●「コンサートへ行こう」へ

松本和将と音楽なかまたち〜
ピアノ&ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロ〜


2006年8月13日(日)PM18:30〜倉敷芸文館ホールにて


Tchaikovsky ヴァルス・スケルツォ 黒川 侑(p)
Vieuxtemps エレジー 中村洋乃理(va)
Cassado 愛の言葉  井伊 準(vc)
Chopin バラード 第1番ト短調 作品23  松本和将(p)

Brahms ピアノ四重奏曲 第1番ト短調 作品25

   高校生時代の井伊君の妙技にはすっかり感心しました。本日のパンフレットを見たら、彼は芸大に進んだんですね。数回、【♪ KechiKechi Classics ♪】に賛辞を上梓したら、「コンサートにご招待します」との関係者からありがたいメールが!見てくださいよ、この演目。ワタシ好みの作品目白押し。とくにBrahms はぜひナマで聴きたかったんです。リーダー格である松本さんが27歳、ヴィオラの中村さんは芸大大学院の24歳、馴染みの井伊君が20歳でしょ、ヴァイオリンの黒川君に至っては高校2年生!全員、岡山県出身。

 高校生の黒川君の技量はたいしたもので、コンサート冒頭いきなりラプソディックで素敵な難曲をいともたやすく、リラックスしつつ余裕でこなします。ま、やや線が細いな、と感じるのは仕方がないでしょう。Vieuxtempsの作品は初耳でして、暗鬱で内省的な旋律と音色は緻密な表現で生かされました。

 Cassadoの作品も初耳だけれど、スペイン風のテイストが実に楽しい。井伊君のチェロは骨太でいっそうの力強さ、安定を身につけたようですね。以上、松本さんが必ずピアノ務めるのみならず、演奏が終わるたびにソリストを紹介し、インタビューして下さるんです。(みなさん、けっこう旧知の間柄みたい)前半ラスト、自ら著名なる「バラード」を圧倒的技巧で披露して下さったが、まだ味は若い。味わい系じゃなくて、ストレート系か。

 さて、後半はお気に入り作品であるBrahms ・・・最終楽章がジプシー風躍動の旋律が素敵なんです。リリカルな味わいのピアノが中心であり、清廉で緻密な弦が絡みます。井伊君のチェロが骨太くて、アンサンブルの要のように見えるが、先ほどのインタビューによるとヴィオラの中村さんが(経験を生かして、ま、どうしてもジミな楽器だけれど)アンサンブルをまとめているらしい。

 技術的に文句の付けようもなく、幽愁なる旋律がのびのびと歌われるけれど、粘着質にはならず、あくまでストレートで爽やか。若者だからね。最終楽章はモウレツはスピードと、アツく燃えるようなド迫力に声も出ない・・・誰だって、こんな演奏聴けば痺れますよ。(珍しく同行した女房もすっかり感心)

 アンコールは「アンコールという言葉・本来の趣旨」との説明があって、白熱の最終楽章の抜粋版・・・を堪能しました。お盆時期ながら、けっこうのお客様でした。ご招待に、ひたすら感謝。


【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
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written by wabisuke hayashi