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贅沢三昧「Beethoven ピアノ協奏曲への個人的嗜好と在庫削減」


 このサイト中幾度も繰り返しているが、ワタシはBeethoven をあまり好んで聴きません。こどもの頃から、主に交響曲に馴染んでいて、CD時代になったら全集は廉価でたくさん購入できるようになりました。でも、2007年転居をきっかけにかなりオークション処分したことも既に言及済み。一般的に人気アイテムだから、処分価格だったら間違いなく入札があるのも事実なんです。これは、”聴くべき音源を精査する”ことであって、よりいっそう音楽を(集中して)愉しもうという趣旨です。

 じつはピアノ協奏曲だったらいっそう苦手であって、どうしてこんなことになったんだろう?〜出会いはほんのローティーンの頃、第5番 変ホ長調「皇帝」〜クラウディオ・アラウ(p)/アルチェオ・ガリエラ/フィルハーモニア管弦楽団(1960年)でして、これはこれとして苦手意識は生まれなかったと思います。小学校か中学校か忘れたが、卒業証書授与のバックに第2楽章が使われている、と気付いた記憶もあるからませたガキでしたね。第1〜4番はどんな演奏で馴染んだかの記憶もなし。LP時代(社会人になってから)はグレン・グールドの全集を所有しておりました。但し、この時点で既に作品に対する苦手意識が芽生えていた記憶もあります。

 1980年代、盛んにFMエア・チェック(カセットへ)をしていて、著名なる演奏の基本はこの辺りで叩き込んだのでしょう。第1番ハ長調は、アルトゥール・ルービンシュタイン(p)バックは誰のだったか?既に記憶なし。第3番ハ短調はアルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ(p)/ジュリーニ/ウィーン交響楽団のライヴ(1979年)が印象鮮烈で、未だにこの最終楽章のインパクトを凌駕する演奏に出会えません。アルフレッド・ブレンデル(p)がデニス・ラッセル・デイヴィス/ベルリン・フィルのバックで全曲演奏した放送はカセットに録ったが、特別に感銘した記憶はありません。

 ああ思い出した。LP時代、アルフレッド・ブレンデル(p)/ズービン・メータ/ウィーン・プロ・ムジカ管弦楽団の「皇帝」を所有しておりました。(かなり古いVOX国内盤)残響皆無オンマイク平板な酷い音でして、後年CDで全集を再購入したときには音質改善に少々驚いたものです。もともとたいした水準ではないが。

 ワタシは自分の嗜好ともかく、先人が残した偉業に対しては敬意を払って一通り聴く、という行為は大切にしているつもりです。自分の好みもどんどん変わっていくし、ある日目覚めることもあるでしょうから。でも、在庫量の度が過ぎれば処分せざるを得ない。

●シュテファン・ヴラダー(p)/バリー・ワーズワース/カペラ・イストロポリターナ(NAXOS)この全集はCD時代に突入して(LP全部処分して)最初に購入した全集であり、もっとも初期に処分したものでもあります。とにかく、全然愉しめなかった〜現在(いま)だったらわかりませんよ、どーだか。

杉谷昭子さん● Beethoven ピアノ協奏曲全集(+ヴァイオリン協奏曲のピアノ編曲版)〜杉谷昭子(p)/オスカンプ/ベルリン交響楽団(1993/4年録音Verdi Records原盤)・・・これはけっこうお気に入りで、このサイトの初期更新記事となります。でもね、じつは一枚分不注意で傷を付けてしまって(再生に問題有)残り2枚はオークション処分してしまいました。先日、東京出張時馴染みのCD屋で再会して、再購入欲望を抑えるのに苦労したものです。

Gala20.3315/6/7-GA● Beethoven ピアノ協奏曲全集(+三重協奏曲)〜マイケル・ロール(p)/ハワード・シェリー/ロイヤル・フィル(1995年)+ウォルフィッシュ(vc)/カントロフ(v) Gala20.3315/6/7-GA・・・1999年岡山に転居して最初に購入したCDであって、とても軽快な演奏ぶり〜まるでMozart のような〜は気に入っておりました。それでも、聴く機会が圧倒的に少なくてオークション処分済み。

全集はCDでは揃っていなかったが、グレン・グールドも既に処分済み。ほか、一枚物はかなり処分したり、プレゼントしたりで、少しずつ在庫は減りつつあります。

 残った全集はていねいに聴きましょう、という決意(気持ち)はあるんです。

● ウィルヘルム・バックハウス(p)/シュミット・イッセルシュテット/ウィーン・フィル(1958/59年/DECCA 467 892-2  8枚組1,650円(税込)にて購入)・・・2005年3月購入との記録が残っており、これは交響曲+ヴァイオリン協奏曲(シェリング)も含めたボックスの掘り出し物でした。ところが!2年を経てピアノ協奏曲は聴いていないんです。今も在庫を確認するまで「グルダだったっけ?」と不安になる始末・・・ちゃんと聴きましょうね。大反省。我らの世代には基準となるべき世評高い録音でした。

VOXBOX CDX3 3502  3枚組2,000円ほどで購入● アルフレッド・ブレンデル(p)(1960年代最初の録音)ベッチャー/ワルベルク/メータ他様々なオーケストラによる演奏。先の「皇帝」で馴染みの全集でして、但しLP時代は一枚のみの所有でした。これは(最近はともかく)けっこう聴く機会の多い録音です。1960年頃、LP廉価盤で(かつて)出た音源には一際(ひときわ)思い入れがあって、若々しい良い演奏だと思います。

● レオン・フライシャー(p)/ジョージ・セル/クリーヴランド管弦楽団(1959/1961年 SONY SBK46549/47658/48165)・・・一方でオークション処分しつつ、ほぼ同時期に落札したもの。これはジョージ・セルの厳しいアンサンブルが聴きたかったから”別格”(勝手な理屈付け)なんです。いまや、これこそがワタシのリファレンス(参照の基準)となっていて、若きフライシャーのピアノも圧倒的に輝かしい!ま、この作品全集はこれのみあれば良いようなものだけれど、そうもいかない(勝手な言い訳)。

● アルトゥール・シュナーベル(p)/サージェント/ロンドン交響楽団+ドブロウェン+ガリエラ/フィルハーモニア管弦楽団(1932〜1947年)・・・これも数年前購入の激安HISTORY10枚組に含まれていたもの。一度は間違いなく聴いた(はずだ)が、どんな演奏だったか記憶がない・・・聴き方が雑なんです。

・・・全集は手許にはもうこれ以上ないでしょう。準ずるものとしては

● エミール・ギレリス(p)/クルト・マズア/ソヴィエット国立交響楽団(1976年ライヴ)・・・第3番抜け。3年ほど前、YedangClassicsボックスを”オトナ買い”したときに含まれていた2枚であって、なんと未聴ならぬ未開封!う〜む。

 中島皇恵さん個別の作品なら、列挙できないほど在庫はあると思う・・・例えば、(ワタシの世代ではバックハウスと並び)両巨頭であったウィルヘルム・ケンプだって、第1/2/5番が棚中にありますもの(*後日・・・)第3番はモノラル別録音にて)。もうこれ以上はしばらく購入することもないでしょう・・・と思ったが、とんでもない87枚組出現(2007年6月発売)にココロは揺れ動きます。

 未知の作品が多く含まれていること、昔馴染みの「PILZ音源」集大成的な存在であること、そして〜ピアノ協奏曲には中島皇恵さんの録音が含まれるんです。これはちょっと聴いてみたいな・・・と。相変わらず懲りておりませんな。

(2007年6月8日)

CC-1096  DG録音の海賊盤 @250*(追加) この文書更新二日後、休日散歩がてらBOOK・OFFへ行って参りました。そこでBeethoven ピアノ協奏曲第3番ハ短調/第4番ト長調〜ウィルヘルム・ケンプ(p)/フェルディナント・ライトナー/ベルリン・フィル(1961年)が@250(駅売海賊盤ながら)で並んでおりました。”苦手作品”とか、処分したばかりなのに、とは言わず、これはやはり出会いと捉えて購入しました・・・なんと言っても@250ですから。

 これで第1〜5番迄(+ピアノ・ソナタ第32番ハ短調)揃いました。”揃った”ということが主眼ではなく、さっそく(久々、おそらくはLP時代以来)拝聴いたしましたよ。リキみのない暖かいピアノ、ライトナーのバックも極上のニュアンスであって、以前ほどの作品に対する苦手意識はありません。切迫感の強い第3番最終楽章もずいぶんと静かであり、流麗とはほど遠いもの。音質も悪くないですね。蛇足だけれど、同じシリーズで、ピアノ・ソナタ第8/14/15/24番、第21/23/26番、第17/29番も入手済み(おそらくすべて@250にて)。

(2007年6月10日)


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written by wabisuke hayashi