Beethoven 交響曲第5/7番
(メニューイン/シンフォニア・ヴァルソヴィア)


IMG(CarlTON)  30368 00042
Beethoven

交響曲第5番ハ短調 作品67
交響曲第7番イ長調 作品92

メニューイン/シンフォニア・ヴァルソヴィア

IMG(CarlTON)  30368 00042  1994年ストラスブール・ライヴ録音   5枚組1,980円で購入したウチの1枚

 Beethoven 、Brahms は苦手だ!(特に交響曲)とウルさくも、ほざいた2003年でした。読者のみなさまも呆れ顔ながら、リハビリにおつき合い下さいましたね。ワタシには”強く屈強な音楽”を聴くべき精神力が残っていないんです。生きる上でのテンションが弱まってきているのか。たくさんCDは手許にあるが、音にして流すべき優先順位はあとのほうになりがち。

 で、このメニューインの全集ですが、いつどこで購入したのかの記憶ももう曖昧です。つまりほとんど聴いていない。「2001年末Beethoven 「第九」棚卸〜大掃除」に登場するから、第9番のみは少なくともその時点で聴いているはず。2003年も押し詰まった年末、クルマでそれなりの時間を移動する機会があって、良い機会なのでほぼ全集全部聴き通しましたね。ああ、コレは悪くない、そういえばこんな演奏だった(・・・と記憶も蘇る)。

 「ジャジャジャ〜ン」の「運命交響曲」〜「こんなん聴き飽きたぜ」みたいな感覚はありません。ただひたすら激しい音楽だ、と、そう思うだけ。メニューインの音楽も激しいっすよ。存分に。ライヴでしょ?ちゃんと冒頭の拍手も収録されているし、いかにも作り物でない粗野でナマな響きなんです。ややデッドで、臨場感では他に類を見ないほど。

 テンポ中庸〜やや速め。やや「間」が足りない、少々急いた感じ有。テンションは常に高くて、やる気満々といった雰囲気横溢してます。繰り返すべきところはちゃんと繰り返していて、例えば第1楽章提示部はもちろんだし、終楽章もちゃんとやってます。最近流行の古楽器系スッキリ・くっきり軽妙リズムかと問われれば、とんでもないと答えるしかない。

 メニューインはもともとヴァイオリニストだし、指揮者としての(かなりの量)録音には室内管サイズのものが多かったように思います。(ここでもそう。ああ、ロイヤル・フィルがあったけど)申し訳ないけど、シンフォニア・ヴァルソヴィアってちょっと響きが濁りがちで、美しくないように聞こえますね。録音のせいかな?でも、Mozart でも似たような印象でしたね。

 一生懸命だけれど、鳴らないオーケストラ〜軽自動車がエンジン全開で急坂を上っているようでもあり、そうとうにムリムリな感じ。誠実に全力で音楽と格闘していることに敬意を表しつつ、余裕が足りない。正攻法ならもっとオーケストラの厚みやら、重量感は欲しいところ。推進力はあるが、聴き手が息切れしちゃう。古楽器系軽妙透明路線じゃないですから。

 第7番も(いや他の作品も)同じ印象でした。第1楽章提示部も、終楽章も繰り返しをちゃんと実行して下さって、全力です。でも、ワタシには第2楽章「アレグレット」に、クリュイタンス/ベルリン・フィルの美しさ、上品さを求めます。(ま、固有の演奏を比較しちゃいけないが、ワタシの好みということで)申し訳ないが、この演奏にはそこに問題がある。

 プレストにおけるノリノリのリズム感、終楽章の熱狂に賛辞を惜しみません。アマチュアのような音楽に対する誠実なる音楽への没入があります。(ティンパニの”やる気”を聴いて!)聴衆の熱狂的な拍手は、そのことに対する賞賛と共感でしょう。

 ワタシは、この演奏にいつもの「Beethoven アレルギー」は感じません。しかし、響きが美しくない。アンサンブルが粗野に過ぎる。嫌いな演奏ではないが、これをもってBeethoven 演奏のひとつの回答である、とは言えないと思います。生意気言って申し訳ない。なにをBeethoven に求めているのか、がすこ〜し見えてきた感じ。(2004年2月27日) 

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written by wabisuke hayashi