Premiere Evening(アメリカン・プロムナード管弦楽団)


KLAVIER  KCD11053 Weber/Mahler 編

歌劇「3人のピントー」

Nicolai

歌劇「ウィンザーの陽気な女房達」序曲

Lalo

Arlequin (カーニバルの仮面)

Busoni

喜劇序曲 作品38

Viotti

ヴァイオリン協奏曲第22番イ短調

ソマー・リンク(v)/ローウェル・グラハム/アメリカン・プロムナード管弦楽団

KLAVIER KCD11053 1994年頃録音? $1.99

 久々(執筆当時2000年か?)にバークシャー・レコード・アウトレットで輸入してみました。発注から到着まで10日間。充分に早く、送料込みでもまぁまぁ安い。それになにより珍しい。ワタシの原点を思い起こすような、こんなCDもありました。珍しい曲、怪しげな演奏家、無名レーベル、そして激安$1.99。(ワタシの貧しい語学では題さえわからないが)これぞ正しい廉価盤のあり方。

 「ローウェル・グラハム率いるアメリカン・プロムナード管弦楽団」〜そう聴いただけで、期待に胸膨らむ思い。どのくらい怪しい技術なのか、はたまた思わぬ名演奏なのか。「世界初録音」と書いてある「3人のピントー」(でも、この曲持っていたいたような記憶が?Entre'acteってなんですか)、「Arlequin」(読み方も何もわからん)というのも興味津々。Busoniの作品だってなかなか手に入らない。

 有名曲を聴けば、演奏水準は即理解できます。で、「愉快な女房達」から。これは天下のウィーン・フィルのイメージがあって、さすがの(ここでは、なぜさすがなのか深くは問わない)アメリカン・プロムナード管弦楽団を以てしても、優雅な演奏になりません。編成が少なそうだし、響きが薄くて、ややガサツでバタバタの雰囲気はある。優雅さに少々欠け、メリハリはもう少し欲しいところ。(残響少な目、デッドな録音)でもね、いいじゃない。ご近所オーケストラの肩の凝らない演奏会ライヴみたいで。

 Mahler 編の「三人のピントー」(間奏曲?)って、ここでは「世界初録音」って書いてあるけどほんまですか?NAXOS 8.550928 で、ジョージアディス/クィーンズランド・フィルで出ているが、これが1994年録音。それよりも前と言うことか。(ほか、PILZ系の音源で見かけたこと有)なんとなく牧歌的で楽しげなな小品であり、演奏も少々たどたどしく牧歌的な緩さ有。

 Laloの「カーニバルのマスク」(この訳ほんまかいな)は、ほんまの「世界初録音」じゃないかな?わずか3分ほどの動きのあるユーモラスな作品で、ゆったりしたり、走ったり・・・でも、アンサンブルがたどたどしくて・・・って、それほど神経質に云々する作品じゃないでしょ。

 Busoni「喜劇序曲」〜7分半ほど。彼の作品って、難解で厚ぼったい響きで〜みたいな先入観があるが、これは軽快で楽しげです。ようはするに、前半4曲は知名度は別として、明るく、楽しい曲を揃えた、という意図なんですね。それにしてもアンサンブルは息切れ気味でっせ。まとまり、というか見通しもよろしからぬ演奏だし。

 ま、滅多に聴けない音楽ばかりだから、文句言っちゃいけません。

 Viottiは立派ですよ。以前聴いたアッカルドのデビュー盤に比べればバックは数等立派。(と、いうかボンコンパーニが酷すぎた・・・おっと、演奏コメントに云々よりマシ、というのは禁句であった)ソマー・リンクさんはオーストラリアの女流でして、ちょっとウェットな音色がなかなかよろしい。有名な第2楽章「アダージョ」のしっとりとした味わいは上出来。技術より、味わい系、でしょう。

 但し、躍動感に不足する、と感じさせるのは、バックのダルさも手伝っての印象でしょうか。この作品は、もっともっと癒やしの雰囲気に溢れていたはずだなぁ、ちょっとスカっぽい演奏かな、朗々とした歌が足りないかな、とも少々ワガママ言ってみたくなりました。

 このCD、情報網羅で録音場所(ウィスコンシン州聖ノーバート大学・ファインアーツ・ホール)、録音スタッフ名、使用機器(DATはPanasonicとのこと)、ヴァイオリンはストラド「The Kreutzer」(1727年)・・・等、微に入り細を穿ち、状態だけれど、唯一録音年月日がないというボケぶりも圧巻。(2003年12月28日)

【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi