Franck 、Grieg、Messiaen、Rachmaninov (チェルカスキー)


NIMBUS	NI1748 (6)	1987年録音  7枚組3,000円で買ったウチの一枚 Franck

前奏曲、コラールとフーガ

GRIRG

ピアノ・ソナタ ホ短調 作品7

Messiaen

4のリズム練習曲より2曲

Rachmaninov

コレルリの主題による変奏曲 作品42

チェルカスキー(p)

NIMBUS NI1748 (6) 1987年録音  7枚組3,000円で買ったウチの一枚

 チェルカスキー(1909-1995)は、こういうバラバラのコンサート・ピースを自由に録音して残してくれました。NIMBUSは倒産したらしいが、音源はキチンと継承されて欲しいもの。78歳の時の録音ですね。当然テクニックの切れ味は期待できない。

 でもね、このFranck の遣る瀬なさはどうでしょうか。彼の作品には、一種隠微な官能があって、密かに夜中に聴くのが似合います。煮詰まって、行き詰まって、とうとう行き着いた禁断の癒しの世界。美しく磨かれた音色でもないし、神経質に細部に味付けした演奏でもありません。

 まるで、ほとんど流れを感じない大河をイメージさせる、ゆったりとした「揺れ」。転調の度に漂う、あきらめの甘い境地。フーガに躍動感が不足します。ちょっともたつく感じもあります。でも、深い。重い。この退廃は、健全なる若者には表現できない。ワタシは不健全なる中年男性なので、この曲も演奏も大好きです。

 Griegのホ短調ソナタは、知名度はないがなかなかの名曲なんです。(NAXOS 8.550878 イムゼの演奏で以前から知っていた)Chopin ばりの甘さもあって、この曲は、もう少しすっきりとした演奏で聴いたほうが似合っているかも知れません。アンダンテの諄々たる説得力は年齢(とし)の功。例の如し、北欧風の旋律が懐かしい。

 メヌエットの胸を打つ悲しみ。フィナーレにも流暢を許さない、引っかかりがある。もっとサラリと爽やかさとスピードが欲しかったが、解決すべきことが残ってしまったようなやや苦しい楽章となりました。

 Messiaen。いつもながら宝石をばらまいたような音の連続。「コレルリ変奏曲」には注文があって、「ラ・フォリア」はワタシのお気に入りだから、その旋律を混沌の中に埋もれさせないで欲しい。くれぐれもバリバリ弾いて欲しくない。嗚呼、チェルカスキーはFranck 方面の路線で進めてくれました。

 これは(おそらく)たいへんなテクニックが要求されそうで、少々のギクシャク感があります。但し、弱音のコクと説得力が尋常じゃない。でも大音量のところは音が濁っちゃう。「息もつかせぬ集中力と興奮!」方面とはかなり違うが、味わい系の極地みたいな演奏でしょうか。

 これ、たいへんな7枚組で、関連曲集積型収録じゃないから「摘み聴き」が許されません。ぜ〜んぶ「チェルカスキーの個性を聴け!」風収録で、彼のファンじゃない人にとっては難物でしょ。(2002年11月1日)


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written by wabisuke hayashi