Weber 協奏曲集(ホルン、フルート、ファゴット)


VOX TURNABOUT(CarlTON) 30371 00662 Weber

ホルンと管弦楽のためのコンチェルティーノ ホ短調 作品45
オルヴァル(hr)

ヴィオラと管弦楽のためのアンダンテとハンガリー風ロンド ハ短調 作品35
フルートと小管弦楽のためのロマンツァ・シチアーノ ト短調

タルハイマー(fl)/ナイドリンガー/ハンブルク交響楽団

ファゴット協奏曲 ヘ長調 作品75
ファゴットと管弦楽のためのアンダンテとハンガリー風ロンド ハ短調 作品35

Mozart

ファゴット協奏曲 変ロ長調K191
ジョージ・ズカーマン(fg)/フェルバー/ヴュルテンベルク室内管弦楽団

VOX TURNABOUT(CarlTON) 30371 00662   録音年不明(1960年代?)  $2.99

更にジョージ・ズッカーマンの情報をいただきました。感謝。

メイプル 【2008/10/04 23:37:40】

はじめまして。
バスーン奏者の「ジョージ・ズッカーマン」のコンサートに昨夜、行って来ました。
私はカナダ在住で、娘のピアノの先生がズッカーマン氏と30年来の友人であり、伴奏を務め、娘が楽譜の譜めくりを頼まれたのです。そのせいか、彼がどんな人物なのか全く知識もないままに行きました。

夜の8時から始まったコンサートは終わったのが10時半頃。
大盛況のうちに終わりました。ピアノや弦楽四重奏との共演、彼の音色もテクニックも素晴らしかったです。バスーンのソロもはじめて聞きました。普段はオーケストラの一部?としか見てなかった楽器ですが、ソロでもいいものですね。
終わってから、彼が今年81歳だと聞いてびっくりしました。
どう見ても60歳くらいにしか見えなかったものですから。
あんなに大きな楽器を抱えて2時間半も、すごい体力ですよね。
帰ってから、彼をネットで調べ、ここにたどり着きました。
2005年に彼のCDを紹介してありますが、そこで彼が現在も健在なのかどうかわからない、、とありましたので、御報告したまでです。
ズッカーマン氏は、来週からヨーロッパに演奏旅行に行くそうです。彼の溢れるばかりの精力は見習いたいものですね。


GEORGE ZUKERMANについての情報をいただきました。感謝。

1995年版のNew Groveでの記述は概略以下のとおりです。めずらしいことに、Baker'sには記載がありません。普通は、Groveには載っていなくてもBaker'sにあるというのが多いのですがね。

「ジョージ・ズッカーマン(ミドルネームはベネディクト)1927年2月22日ロンドン生まれのカナダ人バスーン奏者。ニューヨークのクイーンズカレッジでレナード・シャロウに師事、ついでNational Orchestral Associationでレオン・バルツィンに師事する。1960年代半ばより独奏者としてあらわれた。6大陸(南極もかな?)の40カ国以上で演奏会、オーケストラとの共演、指導などを行う。かれは、ソビエト連邦で最初に演奏旅行(1969年)をした外国人バスーン奏者でもある。また、Cassenti PlayersというChamber Ensembleを1960年に組織し、またバンクーバーのCBC Vancouver Chamber Orchestraの首席バスーン奏者も務めた。」

なお、彼の演奏のスタイルについてこう書いてあります。

「ヴュルテンベルク室内管との録音で鮮やかで流暢なスタイルと朗々とした音色を見せている」原文はclean and fluent style and full toneです。

ロンドン生まれのカナダ人ということですので、ジョージと呼ぶのが適当であろうと思います。1927年生まれということですので、今年79歳ですが、さてご健在であるかどうかは分かりません。(2006年9月3日)


 2005年再聴。激しい音楽は最近聴けなくなっており(そのワリにMahler はOKか?)聴くべき音楽に少々悩んでおります。基本的嗜好はバロックからMozart 、そしてWeber迄辺りかな?間違いないのは。あとは仏蘭西、英国、米国+近現代方面(Shostakovich除く)・・・Weberの素朴で愉悦感に充ちた旋律はいつ聴いても幸せな気分になりますね。閑話休題(それはさておき)・・・

 前半がハンブルク交響楽団(実在)担当となるが、録音はかなりショボく、アンサンブルだって豊満な響きとは言い難い。オルヴァルのホルンは相当の技巧でして、スムースな高音の響き、短い音節を軽快に操って、まさに変幻自在〜単一楽章約14分、これも例外なくいつもの躍動するWeber節に間違いない。

 「アンダンテとハンガリー風ロンド」は、こちらヴィオラ版は1809年の作品であり、ファゴット版は1813年、後の編曲らしい。暗鬱劇的なアンダンテ(Beethoven のハ短調交響曲のリズムを予感させる)から、ロンドは軽快でやや明るめの表情に変化します。リズムはやはり素朴で楽しい。ヴィオラはソロ向きではない、少々地味な演奏スタイルで(このCDで聴く限り)ファゴット版のほうが楽しめるでしょうか。(ネットであちこち調査したが、このソロが誰であるかわからない。クレジットがありません)

 「ロマンツァ・シチアーノ」はずいぶんと珍しい作品(J.47)のようで、1806年の作品とのこと。おそらくは美しく、しっとりとした作品と類推されるが、ぼんやり聴いていると、うっかり終了の3分少々・・・なんかずず暗い旋律でした。

 これから先、ジョージ・ズカーマン(fg)/フェルバー/ヴュルテンベルク室内管の担当となりまして、前半とは大違いの余裕のアンサンブルでしたね。ジョージ・ズカーマンは、1970年頃コロムビア・ダイヤモンド1000シリーズ以来の(ワタシにとっての)馴染みだけれど、いろいろサイトを調べても”どこの誰だか?”わからない。腕はたしかでですな。リズムは精気に溢れ、高音の抜いたカルさも美しいWeberの協奏曲はもちろんだけれど、「アンダンテとハンガリー風ロンド」はファゴット版がいっそう楽しい、というのはズッカーマンの軽快・自在な表現の成果でしょうか。終楽章は超絶技巧ですよ。

 ファゴットで地味で融通が利かないようだけれど、ユーモラスだし、時に大活躍!・・・そんな作品中の最高峰はやはりMozart !でしょう。(少々ムリムリなコンピレーションCDだけれど)前奏の弦、ホルン、オーボエが鳴り出したら、もうヴォルフガングのマジックに包まれて無条件幸福・・・Weberだって名曲だけれど、こちら天才天衣無縫のワザですよ。ギャラントであって、洗練され、沸き上がるような陶酔に溢れ、楽しげにソロが、オーケストラが語り合います。嗚呼、第1楽章カンデツァのモウレツ快速パッセージも、難なく優雅にこなしましたね。

 フェルバー率いるオーケストラは、柔らかく瑞々しい響きが光ります。さほどの音質水準ではないが、先のハンブルク響との録音よりずいぶんと聴きやすい。

(2005年9月23日)


 これは、一連のVOXBOXとは違う会社から出ているようで、発売元はCarlTON。たしか、タワーレコードあたりでは1,500円くらいで売っていた記憶があったけれど、個人輸入で格安で手に入れました。ジャケット・デザインがオリジナルLPを踏襲していて、曲数は足されているはず。モーツァルトのファゴット協奏曲は、むかしコロンビア・ダイヤモンド1000シリーズのLPで所有していました。

 たいへん珍しい曲ばかりで、VOXらしい意欲的な選曲。Weberは、ファゴット協奏曲を除いて初めて聴く曲ばかり。ドイツの素朴な民謡風な旋律の宝庫で、魅力たっぷり。76分以上収録のお徳用。ヴィオラのクレジットはありません。

 どうやらハンブルク響という団体は(放送響やハンブルク・フィルとは別に)ちゃんと存在するみたいですね。(たいしたアンサンブルじゃないが)

Weberにはホルンが活躍する曲が多いのですが、このホルン協もかなりテクニックを要求されそう。オルヴァルの音色は色気があって、技術的にもたいへんしっかりしています。相当細かい、ラプソディックで自由な旋律が楽しい曲。

 ヴィオラはごていねいに、あとの「アンダンテとハンガリー風ロンド」と同一の曲。(どうもこの曲、記憶がある。ファブリ名曲集の25cmLPで持っていたかも知れない)ヴィオラって地味だけど、セクシーな味わいがあっていいですね。哀愁漂う切ない旋律がなんともいえない、これも名曲。
 フルートはほんの3分ほどの短い曲ですが、これもちょっともの悲しくきれいな旋律。

 ジョージ・ズカーマンは、VOXにたくさん録音があって、CD化は待望久しいもの。フェルバー/ヴュルテンベルク室内管は話題にはなりませんが、いまでも現役のしっかりとしたアンサンブルです。たしかファゴットには「何々系」といった流派があったはずですが、このひとは澄んだ美しい音色で、フランス系の鼻声とは異なります。

 Weberのファゴット協奏曲は、ユーモアさえ感じさせる快活さ。素晴らしいテクニックで、しかも録音は前半よりグッと聴き映えがして楽しめます。

 モーツァルトは、もう前奏が始まっただけで、幸せな世界が始まる天才の技。Weberがどんなに素敵でも天衣無縫の天才にかなう訳もありません。華やか、多彩、陰影に富んだめくるめく旋律の妙。G.ズッカーマンの一点の曇りもない技量で一気に聴かせます。


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written by wabisuke hayashi