Bach さまざまな楽器による協奏曲集2
(カフェ・ツィンマーマン)


Alpha ALPHA048 Bach

ブランデンブルク協奏曲第3番ト長調 BWV1048
2挺のヴァイオリンのための協奏曲ニ短調 BWV1043
序曲(管弦楽組曲)第1番ヘ長調 BWV1066
オーボエとヴァイオリンのための協奏曲ハ短調 BWV1060a

カフェ・ツィンマーマン/パブロ・バレッティ、アマンディーヌ・ベイエ(v)/アントワーヌ・トリュンツィク(ob)

Alpha ALPHA048 2002年録音

 Johann Sebastian Bach(1685ー1750)が窮屈かつ忙しい教会のお仕事の合間、若者たちと自由な演奏を愉しんだのが「カフェ・ツィンマーマン」だったはず(うろ覚え)ユーモラスな世俗カンタータ「おしゃべりはやめて、お静かに(コーヒー・カンタータ)」を巡ってWikiにその言及がありました。仏蘭西の古楽器団体はその名前をいただいたんでしょう。CD6枚にまとめられたBachの愉しい協奏曲集は出色の出来であります。ここ十年ほどの愛聴盤、一般に古楽器がお気に入りなのはレオンハルト/クイケン兄弟/ブリュッヘン等によるブランデンブルク協奏曲(1976-77年)、クイケン兄弟による「音楽の捧げもの」(1994年)以来と自覚するけど、カフェ・ツィンマーマンの躍動する!自在かつちょいと硬派?な演奏も前提にありました。それ以来、今でも鉄板!(らしい)カール・リヒターは少々肩が凝るように感じましたよ、立派過ぎ雄弁過ぎて。

 このCD6枚分、作品選定順列組み合わせにはきっと音楽的意味合いがあるのでしょう。しかし残念、こちらただの音楽愛好家=ド・シロウト=お気に入りの作品が揃っているやないかい!そんな程度。ブランデンブルク協奏曲はどれも大好きだけど、躍動してリズミカルな合奏協奏曲である第3番ト長調は大好き!これが作品との出会いでしたからヘルベルト・カラヤン/ベルリン・フィル1964年←駅売海賊盤ですんまへん)カフェ・ツィンマーマンは意外なほど端正、イン・テンポ、飾りが少ない・・・ように思えて、じつは細部小技を効かせた各パートの表情ニュアンスが目立たぬように配慮されております。例の第2楽章「Adagio」フリギア終止(←ってなんですか?)の2つの和音のみ、ここはいろいろ自由な付加があったりするものだけど、あっさりと素っ気なくそのまま。テンポは速め、切り詰められたサウンド端正に、かっちりとしたリズム感、ヴィヴィッドな躍動に間違いなし。

 Bachのヴァイオリン協奏曲はややツマらない・・・なんて勝手なことを云っちゃ罰が当たりそう。この2挺のヴァイオリンのための作品は最高ですよ。第1楽章「Vivace」は生演奏で聴くとその緊張感溢れる掛け合いに痺れること必定(←もうぼちぼち20年前かぁ・・・遠い目)。往年の名手だったらたいてい録音してまっせ。ソロはノン・ヴィヴラートに非ず、やや、ちょっぴりマイルドなヴィヴラート有。第2楽章「Largo ma non tanto」辺り、いくらでも情緒たっぷりに歌いたくなる切なくも甘美な旋律は、もちろん甘さ控えめです。ラストのルバートも味わい深いもの。第3楽章「Allegro」ここも切迫感高まる集中力!キレキレの技巧にテンポは速いですよ。こうしてみるとけっこう硬派なアンサンブルでっせ、仏蘭西とはいえ。

 管弦楽組曲第1番ヘ長調 BWV1066も大好き。フルート協奏曲であるほの暗い第2番ロ短調、売れ筋「G線上のアリア」を含む第3番ニ長調に比べ、やや人気薄な第1番第4番。優雅な旋律の魅力はたっぷりの名曲であります。弦楽、通奏低音(ファゴットも含)のほかオーボエ二本が色彩感を高めて、最初のフランス風序曲(緩-急-緩)がとても立派!トランペット+ティンパニを伴う第3番に比べ、親密かつ軽快な風情が勝ってノリノリのリズム。ヴィヴィッドに躍動してテンポ速め、繰り返し実行して、美しい旋律は二度味わえる・・・ファゴットのリズムが効いてますね。あとは典雅な舞曲が続いて、基本さらりと素っ気ない(と云っては失礼)飾りの少ない表現が軽快親密躍動して、カール・リヒターの峻厳に戻れそうにありません。

 オーボエとヴァイオリンのための協奏曲ハ短調 は”復元”とか。ワタシは同じ旋律で最初に聴いたのはチェンバロ二台でした(レイモンド・レパード)。その後に聴いたのがヴァイオリン(ギドン・クレーメル+タチアナ・グリンデンコ?だっけ)、色彩の異なるソロを揃えたオーボエ参入が一番愉しめると思います。これも緊張感溢れるほの暗い劇的旋律!これぞBach!でっせ。先のヴァイオリン協奏曲もそうだけど、一世代前の古楽器とは様子が異なって、じんわり美しい味わいあるヴァイオリン、オーボエももっと粗野なテイストだったと思うけれど、モダーン楽器とは異なる個性を堪能できるようになりました。

蛇足だけど、音質極上なのは当たり前。

(2018年4月14日)

【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi