Brahms 弦楽四重奏第3番 変ロ長調/
クラリネット五重奏曲ロ短調
(レナー弦楽四重奏団/チャールズ・ドレイパー(cl))


EMI 5664222 Brahms

弦楽四重奏第3番 変ロ長調(1929年)
クラリネット五重奏曲ロ短調(1928年)

レナー弦楽四重奏団/チャールズ・ドレイパー(cl)

EMI 5664222

 かなり昔Charles Draper(1869-1952英国)によるMozartのクラリネット五重奏を聴いておりました。それと並ぶクラリネットの名曲である五重奏曲は大好きだけれど、3曲あるBrahmsの弦楽四重奏団は幾度か拝聴してどうも馴染みとは云えぬ不埒者。そもそも室内楽作品はあまり聴き込んでいないので、演奏の良し悪し、個性の違いもあまり理解しておりません。レナー弦楽四重奏団はなんと1918年に創設された洪牙利の古参団体、1920年代の音質は驚異の鮮度でした。

 弦楽四重奏第3番 変ロ長調は1875年42歳の作品。相変わらず後ろ向き、第3楽章以外は長調だけど、なんともほの暗い哀愁が漂いました。

 第1楽章「Vivace」快活に明るいMozart風始まりも、すぐにいつものBrahmsらしい暗鬱な陰り、ポルタメントするヴァイオリンは甘く歌って、なんとも切ない風情が漂います。ちょっと昔風の表現ですか?(9:31)
 第2楽章「Andante」たっぷり詠嘆する濃密な緩徐楽章。しつこいほど歌うポルタメントに、ゆらゆら揺れる表現には時代を感じさます。(8:56)
 第3楽章「Agitato - Allegretto non troppo」ここはニ短調、哀愁のリズムを刻んで主役はヴィオラ。(9:12)
 第4楽章「Finale: Poco allegretto con variazioni」は穏健な歩みの変奏曲。変ロ長調なのに陰はあちこちに漂って、鬱々とした情感の起伏がありました。変奏曲の名手であるBarhms、「ハイドン・ヴァリエーション」辺りを思い出すと、こちらずいぶんと内省的に静謐、そしてノンビリ。第1楽章冒頭Mozart風快活も回帰しました。ポルタメント奏法は郷愁漂う昔風情を感じさせて、これはこれで味わい深いものでしょう。(12:04)

 クラリネット五重奏曲ロ短調は1891年58歳の作品。歴代クラリネットを伴う作品中屈指の名曲、Mozartと双璧の存在でしょう。昔から大好きな絶品の旋律ですよ。

 第1楽章「Allegro」まるで黄昏の空を見上げるような寂しい、感極まる始まり。後ろ向きに切ない旋律は緊張感に躍動して高まる情感、クラリネットの音色はデリケートにセクシーでした。(9:35)
 第2楽章「Adagio」安らかな眠りを誘うような至福の緩徐楽章。静謐なクラリネットは自在に歌って落ち着いた風情、相変わらずヴァイオリンのポルタメント奏法は古色蒼然、これは旋律風情にぴたりと似合って詠嘆、深まる郷愁の念。(9:58)
 第3楽章「Andantino - Presto Non Assai , Ma Con Sentimento」優雅なアンダンテから始まって、やがて細かい音型に急ぎ足の「Prest」へ。ここも鬱蒼とした風情が漂って、Brahms晩年の諦念を感じさせました。(5:03)
 第4楽章「Con Moto」主題と変奏によるフィナーレ。シンプルな主題は弦のポルタメント表現に入念に歌われ、遣る瀬ない風情の弦にクラリネットがそれに絡んで対等平等、しみじみ変奏は続いて、ちょっと落ち込むくらい切々。(8:22)

(2026年4月18日)

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written by wabisuke hayashi