集めた韓国レーベル「YEDANG CLASSICS」が激安ボックスを投げ売りして消滅したのは、2004年だったか?ワタシは泡銭を駆使してかなり”オトナ買い”し、結局気に喰わないものは数年掛けて、オークションにて大量に単品処分いたしました。豪華紙ケース収納は立派だけれど、日常取り出すには少々鬱陶しいのはともかく、音源集成的(編集方針)に少々エエ加減なものも・・・けっこうありました。

 このアレクサンドル・ガウク(1893年〜1963年)の協奏曲ものは、整合性のあるまともな音源だけれど、おそらく誰も見向きもしないでしょう。録音も旧いし(音質はまとも)。ネクフルドフ(Nekhldov)って、読み方さえ全然違うのかも。ネット検索しても出現しません。(他のソリスト呼称も正確な読み方ワカリません)

 音楽に好き嫌い云々をするほど聴き込んでおるのかっ!と詰問されると苦しいが、この3曲は見事に嗜好のツボであります。ま、概ね、すべて我らがヴォルフガングの作品は愛しているんだけれど。で、その前に冒頭はHandel の愛らしい作品より。

 ハープ協奏曲 変ロ長調はもともとオルガン協奏曲だけれど、静謐で典雅、爽やかで哀愁のテイストもある〜文句なしの名曲名旋律。昔馴染みの作品だけれど、おそらくは棚中にはこれしかない・・・というのは大嘘(忘却の結果)でして、検索を掛けると出てくるもんですなぁ。Handel 40枚組に収録されるし、ユッタ・ツォフ(hp)/レーグナー盤(1973年)も発見、ラスキーヌ(hp)/オーリアコンブ盤は処分済み。ま、なんでも、どんな演奏でもエエんですよ、よほど酷い音質でない限り。

 所謂露西亜風無遠慮暑苦しいサウンドを想像したら大間違いでして、見事に繊細な味わいで、音質だって悪くない。(以下の収録も同様)

 協奏交響曲 変ホ長調 K.297bは、偽作、疑作との評価(Anh.C14.01)になっているみたいだけれど、ド・シロウトが馴染んだ、まさにMozart 以外考えられない名曲中の名曲也(大好き)。ややジミな音色のソロながら、よく息が合って、腕はたしかだと思います。シャピロ(hr)は期待通りのヴィヴラートが甘い響きであって、ガウクは意外なる軽快ウキウキ表現で愉しませて下さいました。けっこう、時にテンポを落として歌心にも不足なし。

 終楽章の変奏曲は、いつ聴いても牧歌的剽軽な旋律が夢ごごちに誘(いざな)って下さるんです。ガウクの「テンポのタメ」はけっして時代遅れではありません。非常に効果的。けっしてあわてず、しっかりとした足取りであり、推進力や躍動にも不足しない。

 ”牧歌的剽軽”ならば、ファゴット協奏曲 変ロ長調 K.186eだってユーモアたっぷりで負けない味わい作品也。ジョージ・ズカーマン(この人は現役の名手らしい!)の演奏で、LP時代よりのお気に入り作品です(と、繰り返すのが空しいくらい無条件幸福作品ばかり連続)。

 かなりテンポが遅く、古典のスタイルから離れた古色たる違和感少々有。ネクフルドフ(?Nekhldov)も名手ですよ。纏綿とした流れに乗って、悠々朗々と歌って、音色は鼻に掛かってフランス系?かも。ここでの演奏は”おフランス”ではなくて、やや露西亜風粘着質+重さがありました。

(2009年4月17日)

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written by wabisuke hayashi