Mussorgsky 組曲「展覧会の絵」/Schubert ピアノ・ソナタ第13番 イ長調 作品120 D.664/
Bernstein 「ピアノのためのタッチ」/PABST「エフゲニ・オネーギン・パラフレーズ」(シューラ・チェルカスキー(p))


NIMBUS  NI1748 7枚組3,000円 Mussorgsky

組曲「展覧会の絵」

Schubert

ピアノ・ソナタ第13番 イ長調 作品120 D.664

Bernstein

「ピアノのためのタッチ」

PABST

「エフゲニ・オネーギン・パラフレーズ」

シューラ・チェルカスキー(p)(1987年録音)

NIMBUS NI1748/7  7枚組3,000円

 CD処分を開始しておそらく6年目、収納棚もずいぶんと空いてきて顔ぶれも変わりました。シューラ・チェルカスキー(1909-1995)最晩年の7枚組は大切な保存盤であって、お気に入り。【♪ KechiKechi Classics ♪】にも「Liszt、Stravinsky」、「Franck 、Grieg、Messiaen、Rachmaninov 」、「Chopin 名曲集」3枚分の言及を発見。

「展覧会の絵」の滋味深い味わいは、リヒテルの攻撃的ともいえるテンションとは別世界の楽しさがある(2001年12月「音楽日誌」)
・・・盤石の貫禄と余裕、重量感と旋律のタメがじつに説得力深い・・・なんど聴いてもやや粘性を感じさせ、まったりした”往年のヴィルティオーゾ”ぶりが愉しい。どれも貫禄充分。テクニックが表層を流れることもなく、ひたすら味わい深い(2007年4月「音楽日誌」)
 なるほどねぇ。まったりした”往年のヴィルティオーゾ”、「卵の殻をつけた雛の踊り」「リモージュの市場」(テンポ遅い)に於ける快速パッセージ、「グノーム」ラスト辺り、少々技術的に苦しいけれど、それは枝葉末節なこと。全体33:51だから”やや遅”テンポなんだろうが、ずいぶんとゆったり余裕印象なる「展覧会の絵」。急いて走ったり、ヒステリックに叩いたり、空虚なテクニック(のみ)表出皆無。どの旋律も有機的、暖かく、味わいある節回しに絶妙なるタメがあって”まったり”しているんです。第2プロムナード〜「古城」は静謐タッチ深遠、かつしっとり幅広い余裕、色彩あるタッチ。デリカシーに充ちた「テュイルリーの庭」、「ビドロ」の重心の低さ、じわじわと迫る悲劇〜聴きどころ満載。

 「シュムイレ」は少々技術的に苦しいけれど「サムエル・ゴールデンベルク」との対比描き分けはお見事。「カタコンベ 」の残響は意味深く余韻があり、「死せる言葉による死者への呼びかけ」(=第6プロムナード)〜ラスト、クライマックスへ無理ない盛り上げ(力業に非ず)はヴェテランのワザであります。う〜む、なかなかエエではないか。

 Schubert のイ長調ソナタは、まるで鼻歌でも歌うかのように”抜いて”リラックス演奏。愛らしくも清潔な旋律にはもっと、かっちりとした演奏のほうが似合うかも知れません。いかにもチェルカスキーの個性前面に出て、弾き手が愉しんでいる演奏でしょう。Bernsteinの作品は9分ほどの変奏曲であって、やや大衆的なScho"nbergといった風情の硬派な作品也。

 ラスト、PAUL PABST(1834-1897)とは初耳作曲家ながら、露西亜のピアニストだったらしい。お馴染み「エフゲニ・オネーギン」の「ポロネーズ」をメインに辛口前作品との対比はとても楽しい!13分ほどの甘美、いかにもゴージャスな旋律続きました。

(2012年4月7日)

【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
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written by wabisuke hayashi