「コンサートへ行こう」へ

ドレヴノフスキ&ショパン・ソロイスツ


1999年6月29日(火)PM6:30〜岡山シンフォニー・ホール

ドレヴノフスキ Chopin
ノクターン第5番 嬰ヘ長調 作品15の2
ワルツ第3番イ短調 作品34の2、第5番 変イ長調 作品42、第7番 嬰ハ短調 作品64の2
(以上ピアノ・ソロ)
ピアノ協奏曲第2番ヘ短調 作品21(ドレヴノフスキ編室内楽版)
ピアノ協奏曲第1番ホ短調 作品11(室内楽版)

マレク・ドレヴノフスキ(p) ショパン・ソロイスツ(v-2、va-1、vc-1、b-1)

なんと入場料全席自由で500円(就実学園主催)ありがたい。

 平日のコンサートに行けるのは地方都市ならではのメリット。当日は大雨でたいへんでしたが、7割弱の入りでした。当日のパンフレットによると、ドレヴノフスキはポーランド出身で、バーンスタインに認められて共演したこともあるそう。

 この人の演奏かどうか記憶にありませんが、室内楽版ショパンのピアノ協奏曲がCDで出ていましたね。一度は聴いてみたいものだ、と思っていたらナマで聴けて云うことなし。前回の演奏会の経験から、ホールの音響を勘案して3階最前列中央に陣取りました。まっすぐナナメ下にピアニストを見おろす感じ。
 このホールは二千人くらい入る、それなりに大きな会場ですが、ピアノはよく鳴って音量に不満はありません。強奏で音が濁るのは果たして会場のせい?ワタシはこのピアニストの癖だと推測。

 音楽が風となって、直接顔にぶつかってくること・・・・・その迫力こそがコンサートの喜びです。当日の演奏曲はどれもなじみ深くって「名曲」であることを実感。ショパンをナマで聴くのは初めてなんですよ。
 最初のソロ4曲は、まだ会場の雰囲気が落ちつかず、腰が座らない印象。なんとなく、ピッチがおかしく感じたのは気のせいでしょうか?「指はよく回る」ことはたしかめられました。

 5人のサポート・メンバーが登場して協奏曲が始まりました。
 最初のヴァイオリンの旋律が鳴り出したとたんに、痺れましたね。親密で、お互いの音を聴き合っている様子がよくわかるアンサンブル。中低音がとくに充実していて、ときどきチェロの雄弁な歌にははっとするくらい。もともとショパンのオーケストレーションはたいしたことはなくて、たったの5人での演奏でも「美しい旋律のエッセンス」が凝縮されたような味わいがすばらしい。

 休憩を挟んで2曲の協奏曲を楽しみました。ナマで聴くことでこそ、ショパンの名曲−ほんとうに美しい旋律の数々−が実感できたのは収穫でした。室内楽ならではの、集中した響きも新鮮。

 でも、ドレヴノスキのピアノはどうも好きになれません。速いテンポで勢いがあるのはいいけれど、力強い打鍵で音が濁って汚いのはいただけない。早いパッセージは、指がよく回っているように聴こえるけれど、旋律を弾き飛ばしていて、表現に繊細さを欠きます。大叩きが目立って、親密なバックのアンサンブルに対して違和感も有。

 室内楽版であるのなら、演奏も室内楽風にしないと。ドレヴノフスキは「協奏曲のソロ」としての立場を崩していません。バックの一人ひとりの音をよく聴いて、もっと融け合わせないとダメですね。もっと、繊細で親密な、新しいショパン演奏は可能な版だと思うんです。残念。

 で、文句ついでにもうひとつ。ワタシたち観客の問題。

 演奏中に居眠りするのも、協奏曲の各楽章ごとに拍手をするのも、全然かまわないと思います。
 でも、演奏中に席を立ったり、(演奏に飽きたのか)パンフレットをがさごそ開いて読んだり、甚だしくは「おしゃべり」はやめて欲しかったな。傘を倒す音も残念。まだ長い演奏会に馴染めない小さな子どもを連れてくるのも、いかがなものでしょうか。(案の定、演奏途中で泣き出して、あわてて外に連れ出していました)

 ちょっと、云い過ぎました。こんなに安く、立派な会場で美しい音楽を楽しめるだけでも充分感謝。激しい雨の中、しかも平日の夜にこれだけのお客さんが集まったことも素敵なことです。

 いろいろな発見があった演奏会でした。楽しみました。

 


【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi