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【♪ KechiKechi Classics ♪】2006年
勝手に各自アカデミー賞

年を追うごとに激しい盛り下がりをみせる「勝手に各自アカデミー賞」募集の時期がやって参りました。
●一切の制限なし。もちろん新譜である必要なし。「10年前に買ってあったが。今年目覚めた!」ものでも良いし、ジャンルに制限なし。一枚壱万円のCDでも可。
●世評/他人の評価も一切関係なし。音楽に対する限りなき愛情を注いで投稿して下さい。(メール可)
●音楽の価値に順列を付けるものではありません。
●書籍も可(音楽に限らず)
●演奏会やら、サイトでも、つまりなんでもOK。ご近所、おいしいもの屋さん、ラーメン屋でもかまわない。立派な人!でも。

ま、過ぎゆく2006年をしみじみ振り返ろう・・・という趣旨です。ことしも楽しかったな。(病床六尺にて/林 侘助。)


■ぶりちょふさま

それでは誰も書込まないのでトップバッターを。今年はクルマ貧乏で苦しくはあったけれど、それなりに旅にも出られたし、コンサートにもそこそこ行けたし良い一年と言えそうですが、相変わらずCDは増えません。LP&SPは少し増えたかもしれませんが、家ではあまり音楽を聴かなくなってきました。そんな私のグランプリは、、、

◎第一位 モーツァルト・イヤーでホルン協奏曲を札幌にて再演(9/3)
昨年悔し涙を流した(ウソ)初ソロでしたが、今年はそれなりに課題らしきところがクリアできたように思えて自己満足。同じ曲を同じピアニストと再演できて嬉しかったです。色々な方面からご声援いただいてこれまたハッピー。裏方のお手伝いもちょっぴりさせていただきましたが、何と言ってもステージ上での「譜めくり初体験」。足がすくみました。主催のMegumiさまには感謝であります。コンサートの前日にはススキノで大学のゼミの同期と17年ぶりに再会。

◎同点 ステージマネージャー見習、身近な音楽家との劇的再会(8/10)
千葉県市川市にてショコラ・ヴィルトゥオーゾのコンサートでステマネの補佐をさせていただきました。椅子を上げ下げしたりピアノを動かしたり、出演者に伝令したり。切欠は、その団体が主催する器楽クリニックに参加したこと。ホルンのフィジカルな動きについて教わりましたが、別室で子供の弦楽合奏を指導していたのが中学の時のホルンの先輩。女流指揮者としてベルリンで3つのオーケストラを指導しているとのこと。四半世紀ぶりの再会でした。それが縁で、ひと肌脱いだというわけです。モーツァルトのクラリネット五重奏にはホロリとさせられました。録音していたのでCDになったら欲しいと思っています。

◎指揮者スダーンとの出会い
昨秋ブルックナー8番で初めて聴いて以来、今年に入ってモーツァルトを中心に3度聞くことができました。東響のピリオド奏法への取組はNHKでも放映されましたが、今まで大嫌いだったにもかかわらず、強弱を細かくつけることでまるでピアノを弾くかのような自在なモーツァルトにすっかり惚れ込んでしまいました。大好きな29番交響曲に至っては群響で聞いた翌週に東響で聞き比べることになり幸せでした。音の蒸気が舞い上がるような39番とともにCD化され、お気に入りのひとつになっています。9月に聴いた「ジュピター」も素晴らしく、子供に聞かせたいと思ったほど。鉛色の空を思わせつつ激しい「スコッチ」も絶品。

◎結婚式
近年には珍しく、結婚式に2度出席。いずれも新郎は45歳初婚さま。一組は大学のゼミの同期で卒業以来初めて会う面子も。懐かしさと同時に現在の自分の立位置みたいなものが確認できて貴重でした。もう一組は音楽関係の集まりで、ホルンを披露。ジークフリートをやったんですが、最初は開幕に使ってもらおうとお願いしたのですが、宴のど真ん中での演奏になってしまいました。ウォーミングアップのときの調子はまずまずだったのが、間が空いてしまって惨憺たるものに。最初にしていただくようもっと頑張って説得すべきだったと反省。

◎幸福なダブルヘッダー(1/28)
まずはマティネで紀尾井シンフォニエッタによるモーツァルト。ボッセの指揮で小ト短調交響曲とレクイエム。ラクリモーザのモーツァルト絶筆の部分で終わるようにして、最後はバッハ「マタイ」の”私が逝かねばならぬとき”で締めくくられました。こんな終わり方で拍手が出来ず、困ったことを今でも覚えています。ソアレでN響定期。自分が最も多く聴きに行っている指揮者の一人ブロムシュテットによるブラームス・プロ。ヴァイオリン協奏曲はテツラフのソロが音楽の化身のような入れ込みが凄まじい。後半は1番交響曲、渋さと熱さの融合が素晴らしい。こんな体験ができた奇跡のような一日。

◎夢のモーツァルト・アーベント(5/20)
シュルツ、シェレンベルガー、トイブル、トゥルコヴィッチ、ドール(アンサンブル・ウィーン・ベルリン)をソリストに各管楽器のための協奏曲をひと晩で聞かせる贅沢なコンサートでした。東響新潟定期の会員になっている特典でご招待。東京までの安いJRチケットのお蔭で行きやすくなりました。東響は好調で、同じ月キタエンコとの「レニングラード」もド迫力。

◎久しぶりのオペレッタ(6/17)
新国立劇場で「こうもり」がかかりました。キャストも良かったので、初めてオペラ劇場で観劇。殆どの出演者にサインをいただきました。W.ブレンデルに以前見たときのことを話すと、即座にクライバーの公演であることを察知してくれました。クレマーによるフロッシュのギャグ「銀行なら(金利)4%もつかないけどシュリボヴィッツなら(アルコール度)40%だ」は健在でした。4月にはアマチュアによるカールマン「モンマルトルのすみれ」日本初演がありました。

◎今年も聞いた!ブルックナー8番
好きで好きでたまらないこの曲。今年はスクロヴァチェフスキ/N響、アルブレヒト/読響、尾高/群響と近年にない豊作年でした。意外に期待したスクロヴァ翁はあまり記憶に残っていません。読響の男性的な迫力に唸りました。昨年モーツァルトをみていただいたN先生とも再会しました。

◎旅と音楽のコラボ
もともとこの組合わせは私の得意技で、札幌までホルン吹きに行ったり高崎や東京にコンサートへ出かけているのですが、今年は仙台でのクラシック・フェスに出かけるのに会津若松にて自家用車を停めて高速バス乗換えというパーク&ライドを活用しました。その「せんくら」では1公演の入場料がすべて1000円。5公演楽しみましたが、小さな会場が多くて親密感いっぱいでした。特に松山冴花という若いヴァイオリニストには日本人離れした濃い表現で驚かされました。/別の日、喜多方ラーメンを楽しんだ後に寄った石丸電気新潟店。CDセール中で、その100円コーナーでガンヌのオペレッタ「サルタンバンク」が。通販で散々探してたんですが、ここで100円とは。。。/群馬には群響を聴きに5度参上。高崎の飲み屋も覚えました。大ジョッキ390円という嬉しい店も。肉屋で買った揚げたてコロッケも美味。

というわけで、今年のキーワードは「再会」です。懐かしい人々にまた出会えたことが本当に素晴らしく思いました。感謝感激であります。番外編ではありますが、林 侘助。さんとSyuzoさんが先月神戸で遂に初対面した事件について。。。その昔、Syuzoさんと松江や関西でよく飲んでいたときに”Kechi-Kechi”がよく話題になっていましたし、林さんと飲んだ折にもその旨を伝えていたわけですが、こうして対面をされるとは時間の経過に驚きもしますが、何だかとても嬉しく思ったことを報告いたします。

今年も一年ありがとうございました。


■mozart1889さま

今年も沢山CDを買いました。よく聴きました。相も変わらず、メジャー・レーベル系、ミーハーなCDばかり聴いていたような気がします。

◎第1位 モーツァルト
今年はモーツァルト・イヤーでした。ですから、モーツァルトに1位をあげます。 ホンマに夥しいCDが発売されたように思います。その中で特に良かったのはBRILLIANTのモーツァルト大全集170枚組15,000円。こんな安くてエエんだろうかと、有り難い時代に生きていることを実感しました。ピアノ協奏曲にピアノソナタがエエです。またセレナード集なども実に味わい深い演奏で、この一年、楽しませてもらいました。
私は四国の田舎者ゆえ、都会でのラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」などの羨ましいばかりの喧噪には無縁でありましたが、「モーツァルトを聴ける幸福」は、何物にも代え難いものでした。

◎第2位 ヘルベルト・フォン・カラヤン
今年はカラヤンを沢山聴きました。きっかけは、カラヤン指揮のEMI盤モーツァルト管楽器協奏曲集のダブり買いのダブり買い(つまりトリプル買い!)。まあ悔しいわ、腹立たしいわ、自分の忘れっぽさにガッカリしたこともあって、とことん聴いたろうわいと思い、カラヤンの世界にハマっていきました。新しく買ったものはないんですが、改めて家にあるカラヤンのCDを随分聴き直しました。
妖艶でゴージャス、豪華絢爛、華麗壮大、派手な化粧でケバいオネエちゃん、かと思えば、高級クラブのしっとり美人マダムでもあって、しかも徹底的に聴かせ上手、お話し上手。いやはや、やっぱり大したもんだわいと思います。

◎第3位 「のだめカンタービレ」
コミックスも面白かったんですが、ドラマも最高に面白く楽しめました。音大生の青春群像、テレビの画面で若さがはじけます。これだけ楽しく面白くクラシック音楽を扱ったドラマは初めてでしょう。ミーハーな私は、とうとう月曜は早帰り、9時には自宅でドラマを見る人間になってしまいました。BGMの使い方もなかなかの選曲、ニヤニヤしながら見ておりました。
ホンマ、若いってエエですね。エネルギーをもらいました。
う〜む。やはりミーハーですな。スンマセン。
でも、今年もいい年でした。こうして音楽を聴ける幸福を大切にしたいもんです。


■山本晴望さま

今年もいろいろありました。夏頃から仕事上の環境が激変、休日はPTA活動、アマオケ活動。さらにぎっくり腰の再発と予想外のアクシデントが続いた年でした。

◎ブログの立ち上げ
日々の足跡と視聴音盤の備忘録といった軽い気持ちで始めました。子供の頃から日記の類は一週間と持続したことはなかったのですがまもなく一周年を迎えます。挫折せずほぼ毎日のように書けたのは自分でも不思議。
その上、林さんのアカデミー賞にも紹介していただきまして恐縮しています。

◎今年の音盤購入
ブログにもいくつか取り上げてはいますが、実際には紹介した数の10倍以上です。今年は増えてしまいました。購入はHMVやアリアCDなどのネット通販、そしてネットオークションが主です。
そのほかに、いろいろな縁で見知らぬ方数人から数百枚のLPを譲り受けました。盛大にダブッてはいますが毎日少しずつ聴いています。

今年主に聴いた曲は、オーケストラのHPのコラムに感想を連載している関係で、ラフマニノフの交響曲第2番、「新世界より」とベートーヴェンの「第九」といった一曲集中型。
他に宗教曲を中心とした合唱曲を沢山聴きました。

◎ピアニスト、海瀬京子さん

娘と一緒にピアノを習っていた近所のごく普通の音大生。昨年日本音楽コンクール一位となり、コンクールの前から決めていた沼津交響楽団5月定演のソリストとして演奏していただきました。曲はシューマンのピアノ協奏曲。
自然と自分がマネージャーのような形になってしまい。曲目の選定からスケジュールの調整のお手伝いをするはめに。

この時、音コン受賞者が日本全国を飛び回り、決められたスケジュールで短期間のうちに数多くの披露コンサートをこなさなければならないことを初めて知りました。もはやプロとして扱われる厳しい現実。

◎金子建志先生の講演会
これもいろいろな縁で金子建志先生を招いて「モーツァルト生誕250年」を記念して3回の講演会を実施。
尊敬する先生と直接いろいろな話をすることができました。さらに当日はアシスタントもさせていただき感激。

◎アマオケ活動
今年は所属する沼津交響楽団の5月の定演と12月の「第九」のみ。定演はラフマニノフの交響曲第2番、(海瀬さんの弾くシューマンは降り番で彼女の付き人)。ラフマニノフの2番は音符がやたらと多く疲れました。

「第九」は対向配置・ピリオド奏法初挑戦。といってもナチュラルホルンを使うわけではないので、自分としてはあまり変わりばえしませんでした。それでも「第九」は何度やっても良いものです。

◎コンサート
仕事上、日程の調整がつかずほとんど行けませんでした。チケットを購入しても涙を呑んで譲ってしまったコンサートもいくつかありました。 そのような中で印象深かったのは都響12月定期の「メサイア」全曲。一度実演を聴いておきたかったデプリーストの実力を実際に確認することができました。

聴き手を暖かで幸福な気分にさせてくれる名指揮者だと思います。

いろいろとありましたが、こうして振り返ると音楽的には非常に充実した楽しい一年でありました。


■全亭 出武生さま

BOOK OFFの話題に横レスはさんだ行きがかり上、エントリーさせていただきます。\750の段階で購入すればいろいろ選べるが、あえて\250になるまで待つと良いものはたいがい売れてしまいますね。その今年の売れ残りアカデミー賞です。

[BOOK OFF \250> アカデミー賞]
Villa-Lobos ブラジル風バッハ第2,4,5,9番〜バティス指揮ロイヤルP.O.(東芝EMI CE25-5860 \250)
作曲者も指揮者も「と」と評される人達ですが、この素晴らしい演奏は確かにとんでもない。とりわけ第4番は胸を熱くする名曲名演です。残念ながら現在では第1,5,7番の組合せしか出ていないみたい。第1,7番も第4番と同じ傾向の感動的な曲なので、きっと良い演奏でしょう。

[室内楽部門]
SYRINX フランス近代フルート作品集〜瀬尾和紀(fl),ローラン・ワグシャル(pf) (エラート WPCS-10970 \150)
選曲がなんとも素晴らしい。ドビュッシーのシランクスと牧神、フランセのディベルティメント、プーランクのソナタ・・・若い演奏家ゆえの爽快感で一杯です。

[歴史的録音部門]
Stravinsky 「火の鳥」(1910年版)〜作曲者指揮コロンビアS.O.(FIC ANC-38 \105)
JASRAC印紙有りの正規駅売盤。クリアなステレオ録音で、意外にも生き生きとした良い演奏でした。ストラヴィンスキーの指揮は評判悪かったはずでは。作曲家にこんな仕事をされたんじゃ、専業指揮者はたまりませんな。もっとも、助手が手伝ったという話も。

[バラエティ部門]
BY THE FIRE 暖炉のそばでノースランド・ミュージック。(東芝EMI MKN-S12 \105)
BOOK OFFの\250以下で編集盤は避けて通れません。本盤は、グリーグ、シベリウス、ディーリアス、バーバーの、水も滴る美曲が勢ぞろい。中でもウェルドン指揮のホルベルク組曲からの2曲は小味な表情が素晴らしく、ストコフスキー指揮のバーバー「アダージョ」は心揺すぶる調べ。

[美術部門]
Grieg 「ペールギュント」組曲他〜オーマンディ指揮フィラデルフィア0.(RCA RCCD-1046 \250)
これはLP時代に見初めて以来、ずっと欲しかったもの。水木しげる風の魔物たちがユーモラスですね。演奏は昔から評論家達が誉めちぎっているが、「朝」のテンポが速くていささかそっけないのが残念。

(2006年12月23日)

■ヒロノミンVさま

 初めまして。今年の7月からブログを始めました、岡山在住のヒロノミンVと申します。私のブログは激安廉価版を中心に紹介していこうと始めたのですが、途中でこの「kechikechi clasics」の存在を知り、管理者様の年期・情熱・廉価盤への深い探求心に圧倒されています。

 初めての投稿で、厚かましくも「勝手にアカデミー賞」に投稿します。

今年私が買った『激安廉価ボックス部門』

1位 サン=サーンス 協奏曲集 デュトワ、マリナー、チョン、ロジェ他 コレクターズデッカ
購入単価:770円 5枚入り
 サン=サーンスの主な協奏曲とオルガン付が収録されたこの5枚セット。1枚としてはずれがなかった。チョン・キョンファのヴァイオリン、ロジェのエロティックなピアノ、おまけのはずのオルガン付交響曲がマイベストになる名演。録音もDECCAらしい明るく響く素晴らしい音。買って絶対損はないボックスです。

2位 シベリウス 「ザ・エッセンシャル・シベリウス」 ヴァンスカ、ヤルヴィ他 BIS
購入単価:503円/枚 15枚入り
 買って10日ほどしか経ってませんが、堂々の2位。番号付交響曲とVnコンぐらいしか馴染みのなかったシベリウスへの扉を一気に開け放ってくれた、私にとってエポックメイキングになりそうなボックス。特にクッレルヴォ交響曲との出会いは衝撃的でした。BISの録音も非常に優秀で、爆音とピアニッシモのメリハリに醍醐味があるヴァンスカ&ラハティ管との相性は抜群です。

3位 マーラー 交響曲全集 シャイー&RCO他 コレクターズ・デッカ
購入単価:760円/枚 12枚入り
 この箱はなんと言っても驚異的な音場感のある素晴らしい録音が醍醐味でした。丁度、我が家のオーディオをバカチョンコンポからタンノイ システム12を中心にしたバラコンに替えた時期と重なり、寝る間を惜しんでこのボックスを聴きました。個人的には3番・5番・6盤が好きです。

4位 ブラームス 室内楽曲集 アルバーニ四重奏団他 ブリリアント
購入単価:399円/枚 12枚入り
これまで室内楽を敬遠していた私を開眼させてくれた箱。非常にロマンチックで優美なブラームスの室内楽を十分に堪能しました。録音も優秀で、はじめはおっかなびっくり買っていたブリリアントへの信頼性を確固たるものにしてくれた1箱。

5位 モーツァルト マスターワークス ブリリアント
購入単価:225円/枚 40枚入り
 40枚も入っているこのボックスもの、今年はバカ売れしたようです。玉石混淆ではありましたが、圧倒的に玉の方が多かった。デレク・ハンのピアノ協奏曲集ははしっとりとして優雅、木管協奏曲群もこれまた素晴らしい。室内楽も名演揃い。交響曲とフィガロについては物足りなさがありましたが、それを差し引いても十分元が取れる1箱でした。

来年は、「岡フィル」・「岡響」・「倉管」・「岡大響」の地元オーケストラコンサートグランドスラムを目指します(今年は岡響だけが聴けなかったので・・・)。今後ともよろしくお願いします。


■ヘムレンさん

今年は力作が多いですね。それでは私の今年の勝手アカデミー。

◎ レーグナー没後5年
 ハインツ・レーグナーは、私をクラシック音楽の世界に案内してくれた人でした。ドイツ・シャルプラッテンの廉価盤シリーズのレーグナー作品はほとんど買いましたが、2004年にボックスが出ましたね。私は「超」ダブリで見送りましたが、こうしてレーグナーの演奏が没後も世に出るのはうれしい。
 2005年にブラームス交響曲全曲とシェーンベク管弦楽集が4枚組み(WEITBLICK)で出ていますが、今年になって入手しました。このブラームス交響曲集は泣けました。とくに1番の隅々まで神経が行き届いていて、さまざまな音色が交差しつつ不思議なほどに奥行きのある音楽世界を構築しています。4章の、例のベートーベンの歓喜の主題を思わせる主題のところは、音色が激流のようなほとばしる勢いから一転して変わり、やさしくささやきかけるように歌い上げていきます。胸に詰まるものがありました。たぶんブラームスはシャルプラッテンの頃には世にでていない音源で、私は始めて聞きました。没後、こういう録音が新たに出てくるのはうれしいですね。本当、涙してしまいました。
 レーグナーは、ずっと読売日本交響楽団とのベートーベン交響曲全集をハントしていますが、ことしも獲物はありませんでした(誰かお持ちの人がいて手放していいいという人はご連絡を!)。Amazonで年末に検索したら、単品が数枚でていたので、2番と8番を買いました。このシリーズは大体、CD1枚に交響曲1曲で、フィルアップにワーグナーなどが入っています。2番のフィルアップのワーグナー「ジークフリートの葬送行進曲」は、思わずマエストロ自身の葬送のような気がして涙腺が緩みました。この全集はぼちぼち集めて生きたいものです。

◎ ファッビオ・ルイージ
この人は1959年生まれの指揮者。たしか、5,6年ほどまえに来日公演の予定指揮者の代役で振ったのを見たのが最初だったと思います。オペラ系もうまいし交響曲もよくする、若くて威勢のいい指揮者です。
最近はイプチッヒのMDRオーケストラと2007年まで競演していて、録音も多数あります。私が好きなのはマーラーの4番です。3楽章のポコアダージョのなんと美しいことか。天上の音楽という表現がありますが、表情豊かで色彩が陽光の中でキラキラと輝くような印象です。

◎ ラザレフ録音続々
昨年もチャイコフスキー5番を入れていましたが、今年も5月に来日公演があり、昨シーズンとあわせて読売日本響とチャイコフスキーの交響曲全曲となりました。5月は日本にいなかったので演奏会はいけませんでしたが、録音は去年の5番(これはすばらしかった、去年のアカデミー賞参照)に続いて3番「ポーランド」と6番「悲愴」がリリースされました(Exton)。6番は爽快にして爆発的なエネルギーを感じさせる3楽章と、手を返すように悲しくやるせない4楽章。4楽章の最後は焦燥が胸のそこに溜まってくるような演奏でした。


■ピースうさぎさま

遅ればせながら、私もコメントを。

●合唱団に復帰、合唱コンクール全国大会銀賞
2月から以前いたアマチュア合唱団に復帰しました。
7月には東京混声合唱団と三善晃の作品を演奏。貴重な体験でした。
しかし体調がすぐれず中部支部大会までは高熱がでたり、かなり大変な状況でした。
しかし、周囲の協力もあって熊本の全国大会では歌うことが出来ました。結果は銀賞受賞。(他の団員は昨年金賞だったのでがっかりしていましたが) 来年は北欧のプロ合唱団の演奏会に出演予定もあり、いっそう歌に磨きをかけたいものです。

●ばらの騎士
家に眠っていたDVD「ばらの騎士」C.クライバーの指揮の旧盤です。価格8500円とありました。(びっくり)
舞台を映像でじっくりと観ました。これが大いに感激。ルチア・ポップのゾフィーが最高でした。オペラは観るだけでもお金が掛かるが、得がたい感激もある、そう思いました。

●メジャーレーベル廉価盤
DGレーベルから1000円シリーズがでてオトナ買い。60年代のカラヤンが凄いと思いました。モーツァルトのアイネクライネ…、シューベルトのザ・グレート、バルトークのオーケストラコンと硬質な音でありながら、決して柔軟さを失わない王者カラヤンの凄さを知りました。
随分メジャーレーベルから遠ざかっていたので、この発見は鮮烈でした。
あとフィリップス1000。ベイヌムのブラ1が良かった。これで彼のマーラーも聴くようになりました。つくづくなくなるのが早すぎたと思いました。

●ブログ2周年
ホームページサイトからブログサイトに更新のウェイトを変えてから、色々な方とネット上で出会うことが出来ました。
一応マーラーをメインにやっていますが、やはりマーラーは人気のようです。おかげで楽しくやっております。

●バッハ 無伴奏チェロ組曲全集
他ブログでの絶賛だったソイテン(ツォイテン)の廉価全集が素晴らしかった。あとリンデンのさらに廉価全集(980円)もなかなか良かった。 いままでカザルス一辺倒だった私の耳も一気に広がりました。

以上です。


■児島の体操服屋の旦那さま

今年は、あまりCDを買ってないのですが 一年を振り返ってみると 結構印象に 残ったものがあって迷いました。

※バルトークピアノ曲全集 シャンドール(VOXのモノラル録音)
草いきれのにおいのする演奏でした。

※メンデルスゾーン オルガン曲全集 Bleicher (Arte Nova)
明るく清澄なオルガンの音が曲にぴったりです。

※ドビュッシー歌曲集 ミショー&チッコリーニ(EMI)
今年はチッコリーニのピアノをよく聴きました。リスト・アルベニス・グラナドス・ バッハ・スカルラッティ・シューベルト・グリーグ どれも良かったです。

その他 岡山フィルでマーラーの8番を聴いたおかげで 予習・復習と同曲の色々な 演奏を聴きましたが 私は、ハイティンク(1971年Philips)が一番しっくりきまし た。

来年も宜しくお願いします。


■火星人さま

ナクソスミュージックライブラリー:「一つの箱の中に音楽を詰め込んで、聴きたいと思う曲を取り出せれば良いのに」と昔から思っていたことが、ついに現実のもになった。箱とはPCのこと。
NMLに収められている曲目自体には、自分が求めている曲がすべて含まれているわけではなく、例えばオペラは貧弱、演奏家も著名人は少ないなどと、現時点では満足には程遠いが、逆に今まで聴くことが無かった曲(CD)がたくさんあるので新しい発見があります。 先に話題に上がっていたBISのシベリウス。NMLでは、ヴァンスカとヤルヴィの両方を聴くことができますよ。交響曲2番に関しては、コリン・デーヴィス(Profil)のが私好みですが。

という訳で、最近はCDを全く買っていません。買ったCDも封を切っただけの未聴品が多々あります。HMVのカートには、欲しいと思ったのがたくさん溜まっているのだけれど、”購入”のボタンが押せない(爆)

クラシックの音源があまりにも安価になって、安易に氾濫しているものだから、真剣に聴くという態度が無くなってしまった。感動感激を得ることが難しくなってしまって、悲しい時代になったと思います。


■ぶるねんR.さま

♪ 音楽祭 La folle journee ミヒャエル・ハイドン レクイエム 井上道義 ビルバオ合唱団 他
モーツァルト祭で聴いた モーツァルト以外の作品です 「初めて聴いたとたん 我が最愛のレクイエムとなった」話は もう各所でしてきましたからこのへんにして。 半端な古楽っ気?の無い 終始情感ある歌にあふれた 演奏だったように思います なかなか聴く機会の無い(と云っても 10月にも 別の演奏者でまた聴いているのですが(^^;;)作品が このようなタイプの演奏で聴けて 本当に幸運でした

♪ 演奏会 ハイドンと二人のモーツァルト

楽器別人間考察に加え 最近ではのだめちゃんの 音楽監修でも知られている方の指揮でした
父モーツァルトのカッサシオン(おもちゃの交響曲の原曲)は ウィンドマシーンや何と児童合唱まで揃えた完全版?!
また相当好きな 新ランバッハ交響曲 なんてのも聴けました! うーむ実演には二度と接せないでしょうねぇ

♪ オペラ公演 Don Giovanni と Idomeneo

わたしと最も係わりの深い2大オペラです
今年実演に接したオペラは この2作品がすべて どちらも 目と耳の双方を楽しめて
急ぎすぎることのない豊かな響きのMozart で 素晴しいの一言
また 夏に閉鎖した有名掲示板で活躍されていた
最も尊敬/共感する書き手のかたにお会いして いろいろとお話を聞くことが出来ました

* 石見海岸

これはまた何とも唐突ですみません
山陰はぢつは結構気に入っている地で 隠遁の場所に出来たら・・? なんて 思っていたり(無理ですけど)。
柿本人麻呂と石見女性との相聞歌の地を 訪ねてみたいと思っていたのが 実現しました
行く前にネット上で予習?していると この二人の相聞歌を「恋情の交響曲」と 表現しているのを見かけました 素敵・・・

* 西洋史の双璧に

中世ファンにとって何と 喪失の大きかった年でしょう
阿部謹也さんと木村尚三郎さんが ともに秋に亡くなられました
お二方の わかり易く深い内容の著作に いかばかり楽しませて また
勉強させていただいてることかと。
感謝をこめてここに
アカデミー賞を追贈いたしたく思います


■kon'noさま

少々時間切れの感がないでもないですが、一応Upしておきました。皆様のドライなコメントをお待ちしております!
よろしくお願いします。

http://daphne.fc2web.com/academycd2006.html

(2006年12月31日 )

【♪ KechiKechi Classics ♪】2006年
(ワタシ)勝手に各自アカデミー賞

 読者からの「【♪ KechiKechi Classics ♪】2006年勝手に各自アカデミー賞」募集中だけれど、この企画も年々盛り下がっているようで投稿もなかなかないので、まず自らが一年をシミジミ振り返って整理しておこうと思います。


■テレビ番組編

●ノン・フィクション番組「泣きながら生きて」

不法滞在の中国人労働者ドキュメンタリーだけれど、根性あるなぁ。幸せってなんだろう、深い愛とは?ほんまに考えました。再放送して下さらぬか。ヤワな、”感動”とは一線を画す深い作品。これはテレビ番組の良心です。

●NHKスペシャル「ワーキングプア」「ワーキングプアU〜努力すれば抜け出せますか?」・・・この情報社会のなか、自分は意外と狭い社会認識の中で生きているもんだ、ということです。自分にはまだチャンスがある、恵まれている、努力する余地がたっぷりある、ということです。元気なうちに、苦しんでいる若い人たちの力になりたい、とも。

■サイト編(含むブログ)

●「りんこ日記

ワタシはいつも職場のメンバーに「お客に、語りすぎてはいけない」と話します。でもサイトではストレス解消の場(仕事でも充分やっているが)だから、語り過ぎるんです。このサイトはほとんど写真が語って、癒されます。

●「アマオケホルン吹きの音盤中毒日記

中年サラリーマンの日常生活と音楽生活のさりげない融合、という点で【♪ KechiKechi Classics ♪】と双璧でしょう(と、傲慢に)。いえいえなんといっても、山本さんは実演の人ですから、絶対に敵いませんよ。自覚してますって、ちゃんと。

■コンサート編

岡山フィルハーモニック管弦楽団 第30回特別定期演奏会/Mahler 交響曲第8番 変ホ長調 「千人の交響曲」指揮広上 淳一

2005年には「復活」を堪能し、ことしはこの大作を楽しみました。ワタシは残りの人生でMahler を全曲ナマで楽しみたい、という夢があります。難関は第3番か。

松本和将と音楽なかまたち〜ピアノ&ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロ

素晴らしき若者の技量と熱意が、たっぷりありました。

ことしは仕事やら、風邪やらで秋冬シーズン常連の演奏会を(せっかくのご招待なのに)いっぱいキャンセルしてしまいました。もうしわけない。残念。

では、いよいよ〜

■CD編

ほんまに気に入って、何度も何度も聴いた〜そんな、音楽に対するスタイルではないので、個別CDを挙げることはことは難しいのです。今年も数多くのCDを購入し(カウントしていないが、400枚程か)、処分しました(300枚ほどか)。出費は年々少なくなっていると思います。おそらくは一ヶ月壱万円に(遙かに)届かない。

●Mozart 嬉遊曲/セレナード/舞曲集(BRLLIANT 92627/1〜23 23枚3,750円オークション入手)・・・未だに全部聴けておりません。演奏者も様々、寄せ集めです。しかし今年購入した中で、これほど楽しみにして、幾度棚から取り出したCDはほかにないでしょう。旧VOX音源のCONCERTOROYALE3枚組、シャンドール・ヴェーグ不足分待望の4枚分、同様な作品を別途入手して比較を楽しんでも、ワタシはこの「23枚組」をいつも心の隅に配置しております。

1980年代、CD最初期の価格は3,800円であり、現在でも時に中古屋で見掛けます。贅沢品ですよね。素っ気ない紙の袋収録だけど、全23枚で3,750円ですよ。時代は変わりました。この価値をありがたく拝受いたしましょう。ワタシはヴォルフガングが大好きです。

cfp 7243 5 75776 2 5●Handel 「メサイア」(全曲)〜サージェント/ロイヤル・リヴァプール・フィル/ハダースフィールド合唱協会(1959年録音/プラウト編曲版を基本としたサージェント版)・・・アマチュア合唱団だそうで、「その誠実・豊かなる歌唱には頭が下がる思いであります」・・・BBSでのアツい共感もいただきました。佳い演奏は、作品の価値を目覚めさせられます。その後、ティモシー・ディーン/プロ・クリステ合唱団・管弦楽団(1986年ワトキンス・ショー版)だって楽しく聴けました。

EMI 7243 4 76942 2 6  1,260円●Mozart 歌劇「フィガロの結婚」〜ヴィットリオ・グイ/グラインドボーン歌劇場/シュッティ(スザンナ)/ブルスカンティーニ(フィガロ)/ユリナッチ(伯爵夫人)/ケルビーノ(スティーヴンス)(1955年ステレオ!録音)・・・結局、音楽って”想い出”なんでしょうか。(喰いもんの嗜好と一緒か)これはワタシと”フィガロ”との最高の、幸せなる出会いだったんです。嗚呼、楽しい。

(追加)

●Brahms クラリネット五重奏曲ロ短調〜ヨースト・ミヒャエルス(cl)/エンドレス弦楽四重奏団(CONCERTOROYALE 206216-360)・・・こんな後ろ向きに黄昏る、苦甘い旋律は、まさに草臥れ中年男性(=ワシ)向けの音楽であります。なんという苦渋に充ちた音楽が快い。ヨースト・ミヒャエルスはデトモルト音楽大学の教授だそうだけれど、そのスムースな技巧、千変万化する色彩に心奪われます。

●Ravel 「ボレロ」「パヴァーヌ」「スペイン狂詩曲」「ダフニス第2組曲」〜シャルル・ミュンシュ/パリ管弦楽団(1968年亡くなる一ヶ月前の録音!)じつは昨日購入したもので、15年ぶりの邂逅となりました。(地方在住の親しい方の希望に応じて譲ってしまったもの)驚くべき鮮明な録音だけれど、それ以上にこの常軌を逸した興奮はなんたることか。遅めのテンポ、セクシーで粋な各パートのソロが、自然と高まる感興を抑えられず自ずとテンポ(ヒート)・アップしていく驚愕!のボレロ。

ヴィヴラート豊かなホルンが妖しい「パヴァーヌ」、スペインの陽光眩しいリズムのキレたっぷりな「スペイン狂詩曲」、万華鏡のように多彩で華やかな「ダフニス」のラスト輝かしい大爆発!・・・今更な著名なる音源だし、星の数ほど録音中、ひときわ光り輝きました。(EMI正規盤じゃなくて、CC-1063 駅売海賊盤@609也)

(2006年12月24日追加)

【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
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written by wabisuke hayashi