Delius アパラチア/高い丘の歌
(アンドルー・デイヴィス/BBC交響楽団/合唱団)


CHSA5088 Delius

アパラチア
(アメリカン・ラプソディ/奴隷の古い歌による変奏曲集/アンドルー・ラップ(br))

高い丘の歌

アンドルー・デイヴィス/BBC交響楽団/合唱団/オリヴィア・ロビンソン(s)/クリストファー・ボーウェン(t)

CHSA5088 2010年録音

  Andrew Davis(1944ー英国)もすっかりヴェテランとなりました。この演奏は音質、表現とも文句はありません。この作品はかなり昔のMy記録が一般のネット検索に出現するくらいだから、日本じゃほとんど話題にならぬ不人気作品なんでしょう。録音自体が少ないのか。両曲ともトーマス・ビーチャム編となっております。

 アパラチア(1902-04)は懐かしい古き佳き亜米利加のフォークソング風旋律が静謐にデリケート、懐かしく涼やかに変奏されて大好きな作品です。著名なる「エニグマ」に負けぬ魅惑の変奏曲でしょう。短い合唱なし版もあります。遠いホルンが響いてIntroduction: Iは夢見るように静謐(3:48) Introduction: IIは弾むように懐かしいメルヘンな歩み(2:13)そして主題提示が始まりました。ここがイングリッシュホルンによる懐かしい古き佳き亜米利加のフォークソング風旋律(0:29)そして第1変奏はホルン先頭にシミジミと歌います。(0:45) 

 第2変奏は弦が躍動して輝かしい(1:00)第3変奏はぐっと英国民謡風にリズムを刻んで、穏健に田園風景が広がるところ。ここは美しいなぁ。(4:09)第4変奏は哀愁に切迫してちょっぴり劇的、やがて輝かしい(0:53)第5変奏はゆったりと優しい風情にしっかりトランペットが主題を歌って盛り上がります。合唱もちょっぴり静かに参入。(2:42)第6変奏は不安げに漂うような静謐な幻想曲。かなりデリケートなところにラストは例の遠いホルン、そして控えめに合唱も登場します。(4:10)第7変奏曲は哀愁のワルツにヴァイオリン・ソロも活躍するところ。合唱も参入。(1:38)第8変奏曲は木管が手探りに絡み合って静謐。やがて朗々と主題が回帰します。(2:50)

 第9変奏曲は賑やかに快活な行進曲。金管打楽器大活躍(ミッキーマウス風)(1:42)そして第10変奏曲は落ち着いた歩みに作品の終わりを予感させ(1:34)ラスト「歌」はゆっくり遠く、静かな合唱が黄昏れて、雄弁なバリトンが民謡を歌って合唱が呼応、夕日が沈むように壮大なる締めくくりがやってきました。絶品。(7:52)

 高い丘の歌(A Song of the High Hills/1920年初演)は三管編成+合唱。暗鬱に揺れる雄弁な管弦楽から始まり、静かなホルンと木管の絡み合いも、やがて劇的に盛り上がって魅惑の幻想的。歌詞のない合唱+二人のソロもひっそり器楽的に扱われ、情感は高まります。(9:24-11:45-7:24)Deliusの作品はどれも耳許にそっと囁くような、過去を静かに振り返るように寂しげにステキな作品ばかり。

(2023年3月31日)

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written by wabisuke hayashi